助産診断・技術学Ⅱ 第5版
[3]新生児期・乳幼児期
本書の特長
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➊新生児ケアをトータルに学習できます
正常経過とハイリスクのそれぞれで、新生児のアセスメントとケア、家族、家庭生活を含めたフォローアップまで、臨床で必要な新生児ケアのすべてを効率的に学ぶことができます。
➋現場に即した内容と最新の知識
「早産児・低出生体重児のケア」や「新生児の蘇生」など、現場で重要とされている内容を重点的に解説しています。
➌保健指導につながる「乳幼児の健康診査」
各時期の乳幼児の特徴・発達を理解し、保健指導につながる構成としています。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 助産学講座 8 |
---|---|
編集 | 横尾 京子 |
執筆 | 横尾 京子 / 石井 邦子 / 川城 由紀子 / 李 容桂 / 内田 美恵子 / 森口 紀子 / 標 美奈子 |
発行 | 2013年01月判型:B5頁:228 |
ISBN | 978-4-260-01577-6 |
定価 | 3,740円 (本体3,400円+税) |
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- 目次
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序文
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序
助産師をめぐる動向
近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。
改訂の趣旨
改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
今回改訂する助産診断・技術学は,妊娠・分娩・産褥各期における女性と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,助産師として正常・異常を判断できるよう,対象によりよい援助を提供するための基礎的実践能力が身につくようにまとめた。
本巻([3]新生児期・乳幼児期)では,新生児ケアの基本となるローリスク新生児のケアは,EBN(evidence-based nursing)およびNBN(narrative-based nursing)をふまえて,ケアの基本,適応生理とフィジカルアセスメント,出生時のケア,出生後24時間以降のケア,家庭生活への移行とフォーローアップ,乳幼児の健康診査とその実際について記述した。ハイリスク新生児については,生理学的適応や神経行動学的発達をたすけるケア,親・家族のケア,EBNや病態に基づく蘇生法やケア方法を詳細に記述した。
執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。
2012年11月
編者ら
助産師をめぐる動向
近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。
改訂の趣旨
改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
今回改訂する助産診断・技術学は,妊娠・分娩・産褥各期における女性と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,助産師として正常・異常を判断できるよう,対象によりよい援助を提供するための基礎的実践能力が身につくようにまとめた。
本巻([3]新生児期・乳幼児期)では,新生児ケアの基本となるローリスク新生児のケアは,EBN(evidence-based nursing)およびNBN(narrative-based nursing)をふまえて,ケアの基本,適応生理とフィジカルアセスメント,出生時のケア,出生後24時間以降のケア,家庭生活への移行とフォーローアップ,乳幼児の健康診査とその実際について記述した。ハイリスク新生児については,生理学的適応や神経行動学的発達をたすけるケア,親・家族のケア,EBNや病態に基づく蘇生法やケア方法を詳細に記述した。
執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。
2012年11月
編者ら
目次
開く
第1章 新生児のケア
A 新生児ケアの基本
1 新生児とは
2 新生児ケアの視点
B 新生児の適応生理
1 呼吸器系の適応
2 循環器系の適応
3 体温調節
4 肝機能の適応
5 消化器系の適応
6 水・電解質バランスと腎機能の適応
7 免疫系の適応
8 行動と感覚器系の適応
C フィジカルアセスメント
1 外観
2 バイタルサイン
3 皮膚
4 皮膚色
5 頭部
6 顔面
7 体幹
8 性器
9 四肢
10 神経学的状態
D 出生時のケア
1 リスク因子の確認
2 蘇生の必要性の評価とケア方針の決定
3 ルーチンケア
E 出生後24時間以内のケア
1 アセスメント
2 出生後の身体清潔
3 呼吸と体温の維持
4 哺乳と排泄
5 与薬
6 母親との相互作用や家族とのかかわり
7 感染予防
8 新生児の安全の確保
F 出生後24時間以降の早期新生児のケア
1 呼吸・循環・体温
2 睡眠-覚醒リズム
3 栄養
4 皮膚の清潔
5 新生児黄疸
6 新生児マススクリーニング
G 家庭生活への移行とフォローアップ
1 退院に向けての準備
2 退院から健診までの育児支援
第2章 NICUとハイリスク新生児のケア
A ハイリスク新生児ケアの基本
1 NICUとは
2 ハイリスク新生児ケアの基盤
3 ハイリスク新生児ケアの視点
B 生理学的適応をたすけるケア
1 体温管理
2 呼吸循環管理
3 水・電解質管理
4 栄養管理
5 感染予防
C 神経行動学的発達をたすけるケア
1 胎児・新生児における脳神経系の発達
2 新生児の保育環境を整える
3 個々の児に適したケアを行う
4 児の養育に家族を取り込む
5 NIDCAP®(Newborn Individualized Developmental Care and Assessment Program)
D 親・家族のケアと協働
1 治療・看護内容の理解と意思決定をたすける
2 NICUという環境への適応をたすける
3 親子関係形成および親となる過程を支える
4 家庭保育の準備と訪問看護
E 新生児の蘇生
1 新生児仮死の病態および評価方法
2 蘇生のステップと新生児蘇生法の実際
F 早産児・超低出生体重児のケア
1 近年における人口動態および新生児医療の変遷
2 超低出生体重児の一般的養護
3 超低出生体重児の急性期管理
4 超低出生体重児の慢性期管理
5 超低出生体重児の発育発達予後
G ハイリスク児の主要な病態とケア
1 胎児発育異常
2 呼吸障害
3 チアノーゼと心不全
4 多血と蒼白
5 嘔吐と腹部膨満
6 新生児けいれん
7 病的黄疸
8 感染症
9 新生児外科疾患
第3章 乳幼児の発育発達と健康診査
A 乳幼児の健康診査
1 乳幼児健康診査の変遷
2 乳幼児健康診査の目的と意義
3 乳幼児健康診査が行われる場
4 乳幼児健康診査に必要な技術
B 乳幼児健康診査の実際
1 1か月児健康診査
2 4か月児健康診査
3 1歳6か月児健康診査
4 3歳児健康診査
5 健康診査と事後フォロー
6 育児支援としての健康診査
7 保健師との連携
索引
A 新生児ケアの基本
1 新生児とは
2 新生児ケアの視点
B 新生児の適応生理
1 呼吸器系の適応
2 循環器系の適応
3 体温調節
4 肝機能の適応
5 消化器系の適応
6 水・電解質バランスと腎機能の適応
7 免疫系の適応
8 行動と感覚器系の適応
C フィジカルアセスメント
1 外観
2 バイタルサイン
3 皮膚
4 皮膚色
5 頭部
6 顔面
7 体幹
8 性器
9 四肢
10 神経学的状態
D 出生時のケア
1 リスク因子の確認
2 蘇生の必要性の評価とケア方針の決定
3 ルーチンケア
E 出生後24時間以内のケア
1 アセスメント
2 出生後の身体清潔
3 呼吸と体温の維持
4 哺乳と排泄
5 与薬
6 母親との相互作用や家族とのかかわり
7 感染予防
8 新生児の安全の確保
F 出生後24時間以降の早期新生児のケア
1 呼吸・循環・体温
2 睡眠-覚醒リズム
3 栄養
4 皮膚の清潔
5 新生児黄疸
6 新生児マススクリーニング
G 家庭生活への移行とフォローアップ
1 退院に向けての準備
2 退院から健診までの育児支援
第2章 NICUとハイリスク新生児のケア
A ハイリスク新生児ケアの基本
1 NICUとは
2 ハイリスク新生児ケアの基盤
3 ハイリスク新生児ケアの視点
B 生理学的適応をたすけるケア
1 体温管理
2 呼吸循環管理
3 水・電解質管理
4 栄養管理
5 感染予防
C 神経行動学的発達をたすけるケア
1 胎児・新生児における脳神経系の発達
2 新生児の保育環境を整える
3 個々の児に適したケアを行う
4 児の養育に家族を取り込む
5 NIDCAP®(Newborn Individualized Developmental Care and Assessment Program)
D 親・家族のケアと協働
1 治療・看護内容の理解と意思決定をたすける
2 NICUという環境への適応をたすける
3 親子関係形成および親となる過程を支える
4 家庭保育の準備と訪問看護
E 新生児の蘇生
1 新生児仮死の病態および評価方法
2 蘇生のステップと新生児蘇生法の実際
F 早産児・超低出生体重児のケア
1 近年における人口動態および新生児医療の変遷
2 超低出生体重児の一般的養護
3 超低出生体重児の急性期管理
4 超低出生体重児の慢性期管理
5 超低出生体重児の発育発達予後
G ハイリスク児の主要な病態とケア
1 胎児発育異常
2 呼吸障害
3 チアノーゼと心不全
4 多血と蒼白
5 嘔吐と腹部膨満
6 新生児けいれん
7 病的黄疸
8 感染症
9 新生児外科疾患
第3章 乳幼児の発育発達と健康診査
A 乳幼児の健康診査
1 乳幼児健康診査の変遷
2 乳幼児健康診査の目的と意義
3 乳幼児健康診査が行われる場
4 乳幼児健康診査に必要な技術
B 乳幼児健康診査の実際
1 1か月児健康診査
2 4か月児健康診査
3 1歳6か月児健康診査
4 3歳児健康診査
5 健康診査と事後フォロー
6 育児支援としての健康診査
7 保健師との連携
索引
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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