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看護学生のための

心理学


(第2版)

編集:長田 久雄

  • 判型 B5
  • 頁 296
  • 発行 2016年01月
  • 定価 2,592円 (本体2,400円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02187-6
わかりやすい 読みたくなる 看護学生のためにうまれた心理学の教科書、待望の第2版
初版で好評を博した「わかりやすい」「読みたくなる」スタイルはそのままに、新しい知見を追加した第2版。看護に役立つ心理学の基礎を第1部に、患者と接する際に実践できる臨床心理学の基礎やカウンセリング・心理療法などを第2部に配置。患者を理解する視点を広げるのみならず、バーンアウトから医療者自身を守るなど、様々な心理学の活用法を紹介。豊富な事例とイラストに加え、書き込んで理解を深める演習問題も充実。
序 文
はしがき

発刊の趣旨
 看護学を学び,看護職を目ざしている皆さんは,よりよい看護職になりたいという意欲に燃えていることであろう。よりよい看護の要素の1つとして,しばしば患者の気持ちを理解することの大切さがあげられる。患者を無視してしまうこと,患者の話を聴こうとしな...
はしがき

発刊の趣旨
 看護学を学び,看護職を目ざしている皆さんは,よりよい看護職になりたいという意欲に燃えていることであろう。よりよい看護の要素の1つとして,しばしば患者の気持ちを理解することの大切さがあげられる。患者を無視してしまうこと,患者の話を聴こうとしないことが,看護における不適切な態度であることは誰にでもわかる。しかし,患者の話を傾聴し,患者の気持ちを受け入れ共感するという姿勢で看護を実践することは,想像以上にむずかしい。これは,皆さんも病院などでの看護実習を体験すればすぐに実感することであろう。心理学を学ぶことは,患者の気持ちを理解するために,そして,皆さんが自分自身を理解するために,役にたつはずである。
 本書は,『看護学生のための心理学』という書名のとおり,看護職になろうという明確な目的をもった学生に焦点をあてて編集された心理学の教科書である。したがって,各執筆者には,できるかぎり看護に関連する例や話題を取り入れるよう,心がけてもらった。また,看護職養成教育のなかで,心理学は30時間程度の一般教養の選択科目として位置づけられていることが多い。そこで本書では,かぎられた時間で心理学の基礎を身につけられるという点に配慮し,とくに第1部では,人間の心理を理解するために必要な基本的事項を中心として紹介するように努力した。
 心理学の領域も,日々進歩してきている。初版が2002年10月に発行されてから,13年が経過した。この間の新しい情報を含めて,本書は第2版として編集した。

構成と特徴
 次に,本書の構成と特徴についてふれておきたい。本書は2部構成になっている。第1部「人間の心理を理解するための基礎」では,個人と集団の心理を理解するための基礎的な内容が取り上げられている。第1章から第5章までは,主として個人の心理や行動について,第6章は個人と個人との関係や集団の心理的特徴について述べた。第1部を通して皆さんは,人間の心理や行動のしくみとその背景,人間関係の基本的なことがらなどについて学ぶことができる。
 第2部「医療場面での人間理解の展開」は応用編で,ここでは,臨床心理学や健康心理学,行動分析学という,看護場面で実践的に活用できる心理学の方法や考え方について述べた。第7章から第9章では,看護職自身の健康の問題をも視野に含めて,看護の臨床場面などにおける行動や人間関係の諸問題について理解を深めるために役だつ内容を中心においた。また第10章では,行動分析学という,人間を理解するための,少し特徴のある立場を紹介した。
 第2部に比較的多くの紙面をさいたのは,最近,看護職が保健・医療・福祉の場面において,患者や家族,そして医療従事者間のコーディネーターとして活躍する機会が増えてきていることを念頭においたからである。このような場面では,幅広い観点から柔軟に人間の心理や行動の諸現象をとらえることが必要となろう。
 本書の各章に挿入されているサイコラムは,本文の内容を補い,あるいは興味が喚起されるような話題をコンパクトにまとめた読み物である。そこだけを読み進むこともできるように編集してある。また,各章の最後におかれているWORKSは,皆さん自身で,それぞれの章がどの程度理解できたかを,キーワードを通して確認するために,また,まわりの学生との共同作業を通じて理解を深めるために,利用していただきたい。
 看護学を学ぶ学生には,心の問題に興味をもっている人たちが少なくないように思われる。本書が,皆さんにとって,人間の心理を学び理解するためのきっかけになれば幸いである。

 2015年10月
 長田久雄
目 次
第1部 人間の心理を理解するための基礎
 第1章 感覚・知覚の心理
  A 感覚
   1 感覚の種類と性質
   2 感覚の加齢変化
  B 知覚
   1 知覚の諸現象
   2 形と運動の知覚
 第2章 学習・記憶の心理
  A 学習
   1 学習とはなにか
   2 学習のしくみ
  B 記憶
   1 記憶とはなにか
   2 忘却
   3 エピソード記憶と意味記憶
   4 日常記憶
 第3章 感情・動機の心理
  A 感情・情緒
   1 感情・情緒とはなにか
   2 感情・情緒の種類
   3 感情・情緒はなぜ生じるのか
   4 感情・情緒の測定
   5 事例で見る感情・情緒の心理
  B 動機・欲求
   1 動機・欲求とはなにか
   2 動機・欲求の種類
   3 フラストレーション(欲求不満)とコンフリクト(葛藤)
   4 事例でみる動機・欲求の心理
 第4章 性格・知能の心理
  A 性格研究の方法と性格理論
   1 性格に関する概念と用語
   2 性格研究の方法
   3 臨床的研究法による類型論的性格理論
   4 相関的研究法による特性論的性格理論
  B パーソナリティの障害と成熟
   1 パーソナリティ障害とはなにか
   2 境界性パーソナリティ障害
   3 成熟した人格
  C 知的機能と創造性
   1 知能テスト
   2 知的障害
   3 創造性
   4 思考の様式
 第5章 発達の心理
  A 乳幼児期・児童期
   1 乳幼児期・児童期の発達段階
   2 乳幼児期・児童期の心理的発達
   3 乳幼児期・児童期の心理社会的発達課題と危機
   4 乳幼児期・児童期の心理的問題
  B 青年期
   1 青年期の発達段階
   2 青年期の心理的特徴
   3 青年期の心理発達課題
   4 青年期の心理的問題
  C 成人期
   1 成人期の発達段階
   2 成人期の心理発達課題
   3 成人期の心理的問題
  D 老年期
   1 老年期の発達段階
   2 老年期の心理的特徴
   3 老年期の心理発達課題
   4 老年期の心理的問題
 第6章 社会・集団の心理
  A 社会的認知
   1 対人認知
   2 認知的不協和
   3 帰属
  B 社会的態度
   1 態度とはなにか
   2 態度変化と説得
  C 社会的スキル
   1 社会的スキルとはなにか
   2 社会的スキルのモデル
  D 集団の心理
   1 集団とはなにか
   2 集団構造
   3 リーダーシップ

第2部 医療場面での人間理解の展開
 第7章 健康の心理と人間理解
  A 患者の理解
   1 患者行動の理解と心理学
   2 ストレス理論
   3 主観的統制感と健康
  B 看護職者の理解
   1 看護という職業の理解
   2 看護職者の心理
 第8章 臨床心理学の基礎と心理アセスメント
  A 臨床心理学の基礎
   1 臨床心理学とはなにか
   2 心理的援助とはなにか
  B 心理的援助の構造
   1 心理的援助にかかわる人
   2 心理的援助の「時間」
   3 心理的援助の「場」
   4 心理的援助の流れ
   5 スーパービジョン
  C 心理的援助の倫理
   1 面接における情報格差
   2 インフォームドコンセント
   3 相談関係における倫理
  D 面接の方法
   1 面接の目的
   2 面接の進め方
   3 基本的な面接技法
  E 心理アセスメントの方法
   1 心理アセスメントにおける問題の理解
   2 心理アセスメントの方法
   3 心理検査の信頼性と妥当性
   4 心理検査の効用と限界
  F 心理アセスメントの各領域
   1 精神症状のアセスメント
   2 パーソナリティ障害のアセスメント
   3 パーソナリティのアセスメント
   4 知的機能からの発達アセスメント
   5 認知機能のアセスメント
   6 感情アセスメント
   7 行動アセスメント
   8 相談効果についてのアセスメント
 第9章 カウンセリングと心理療法
  A 心理的援助における相談の種類
  B 精神分析的心理療法
   1 精神分析とはなにか
   2 精神分析の考え方
   3 精神分析と精神分析的心理療法
   4 医療場面でどう応用できるか
  C パーソンセンタード・アプローチ
   1 パーソンセンタード・アプローチとはなにか
   2 非指示的アプローチ
   3 クライエント中心療法
   4 パーソナリティ理論と研究の進展
   5 グループ・アプローチへの展開
  D 交流分析
   1 交流分析とはなにか
   2 自我状態の分析-パーソナリティの理解
   3 交流パターンの分析-コミュニケーションの理解
   4 ゲームの分析-繰り返される不快な交流パターンの改善
   5 脚本分析-人生の筋書の見直し
   6 心理療法としての特徴
  E 認知行動療法
   1 行動療法とその特徴
   2 行動アセスメントと相談目標の設定
   3 オペラント学習の研究とそれに基づくSST
   4 認知療法
   5 レスポンデント条件づけに基づくエクスポージャー法
   6 認知行動療法の人間観
  F 家族療法とシステムズアプローチ
   1 家族療法とはなにか
   2 家族をどうとらえるか
   3 家族療法の進め方
  G グループ・アプローチ
   1 グループ・アプローチとはなにか
   2 集団心理療法
   3 成長や自己実現を目的とするグループ・アプローチ
   4 セルフヘルプ・グループ
   5 医療場面でどう応用できるか
 第10章 行動する人間の理解
  A 行動の科学(1):行動とは
   1 問題はどこにあるのか
   2 行動の原因についての考え方
   3 行動とはなにか
  B 行動の科学(2):原因の考え方
   1 行動と随伴性
   2 行動随伴性の種類
  C 行動科学の医療現場での実践
   1 知識を与える
   2 技術を教える
   3 随伴性を設定する
   4 なぜ随伴性か

索引

サイコラム一覧
1 感覚を遮断されたら
2 構えの効果
3 系列位置効果
4 記憶の臨床・異常・病理
5 ラザルスの認知的ストレス論と情動
6 疾病と感情の関係
7 心的飽和
8 要求水準
9 血液型と性格は関係しているか?
10 愛着の不安定
11 乳幼児期の「分離-個体化」
  -マーラーの乳幼児の発達理論
12 子どもの自己制御機能
13 家族病理に起因する子どもの行動問題
14 長期の母子分離による心理的変化
15 関係性の世代間連鎖
16 ロマンチック・アタッチメント
17 自殺者数の推移
18 要請・説得のテクニック
19 同調行動-人のフリ見て……
20 パーソナルスペースと援助の「場」
21 面接技法の効果
22 動機づけ面接
23 ストローク
24 医療における心理的援助
25 「~しない」はなぜ行動でないと考えるのか?
26 闘病意欲との関連
27 トークンの利点