肝癌診療マニュアル 第2版

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肝臓専門医はもとより、肝癌を専門としない医師にも有用な診療マニュアル。早期発見のためのスクリーニング法、各種検査の使い分け方、さまざまな治療法の概要と適応、治療効果判定の仕方、フォローアップのポイントなど、最新の診療ガイドライン、肝臓学会におけるコンセンサスをふまえ簡潔に解説する。肝癌患者に最善の医療を提供するために必要な情報を凝縮した1冊。
編集 日本肝臓学会
発行 2010年07月判型:B5頁:192
ISBN 978-4-260-01071-9
定価 3,080円 (本体2,800円+税)
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第2版の序

 2007年3月に日本肝臓学会から『肝癌診療マニュアル』が上梓されてから3年以上経過し,この間肝癌の診療面でいくつかの点で大きな進歩がみられた.今回それを織り込んで改訂版を出すことになった.肝炎治療の進歩によりC型肝炎由来の肝癌は確実に減少し,肝癌の発生頻度は減少しているが,高齢者肝癌や後述する非B非C型肝癌の増加など,依然として肝癌は臨床上きわめて重要な疾患である.
 肝炎ウイルス感染が原因でないと思われる肝癌,すなわち非B非C型肝癌の多くは大量飲酒や最近話題の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)由来と想定されているが,わが国では過去10年間で非B非C型肝癌が倍増している.国民1人当たりの飲酒量は増加しておらず,増加分の多くにNASHが関与していると想像されるが正確な疫学は明らかでない.現在でもわが国では肝炎ウイルス感染起因の肝癌が圧倒的に多く,これらウイルス起因の肝癌に関しては,抗ウイルス療法の進歩により明らかに肝発癌が抑制できるようになっている.さらに新しい抗ウイルス剤の開発が欧米を中心に急速に進むとともに,抗ウイルス剤以外のいわゆる発癌予防剤も登場する可能性が高く,肝炎ウイルス起因の肝癌は確実に減少すると期待される.
 診断面ではソナゾイド®,EOBなどの新しい造影剤の出現と機器の進歩により超音波検査,MRIやCTなど画像検査で数mmの肝癌まで確実に診断できるようになった.
 治療面ではラジオ波焼灼療法(RFA)と外科手術で局所の肝癌は完全に制圧できるものの,最終的には再発を繰り返し肝不全となり長期予後が不良の癌であり,その対策が急務である.それに期待されるのが分子標的治療薬であるが,現時点では,一定の効果はあるもののわれわれの期待に応えるには不十分で,副作用の問題もあり投与対象症例は限定される.ただ,新たな分子標的治療薬の開発は進んでおり,進行肝癌への画期的な薬剤の出現が待たれる.
 本書は現在のわが国における肝癌診療の基礎・臨床の最新情報を網羅したものである.ウイルス肝炎への適切な治療による肝発癌予防や早期診断により,肝癌での死亡者を確実に減少させることが可能な時代となった.本書は肝臓専門医はもとより,非専門医の先生方にも大いに役立つものと確信している.
 本書の企画・執筆に従事して下さった工藤正俊先生をはじめ日本肝臓学会企画広報委員会のメンバーと各執筆者,ならびに医学書院の関係者に深謝し,序文とする.

 2010年5月
 日本肝臓学会企画広報委員会担当理事
 岡上 武

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Consensus Statement

第1章 肝癌発癌機序・疫学とハイリスク患者の設定
 A.B型肝炎からの発癌機序
 B.C型肝炎からの発癌機序
 C.NASHからの発癌機序
 D.肝癌の疫学とハイリスク患者の設定
第2章 肝癌診療に必要な病理学
第3章 肝発癌予防
第4章 肝癌早期発見のためのスクリーニング法
第5章 肝癌の診断
 A.腫瘍マーカー
 B.画像診断
  1.総論
  2.CTとMRIの使い分け
  3.どのようなときにGd-EOB-MRIを行うか
  4.どのようなときにCTAP,CTHAを行うか
  5.どのようなときに造影超音波を行うか
  6.早期肝癌の画像的特徴
 C.肝癌診断のアルゴリズム
  1.多血性肝細胞癌の診断アルゴリズム
  2.乏血性肝細胞性結節(境界病変,異型結節,早期肝癌)は
    どのような場合に治療すべきか
第6章 肝癌の治療
 A.総論
 B.肝癌診療のためのステージングシステム
 C.肝癌治療の実際
  1.肝切除
  2.高度進行肝癌に対する肝灌流併用肝切除
  3.内科的局所治療
  4.TACE
  5.肝動注化学療法
  6.肝移植
  7.放射線治療
  8.全身化学療法と分子標的治療
 D.肝癌治療のアルゴリズム
  1.肝癌に対する根本的治療をどう使い分けるか―切除 vs 局所治療
  2.肝動脈化学塞栓療法,肝動脈化学療法,リザーバー肝動注化学療法を
    どう使い分けるか
  3.TACE不応例に対する治療指針
  4.肝動注化学療法と分子標的薬をどう使い分けるか
  5.肝癌全体の治療アルゴリズム
第7章 肝癌の治療効果判定の仕方
 A.RFA後の治療効果判定
 B.TACE後の治療効果判定
 C.肝動注化学療法の効果判定
 D.腫瘍マーカーによる効果判定
第8章 肝癌治療後のフォローアップの仕方
 A.肝癌治療後のフォローアップの要点
 B.肝癌根治後の再発抑制治療
 C.肝癌根治的治療後の再発の早期発見
 D.再発癌に対する治療法の選択
 E.肝癌に対する肝移植後のフォローアップの要点
 F.肝移植後のウイルス肝炎対策
第9章 肝癌診療における病診・病病連携の仕方
第10章 がん治療の臨床開発デザインのABC

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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