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緩和ケアエッセンシャルドラッグ 第3版

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緩和ケアに必須の薬剤・諸症状のマネジメントについて、著者の経験・知識に基づいた貴重なノウハウと情報が満載の臨床で使える1冊。今改訂では、トラマドールやメサドンなどの重要な新薬をはじめ、全51成分56製剤を厳選して収載。また、症状マネジメントの解説も全面的に改訂を行い、一段と内容が充実した。コンパクトサイズのまま、より見やすく使いやすい紙面に。緩和ケアスタッフ必携の好評書、待望の第3版完成。
恒藤 暁 / 岡本 禎晃
発行 2014年10月判型:三五変頁:334
ISBN 978-4-260-02023-7
定価 2,420円 (本体2,200円+税)
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第3版の序

 本書の初版を2008年に,第2版を2011年に発行した.第2版発行から3年が経過し,この間,世界保健機関は『WHO必須医薬品モデル・リスト』の最新の第18版を2013年に公表している.わが国では,がん対策基本計画に基づいて対策が進められ,2012年度から「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が唱われ,緩和ケア提供体制を充実させることに取り組まれている.日本緩和医療学会は,『専門家をめざす人のための緩和医療学』,『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014年版』,『終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン2013年版』,『がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版』,『がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2011年版』,『苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン2010年版』を順次発行している.このような状況下で,医療従事者の緩和ケアや症状マネジメントへの関心はさらに高まってきている.
 このたび本書第3版では,症状マネジメントのアップデート,新しい成分や剤形の薬剤の紹介を中心に改訂した.本書の「IV 症状マネジメントの概説」は,最新の文献の知見を基に20項目に増加し,全面改訂した.「V エッセンシャルドラッグ」は,(1)鎮痛薬としてアセトアミノフェンの注射剤,オキシコドンの注射剤,タペンタドール,フェンタニルのバッカル錠および舌下錠,メサドン,(2)骨痛に対する標的療法としてはデノスマブ,(3)抗うつ剤としてエスシタロプラムとセルトラリン,を追加した.また,ポケットサイズにするために,既に広く普及している薬剤を中心に項目の削除を行った.近年,ジェネリック医薬品の使用頻度が増えているが,読者の理解を助けるため商品名は代表的な先発品の名称を優先して掲載した.
 これまでに読者アンケートハガキなどを通していただいた貴重な意見も参考にさせていただいた.この場を借りてお礼を申しあげる.なお,できる限り最新の情報の掲載に努めたが,薬剤添付文書の改訂も頻繁に行われていることから,処方の際は最新の添付文書等で確認していただきたい.
 本書が緩和ケアを実践する医療従事者に,そして緩和ケアを受ける患者さんに役立てられることを願っている.本書をよりよいものにしていくため,第3版についても,読者諸氏からのご意見・ご教示をいただければ幸いである.

 2014年9月
 恒藤  暁
 岡本 禎晃

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I 本書の構成と使用法
II WHO必須医薬品モデル・リスト
III 症状マネジメントの原則
IV 症状マネジメントの概説
 1 がん疼痛
 2 がん関連倦怠感
 3 がん食欲不振・悪液質
 4 悪心・嘔吐
 5 腸閉塞
 6 便秘
 7 下痢
 8 腹水
 9 呼吸困難
 10 咳嗽
 11 胸水
 12 気道分泌過多
 13 転移性脳腫瘍
 14 脊髄圧迫
 15 高カルシウム血症
 16 不安
 17 抑うつ
 18 せん妄
 19 不眠
 20 苦痛緩和のための鎮静
V エッセンシャルドラッグ(50音順)
 アセトアミノフェン
 アゾセミド
 アミトリプチリン
 エスシタロプラム
 オキシコドン経口剤
 オキシコドン注射剤
 オクトレオチド
 オランザピン
 ガバペンチン
 クエチアピン
 ケタミン
 コデインリン酸塩
 酸化マグネシウム
 ジアゼパム
 ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合剤
 ジメンヒドリナート
 スピロノラクトン
 セルトラリン
 ゾルピデム
 ゾレドロン酸
 タペンタドール
 デキサメタゾン
 デノスマブ
 デュロキセチン
 トラマドール
 ドンペリドン
 ノルトリプチリン
 バルプロ酸
 ハロペリドール
 ピコスルファート
 フェンタニル経皮吸収型製剤(1日貼付型製剤)
 フェンタニル経皮吸収型製剤(3日貼付型製剤)
 フェンタニルバッカル錠
 フェンタニル舌下錠
 フェンタニル注射剤
 ブチルスコポラミン臭化物
 ブプレノルフィン
 フルニトラゼパム
 フルルビプロフェン
 プレガバリン
 プレドニゾロン
 プロクロルペラジン
 フロセミド
 プロポフォール
 ブロマゼパム
 プロメタジン
 ベタメタゾン
 ミダゾラム
 ミルタザピン
 メサドン
 メトクロプラミド
 モルヒネ
 リスペリドン
 リドカイン
 ロペラミド
 ロラゼパム

参考文献

索引
 薬効別索引
 薬剤名索引
 事項索引

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緩和ケアの症状と薬剤情報が系統的にまとめられ,現場でさっと手にとれる実践的な好著
書評者: 梅田 恵 (昭和大学大学院保健医療学研究科・がん看護専門看護師)
 がん医療や緩和ケアについての話題が,広く市民や患者・家族目線で語られることが増えてきた。臨床でも,これまで看護師は医師の顔色を見ながらオピオイドや症状緩和の薬剤の使用依頼をすることが主流であったが,最近は看護師に対し「患者の苦痛症状についてもっと早くに気付けないのか」と,前のめりの医師の姿勢が目立つようになってきている。確かに,がん医療と緩和ケアはパラレルで提供できるよう変化し,患者・家族のさらなる症状緩和や効果的な薬物療法への期待が高まってきている。

 看護師は薬剤の処方権を持っているわけではないが,薬物療法が適切に患者に活用され,その効果,つまりは症状の変化を生活の目線でキャッチする役割がある。さらに,患者が薬物療法を安心して積極的に活用できるよう,薬剤への誤解や不安を払拭し,患者の薬剤活用の力を高めていく役割も担っている。看護師自身が薬剤について適切な知識を持ち,患者に働きかける力を蓄えることが大前提である。特にがん医療に従事する看護師にとって,手術や放射線,抗癌剤治療を行っている段階から,痛みだけでない症状マネジメントの一端を担うことは不可欠となっている。医療者が症状に関心を持ち適切に対応することが,何よりも患者の薬物療法への理解を促し,効果的なマネジメントを可能にする。看護師も薬剤についての知識を蓄え,医師や薬剤師と薬剤の選択や継続に関して話し合えるぐらいの能力を蓄えたいものである。

 しかし,医薬品情報は専門用語が多く,難解であることが多い。また,薬剤の効果があるのか,どのような活用方法が適切であるのか,さらに症状の評価はどのように行うのかまで理解することは容易ではない。そのような情報が系統的にまとまり,しかも実践しながらさっと手にとれる資料として本書は活用できるよう編集されている。2008年に第1版が発売され,第2版,そして今回第3版の出版に至っていることが何よりの証であろう。

 緩和ケアで活用できる薬剤の適用は年々拡大を続けている。これはひとえに苦痛症状を患う人を少しでも早く救済することを願う多くの専門家の努力の結晶である。その結晶を,本書を通じて,さまざまな症状に苦しむ患者と日々向き合う医師や薬剤師,そして看護師により,一人でも多くの患者に届けていただくことを願っている。
緩和ケア実践の近道といえる全スタッフ必携の書
書評者: 加賀谷 肇 (明治薬科大学教授・臨床薬剤学)
 わが国の緩和医療を牽引してきた医師の恒藤暁先生と,緩和薬物療法認定薬剤師第一号である岡本禎晃先生による待望の新版が上梓された。

 著者たちは,症状マネジメントが緩和ケアの出発点というコンセプトの下,症状マネジメントの必須薬をこの本に集約している。すなわち本書を習得することが緩和ケア実践の近道ということができる。

 改訂ごとに分厚くなっていく書籍が多い中,第3改訂にもかかわらず従来のコンパクトなスリムボディーが変わらないことには敬意を表したい。

 評者は2008年の初版本をグリーンブック,2011年の第2版はオレンジブックとして愛用してきた。このたびの第3版は装丁がブルーに変わったのでブルーブックと呼称を変更しようと考えている。

 さて,今回の改訂で気付いたことを以下に列記してみたい。

・がんの症状マネジメントと緩和ケア薬剤情報を機能的にまとめたクイックリファレンスがこれまでと同様にとても使い勝手がよい。

・IV章「症状マネジメントの概説」は緩和医療関連ガイドラインの改訂に伴って大幅にアップデートされ,20項目に増加された。

・V章「エッセンシャルドラッグ」もアップデートされ,最新の薬剤を含め9製剤(アセトアミノフェン注射剤・オキシコドン注射剤・タペンタドール・フェンタニルバッカル錠・フェンタニル舌下錠・メサドン・デノスマブ・エスシタロプラム・セルトラリン)が新規に追加された。

 緩和ケアに携わる医師の処方設計,薬剤師の処方支援,看護師の症状マネジメントなどについて,簡潔で,わかりやすく,見やすい本書が威力を発揮することは間違いない。また,これから緩和ケアにかかわる医学生,薬学生,看護学生には臨床での必携の書としてお薦めしたい。
著者の知識と経験を生かし,臨床に役立つ要点をまとめたポケットブック
書評者: 元雄 良治 (金沢医大教授・腫瘍内科学/金沢医大病院集学的がん治療センターセンター長)
 本書を持つと,そのコンパクトなサイズと適度な厚さのため,すぐ手になじむ。

 まず,「本書の構成と使用法」が記され,それに続く「WHO必須医薬品モデル・リスト」「症状マネジメントの原則」「症状マネジメントの概説」「エッセンシャルドラッグ」から本書は構成されている。「WHO必須医薬品モデル・リスト(WHO Model Lists of Essential Medicines)」は最新の18版が2013年に公表されている。有効性・安全性・経済性を考慮し,主に開発途上国での最小限必要な医薬品が収録されている。特記すべきは,これまで腫瘍学のセッションに含まれていた緩和ケア関連薬剤が,「痛みと緩和ケアのための薬」として独立し,しかも成人用の30セクションのうちの2番目に位置付けられた点である。本書はこのリストを参考に,わが国の現状に適合させて選ばれた薬剤を扱っている。実際,「エッセンシャルドラッグ」の章には51成分(56薬剤)がリストアップされている。

 「症状マネジメントの原則」は2ページのみの記載であるが,「まず第1に患者に尋ねる」から始まる診療上の鉄則が5項目挙げられている。「症状マネジメントの概説」の章では,がん疼痛から苦痛緩和のための鎮静までの20項目を挙げ,概念・原因・マネジメントとケア・薬物療法などがわかりやすく書かれている。

 本書の大部分を占める「エッセンシャルドラッグ」の章は,アセトアミノフェンからロラゼパムまで五十音順に掲載されており,オキシコドンは経口剤と注射剤,フェンタニルは1日貼付型製剤・3日貼付型製剤・バッカル錠・舌下錠・注射剤が挙げられている。そこで実際に本書で薬剤を調べてみた。「プレガバリン」のページ(p 235)を開くと,最初にPointとして8つのことが挙げられている。神経障害性疼痛治療薬である,生体内利用率が高く,作用持続時間が長いこと,構造・作用機序,開始初期に鎮静作用が出るので少量から開始すること,相互作用は少ないが眠気・めまいなどの副作用がある点,急な中止で退薬症候が出る可能性があるので漸減することなど,臨床ですぐに役立つ要点ばかりである。その後には剤形・適応・用法―用量・副作用・相互作用・薬物動態・慎重投与について,簡潔に3ページでまとめられている。まさに「ポケットに,その場で役立つ専門知識と安心感を」という本書の特徴がよく理解できた。

 二色刷りで見やすく,参考文献は2013年・2014年のものがほとんどであり,最新の情報となっている。著者の恒藤先生と岡本先生の経験と知識が随所に生かされた本書をポケットに準備して緩和ケアに臨んでいただきたい。

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