序
昨年の2008年版で半世紀という節目を迎えた『今日の治療指針』は,2009年版の本書で次の半世紀に向けて新たな一歩を踏み出した.常に進歩している臨床医学において,『今日の治療指針』がこれまでの蓄積をふまえたうえで,時代のニーズに対応し,引き続き多くの医療関係者に支持される最高の治療年鑑たることを願っている.
本書では,創刊時より本文項目すべてについて,毎年新執筆者による全面新訂とすることで,常に新しい情報の提供を心がけている.また,「私はこう治療している」という方針のもとに,長年の経験に基づいた具体的かつ実践的な治療法の解説をお願いしてきたが,同時に診療ガイドラインの整備が進んだ近年の状況をふまえたEBMの視点も取り込まれた内容となっている.
医療現場では常に一人ひとりの患者の状況に応じた臨床判断を迫られる.この判断には,エビデンスとともに,経験に基づいた情報が必要であり,各領域のエキスパートにより膨大な情報を凝縮した本書が実地医家にとって大いに役立つであろう.
今版では,全27章1,094項目にわたって実践的な治療法を紹介すべく,各領域の専門家である責任編集,1,065名の執筆者をはじめ多くの先生方に多大なるご尽力をいただいた.
また,コラム「服薬指導・薬剤情報」では,新たに項目を追加するなど見直しをはかり,付録では「薬物の副作用と相互作用」の副作用部分を全面的に改訂した.重要で頻度の高い副作用について,副作用症状の詳細,可能性の高い薬剤,具体的な対処法を掲載し,より使いやすいものとした.さらに,新たな付録として高齢者の特徴をふまえた薬物療法の注意などについて解説した「高齢者の薬物療法」を掲載した.好評の「診療ガイドライン」では,「潰瘍性大腸炎」「胆道癌」「前立腺癌」が追加され,コモンディジーズを中心に28のガイドラインを取り上げて解説した.
なお,本書では2009年版の新しい試みとして,『治療薬マニュアル2009』(医学書院発行)の別冊付録「重要薬手帳」との連携をはかった.「重要薬手帳」に掲載された薬剤については,本書の処方例から参照できるような工夫がなされた.是非,両者をあわせてご活用いただきたい.
開業医から病院の研修医,勤務医,専門家に至るすべての医師,看護師,薬剤師,その他のあらゆる医療関係者にとって,これまでと同様,本書が日常診療の場でのパートナーとして医療の質の維持・向上の一端を担えれば幸いである.
2008年12月
編集者を代表して
福井次矢