言語発達障害学 第2版
学生に必要な知識を網羅。最新の知見と実践的な情報を盛り込んだテキスト
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言語聴覚士養成校における「言語発達障害学」の講義に最適なテキストの第2版。初版発行後の最新の知見を盛り込むとともに、2013年に改定された言語聴覚士国家試験出題基準を踏まえ、「言語発達障害の病態」や「青年期・成人期における支援」の項目を追加するなど、学生が言語発達障害学を学ぶうえで必要な知識を網羅している。また、2014年に邦訳が発刊された「DSM-5」の内容にも対応した記述となっている。
*「標準言語聴覚障害学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 標準言語聴覚障害学 |
---|---|
シリーズ監修 | 藤田 郁代 |
編集 | 玉井 ふみ / 深浦 順一 |
発行 | 2015年02月判型:B5頁:328 |
ISBN | 978-4-260-02079-4 |
定価 | 5,500円 (本体5,000円+税) |
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序文
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第2版の序
2010年の本書の刊行から約5年が経過した今,時代の変化に対応し,子どもたちへの思いを未来に託して,第2版をお届けできることに感謝したい.第2版では初版の構成と方針を踏襲しつつ,言語聴覚士をめざす学生や関連領域の専門家が基礎的な知識を関連付けながら学べるようにわかりやすく解説すること,最新の知見と臨床に役立つ実践的な情報を盛り込むことを念頭に改訂作業に取り組んだ.
2001年に世界保健機関(WHO)で採択された国際生活機能分類(ICF)は「障害」の概念に変化をもたらし,支援のあり方や方法論に影響を与えた.ICFは健康状態を生活機能と環境因子や個人因子との相互作用として捉える.心身機能・身体構造だけでなく活動,参加を含む生活機能という視点は「障害」というマイナス面だけでなくプラスの側面を重視することになり,臨床の幅の拡がりが期待できる.言語・コミュニケーションの発達支援は,子どもたちが他者とのコミュニケーションを通して,安心して生活を楽しむことができること,その人らしく生き生きと充実した生き方ができることをめざすものである.
近年,神経科学や脳科学の進歩がめざましい.多くの疾患の病因が遺伝子レベルで解明され,行動や障害と脳機能との関連が明らかになってきている.本書では第1章に「言語発達障害の病態」の項目を新たに加え,言語発達障害を脳機能の発達や病理から捉える視点を示している.
診断・評価に関する動向として,米国精神医学会から「精神疾患の診断・統計マニュアル」の最新版DSM-5が出版され,WHOによる国際疾病分類ICD-10も近々改訂されるという.本書では,第4章を中心にDSM-5の変更点について解説している.また,神経心理学の進歩に伴い,評価のための検査バッテリーや,本邦における言語発達検査と評価に基づく支援プログラムの開発について,主に第2,3,5章で紹介している.
さらに教育と福祉に関連して,第6章では2007年にスタートした特別支援教育,2012年の障害者自立支援法から障害者総合支援法への移行などに伴う地域支援システムの発展の中における言語聴覚士の役割について提言している.また,今回新たに追加した「青年期・成人期における支援」の項目でも,日常生活の中でのコミュニケーションを通じてその人なりの自己実現や社会参加を達成できるような支援を行うために,言語聴覚士による臨床活動の開拓の必要性が提案されている.
最後になるが,第2版ではいくつかの項目で執筆者の交代をお願いした.初版で執筆された先生方に対し,これまでのお力添えに心からの御礼を申しあげるとともに,第2版でご執筆くださった先生方ならびに医学書院編集部担当者に深謝申しあげる.
2015年1月
編集
玉井ふみ
深浦順一
2010年の本書の刊行から約5年が経過した今,時代の変化に対応し,子どもたちへの思いを未来に託して,第2版をお届けできることに感謝したい.第2版では初版の構成と方針を踏襲しつつ,言語聴覚士をめざす学生や関連領域の専門家が基礎的な知識を関連付けながら学べるようにわかりやすく解説すること,最新の知見と臨床に役立つ実践的な情報を盛り込むことを念頭に改訂作業に取り組んだ.
2001年に世界保健機関(WHO)で採択された国際生活機能分類(ICF)は「障害」の概念に変化をもたらし,支援のあり方や方法論に影響を与えた.ICFは健康状態を生活機能と環境因子や個人因子との相互作用として捉える.心身機能・身体構造だけでなく活動,参加を含む生活機能という視点は「障害」というマイナス面だけでなくプラスの側面を重視することになり,臨床の幅の拡がりが期待できる.言語・コミュニケーションの発達支援は,子どもたちが他者とのコミュニケーションを通して,安心して生活を楽しむことができること,その人らしく生き生きと充実した生き方ができることをめざすものである.
近年,神経科学や脳科学の進歩がめざましい.多くの疾患の病因が遺伝子レベルで解明され,行動や障害と脳機能との関連が明らかになってきている.本書では第1章に「言語発達障害の病態」の項目を新たに加え,言語発達障害を脳機能の発達や病理から捉える視点を示している.
診断・評価に関する動向として,米国精神医学会から「精神疾患の診断・統計マニュアル」の最新版DSM-5が出版され,WHOによる国際疾病分類ICD-10も近々改訂されるという.本書では,第4章を中心にDSM-5の変更点について解説している.また,神経心理学の進歩に伴い,評価のための検査バッテリーや,本邦における言語発達検査と評価に基づく支援プログラムの開発について,主に第2,3,5章で紹介している.
さらに教育と福祉に関連して,第6章では2007年にスタートした特別支援教育,2012年の障害者自立支援法から障害者総合支援法への移行などに伴う地域支援システムの発展の中における言語聴覚士の役割について提言している.また,今回新たに追加した「青年期・成人期における支援」の項目でも,日常生活の中でのコミュニケーションを通じてその人なりの自己実現や社会参加を達成できるような支援を行うために,言語聴覚士による臨床活動の開拓の必要性が提案されている.
最後になるが,第2版ではいくつかの項目で執筆者の交代をお願いした.初版で執筆された先生方に対し,これまでのお力添えに心からの御礼を申しあげるとともに,第2版でご執筆くださった先生方ならびに医学書院編集部担当者に深謝申しあげる.
2015年1月
編集
玉井ふみ
深浦順一
目次
開く
第1章 言語発達障害とは
1 言語・コミュニケーションの発達
A 言語とコミュニケーション
B 言語・コミュニケーションの発達
2 言語発達の阻害要因と言語発達障害
A 言語発達障害とは
B 言語発達の阻害要因と言語発達障害
3 言語発達障害の臨床
A 評価・診断
B 指導・支援
C 言語発達障害の臨床と本書の活用法
4 言語発達障害の病態
A 発達の生理学
B 発達病理(発生異常,周産期障害など)
C 脳機能の発達
第2章 言語発達障害の評価・診断
1 情報収集
A 主訴
B 生育歴
C 現症
D 関連領域からの情報
E 情報収集の方法
F 情報収集の実際(面接)
2 検査
A 検査による言語発達の評価
B 発達検査・知能検査
C 言語発達・言語学習能力検査
D 言語発達に関連するその他の検査
E 言語発達段階による評価の視点と検査の適用
3 検査結果のまとめと評価
A 検査結果のまとめ
B 総合評価(包括的な発達アセスメント)
C 支援方針
第3章 言語発達の評価と支援
1 前言語期
A 前言語期と発達の捉え方
B 音声言語とコミュニケーションの発達
C 評価
D 指導・支援
2 語彙獲得期
A 語彙獲得期とは
B 語彙獲得の概要
C 語彙発達
D 語彙獲得の2段階
E 語彙獲得を説明するための理論
F 言語発達の認知的基盤
G 語用論から見たコミュニケーション発達
H 評価の手順
I 発達の指標
J 支援の考え方・方法
3 幼児期
[1 語彙・構文の発達]
A 語彙の発達
B 構文の発達
C 評価
D 支援
[2 語用・談話の発達]
A 語用論 pragmatics とは
B 言語使用(語用論的知識)の発達
C 語用論的視点からの評価
D 語用論的視点からの支援
E まとめ
[3 音韻意識の発達]
A 話しことばの発達
B 音韻意識の発達
C 幼児期の子どもの読み書きの力
D プレリテラシー/エマージェント リテラシー
E 支援のために
4 学童期
[1 学童期の言語発達]
A 定型の発達
B 言語障害の種類と評価
C 支援
[2 学童期の読み書きの発達]
A 読み書きの発達
B 読み書きの基礎になる認知能力
C 評価
D 障害特性と支援
E 今後の課題
第4章 関連する障害の特性と支援
1 自閉症スペクトラム障害
A 自閉症スペクトラム障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
2 知的障害
A 知的障害とは
B 言語・コミュニケーションの特徴
C 評価
D 支援
3 特異的言語発達障害
A 特異的言語発達障害とは
B 言語・コミュニケーションの特徴
C 評価
D 支援-英語圏における言語指導(文法指導を中心に)
E 課題と展望
4 学習障害
A 学習障害とは
B 学習障害の各タイプ
C 発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)
D 計算障害,算数障害
5 注意欠如・多動性障害
A 注意欠如・多動性障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
6 脳性麻痺・重複障害
A 脳性麻痺・重複障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
E 課題と展望
第5章 言語発達障害の支援方法と実際
1 〈S-S法〉
A 〈S-S法〉の基本的な概念
B 臨床のフレームワーク
C 支援の実際(症例への適用)
D 包括的評価・訓練プログラムとしての〈S-S法〉の拡がり
2 語用論的アプローチ
A 語用論的アプローチとは
B 支援の方法-事例をもとに
3 拡大・代替コミュニケーション(AAC)
A 定義
B 概要
C 評価
D 支援プログラムを考えるうえでの原則
E 支援の方法と実際
4 TEACCH自閉症プログラム
A TEACCHとは
B 構造化とは
C 言語聴覚療法への応用
5 発達障害児へのコミュニケーション支援-学童期のグループ指導
A 発達障害とは
B 学童期の発達障害児の特徴と問題点
C 発達障害児へのグループ指導
D グループ指導において明らかとなる問題点と援助
E グループ指導の具体例
第6章 言語発達障害の療育・支援
1 乳幼児期における支援
[1 乳幼児健診と療育・支援システムにおける言語聴覚士の役割]
A 早期発見・早期療育の最近の動向
B 乳幼児健診における言語聴覚士の役割
C 1歳6か月児健診における聴覚・言語発達検診について
D 地域療育・支援システムを活用した段階的フォローアップシステム体制
E 乳幼児健診における聴覚・言語発達検診の今後の課題
[2 保育所・幼稚園との連携・支援における言語聴覚士の役割]
A 目的・意義
B 方法・内容
C 事例
2 学童期における支援
[1 学校における支援]
A 特別支援教育について
B 学校への言語聴覚士の配置・活用に関する近年の動向
C 今後の展望と課題
[2 学童期における言語聴覚士の役割]
A 特別支援教育における言語聴覚士の役割
B 地域支援
C 家族支援
3 青年期・成人期における支援
A 青年期・成人期の目標
B 青年期・成人期の特徴
C 支援に当たっての基本姿勢
D 言語聴覚士の役割
E 高等教育機関における支援ニーズ
F 生活支援・就労支援
G 社会参加のための活動の創出
H 合理的配慮
参考図書
索引
1 言語・コミュニケーションの発達
A 言語とコミュニケーション
B 言語・コミュニケーションの発達
2 言語発達の阻害要因と言語発達障害
A 言語発達障害とは
B 言語発達の阻害要因と言語発達障害
3 言語発達障害の臨床
A 評価・診断
B 指導・支援
C 言語発達障害の臨床と本書の活用法
4 言語発達障害の病態
A 発達の生理学
B 発達病理(発生異常,周産期障害など)
C 脳機能の発達
第2章 言語発達障害の評価・診断
1 情報収集
A 主訴
B 生育歴
C 現症
D 関連領域からの情報
E 情報収集の方法
F 情報収集の実際(面接)
2 検査
A 検査による言語発達の評価
B 発達検査・知能検査
C 言語発達・言語学習能力検査
D 言語発達に関連するその他の検査
E 言語発達段階による評価の視点と検査の適用
3 検査結果のまとめと評価
A 検査結果のまとめ
B 総合評価(包括的な発達アセスメント)
C 支援方針
第3章 言語発達の評価と支援
1 前言語期
A 前言語期と発達の捉え方
B 音声言語とコミュニケーションの発達
C 評価
D 指導・支援
2 語彙獲得期
A 語彙獲得期とは
B 語彙獲得の概要
C 語彙発達
D 語彙獲得の2段階
E 語彙獲得を説明するための理論
F 言語発達の認知的基盤
G 語用論から見たコミュニケーション発達
H 評価の手順
I 発達の指標
J 支援の考え方・方法
3 幼児期
[1 語彙・構文の発達]
A 語彙の発達
B 構文の発達
C 評価
D 支援
[2 語用・談話の発達]
A 語用論 pragmatics とは
B 言語使用(語用論的知識)の発達
C 語用論的視点からの評価
D 語用論的視点からの支援
E まとめ
[3 音韻意識の発達]
A 話しことばの発達
B 音韻意識の発達
C 幼児期の子どもの読み書きの力
D プレリテラシー/エマージェント リテラシー
E 支援のために
4 学童期
[1 学童期の言語発達]
A 定型の発達
B 言語障害の種類と評価
C 支援
[2 学童期の読み書きの発達]
A 読み書きの発達
B 読み書きの基礎になる認知能力
C 評価
D 障害特性と支援
E 今後の課題
第4章 関連する障害の特性と支援
1 自閉症スペクトラム障害
A 自閉症スペクトラム障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
2 知的障害
A 知的障害とは
B 言語・コミュニケーションの特徴
C 評価
D 支援
3 特異的言語発達障害
A 特異的言語発達障害とは
B 言語・コミュニケーションの特徴
C 評価
D 支援-英語圏における言語指導(文法指導を中心に)
E 課題と展望
4 学習障害
A 学習障害とは
B 学習障害の各タイプ
C 発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)
D 計算障害,算数障害
5 注意欠如・多動性障害
A 注意欠如・多動性障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
6 脳性麻痺・重複障害
A 脳性麻痺・重複障害とは
B 言語・コミュニケーション障害の特徴
C 評価
D 支援
E 課題と展望
第5章 言語発達障害の支援方法と実際
1 〈S-S法〉
A 〈S-S法〉の基本的な概念
B 臨床のフレームワーク
C 支援の実際(症例への適用)
D 包括的評価・訓練プログラムとしての〈S-S法〉の拡がり
2 語用論的アプローチ
A 語用論的アプローチとは
B 支援の方法-事例をもとに
3 拡大・代替コミュニケーション(AAC)
A 定義
B 概要
C 評価
D 支援プログラムを考えるうえでの原則
E 支援の方法と実際
4 TEACCH自閉症プログラム
A TEACCHとは
B 構造化とは
C 言語聴覚療法への応用
5 発達障害児へのコミュニケーション支援-学童期のグループ指導
A 発達障害とは
B 学童期の発達障害児の特徴と問題点
C 発達障害児へのグループ指導
D グループ指導において明らかとなる問題点と援助
E グループ指導の具体例
第6章 言語発達障害の療育・支援
1 乳幼児期における支援
[1 乳幼児健診と療育・支援システムにおける言語聴覚士の役割]
A 早期発見・早期療育の最近の動向
B 乳幼児健診における言語聴覚士の役割
C 1歳6か月児健診における聴覚・言語発達検診について
D 地域療育・支援システムを活用した段階的フォローアップシステム体制
E 乳幼児健診における聴覚・言語発達検診の今後の課題
[2 保育所・幼稚園との連携・支援における言語聴覚士の役割]
A 目的・意義
B 方法・内容
C 事例
2 学童期における支援
[1 学校における支援]
A 特別支援教育について
B 学校への言語聴覚士の配置・活用に関する近年の動向
C 今後の展望と課題
[2 学童期における言語聴覚士の役割]
A 特別支援教育における言語聴覚士の役割
B 地域支援
C 家族支援
3 青年期・成人期における支援
A 青年期・成人期の目標
B 青年期・成人期の特徴
C 支援に当たっての基本姿勢
D 言語聴覚士の役割
E 高等教育機関における支援ニーズ
F 生活支援・就労支援
G 社会参加のための活動の創出
H 合理的配慮
参考図書
索引
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