医学書院

検索
HOME書籍・電子メディア > 書籍詳細


アセスメントとケアが変わる

褥瘡エコー診断入門


著:水原 章浩/富田 則明/浦田 克美

  • 判型 B5
  • 頁 120
  • 発行 2012年09月
  • 定価 4,104円 (本体3,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-01680-3
DTIを鑑別し、ポケットの範囲を特定する。本邦初の褥瘡エコー診断実践書!
褥瘡のエコー診断についてまとめた、本邦初の本格的な実践書。エコー機器が小型化・高性能化するなか、DTI、ポケットの正確な評価など、褥瘡診療の分野でのエコーの活用に注目が集まっている。本書では、先進的に褥瘡エコー診断を行なっている著者らの実践事例とノウハウを紹介する。
序 文
はじめに
褥瘡エコーで褥瘡ケアに革命を


 褥瘡は予防が大切です。褥瘡を予防するためには、体圧分散マットレスの積極的な使用、適切な体位変換による除圧対策、そしてズレ予防が基本中の基本です。さらには患者さんのADLや栄養状態を評価するなど、褥瘡の危険がある高齢の寝たきり患者さんをト...
はじめに
褥瘡エコーで褥瘡ケアに革命を


 褥瘡は予防が大切です。褥瘡を予防するためには、体圧分散マットレスの積極的な使用、適切な体位変換による除圧対策、そしてズレ予防が基本中の基本です。さらには患者さんのADLや栄養状態を評価するなど、褥瘡の危険がある高齢の寝たきり患者さんをトータルに、そしてきめ細かく目配りしてケアをする必要があります。
 褥瘡を発見したら、目で見て(視診)、触って(触診)、さらには臭いをかいでといった、いわゆる五感をフルにはたらかせた観察、評価によって、次の処置、ケアを考えることが大切とされています。
 本書では、ここに「エコーで褥瘡を見る」という手段を加えることを提案します。
エコーは皮膚の表面からはわからない深部組織のダメージに関して客観的な情報を教えてくれます。その情報を、褥瘡ケアを行うスタッフ全員で共有することによって実践につなげることができるのです。
 褥瘡ケアにおいてもっともエコーが役立つのは、DTI(deep tissue injury)診断・評価の場面です。DTIとは一見、発赤程度で皮膚に潰瘍はないにもかかわらず、実はすでに皮下組織に損傷が生じていているという病態です。悪化するときわめて深い創になってしまうため、早期からの徹底した除圧対策が必要となります。褥瘡エコーを行うことによって、比較的容易にDTIの診断ができます。そしていち早く初動を起こすことで、創の悪化を最小限にし、治癒期間を短縮するという結果につなげることができるのです。
 心エコー、腹部エコーなど、エコー検査は現在ルーチンな検査として普及しており、ハード面そして検査技術の進歩も相まって診断能力の高さは素晴らしいものがあります。さらに、普及が進みつつあるポータブルエコーを使えば、回診中でもリアルタイムに手軽に検査することができます。
 本書では、エコーを駆使して褥瘡の診断に取り組んでいる東葛クリニック病院の臨床検査技師・超音波検査士の富田則明さん、ならびに同院皮膚・排泄ケア認定看護師の浦田克美さんとともに、褥瘡のエコー診断を解説します。
 本書が今後、褥瘡をエコーで見る方々の一助になることを願ってやみません。

 2012年8月
 水原章浩
目 次
Part 1 なぜ褥瘡エコーが必要なのか
 エコーで褥瘡の何を見るの?
 エコー検査が褥瘡ケアに貢献できること
  (1)DTIの鑑別
  (2)発赤を評価する
  (3)褥瘡の深達度を評価する
  (4)ポケットを評価する
 看護師が褥瘡エコーを行うメリット
  (1)皮下の観察情報を「見える化」するツールとして
  (2)予防ケアのモチベーション維持
 褥瘡エコー導入のために必要なこと
 ベッドサイドで使用できるエコー機器を調達する
 エコーを読むために
 どんなエコー機器を使用すればよいか

Part 2 習うより慣れろ エコー機器を使ってみる
 ウォーミングアップ
 エコーの特徴と褥瘡診療への活用
 組織間の「音響インピーダンスの差」が映像化される
  コラム エコーの3つのモード
 皮膚はエコーでどのように見えるのか?
 褥瘡エコーに用いるエコー機器
  (1)プローブの種類
  (2)周波数と分解能
 Depth(深さ)を設定する
 Gain(輝度)を調整する
 アーチファクト(虚像)の鑑別
  (1)多重反射
  (2)音響陰影(アコースティックシャドウ)
  (3)サイドローブ
  (4)音響増強
  (5)レンズ効果
  (6)鏡面現象
  (7)その他のアーチファクト
 画像表示の約束事
 エコー検査の準備
  (1)プローブにゼリーをつける
  (2)プローブをビニールで覆う
  (3)褥瘡や周囲の皮膚にプローブをあてる
 プローブの持ち方
 プローブの走査方法
 褥瘡エコーのために必要な診断技術

Part 3 褥瘡をエコーで見る
 皮膚の構造と褥瘡の分類
  (1)皮膚の構造とエコー画像
  (2)NPUAPの褥瘡分類と褥瘡エコー診断
 正常画像を覚える
  コラム 正常皮下組織=“千枚田”所見
  コラム フィブリラパターン
 褥瘡エコーで覚えておきたい4つの異常所見
  (1)不明瞭な層構造
  (2)不連続の筋膜
  (3)低エコー
  (4)拡散した低エコー(diffuse hypoechoic)
 どこを見ればいいのか?
 褥瘡エコーを行ううえでの注意点
 鑑別のポイント
  (1)発赤を鑑別する
  (2)褥瘡の深達度をエコーで判断する
  (3)ポケットをエコーで評価する
  (4)瘢痕治癒組織
 血流シグナルから炎症を評価する
  (1)炎症のエコー所見
  (2)褥瘡の血流シグナル測定の意義
  コラム ポケット切開とカラードップラ

Part 4 褥瘡エコーの実践10事例
 症例1 早期にDTIと診断した結果、治癒できた
 症例2 座位時のズレで発生したDTI
 症例3 DTIの治癒過程と瘢痕組織
 症例4 DTIから潰瘍を生じたが、悪化を防いだ
 症例5 ポケットと壊死組織
 症例6 発赤を有する急性期の褥瘡
 症例7 壊死組織のある褥瘡
 症例8 左大転子部の浅い褥瘡
 症例9 血流シグナルで見る炎症所見
 症例10 炎症から治癒まで