• HOME
  • 書籍
  • 神経内科ハンドブック 第3版


神経内科ハンドブック 第3版
鑑別診断と治療

もっと見る

神経内科専門医を目指す研修医,若手臨床医のバイブルとして好評を博してきた本書の待望の改訂第3版。今改訂では,多数の執筆者交代により多くの項目が全面改訂され,さらに進歩の速い神経内科領域における最新の知見が盛り込まれた。カラー病理写真を増やし,全ページ2色刷りにするなど,読みやすく理解しやすくなった。神経疾患を診る機会のあるすべての臨床医の必携書。
編集 水野 美邦
発行 2002年10月判型:A5頁:1120
ISBN 978-4-260-10264-3
定価 14,850円 (本体13,500円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 目次
  • 書評

開く

1章 神経学的診察法
 1 精神状態の診かた
 2 失語,失行,失認の診かた
 3 脳神経の診かた
 4 運動機能の診かた
 5 反射の診かた
 6 感覚系の診かた
 7 自律神経系の診かた
 8 髄膜症候の診かた
 9 血管系の診かた
2章 局所診断
3章 症候から鑑別診断へ
 1 意識障害
 2 知的機能障害と痴呆
 3 てんかん
 4 頭痛
 5 めまい
 6 失神
 7 視力および視野障害
 8 眼球運動障害と瞳孔異常
 9 構音障害と嚥下障害
 10 歩行障害
 11 筋力低下および筋萎縮
 12 不随意運動
 13 運動失調
 14 感覚障害,しびれ,神経痛
 15 急性横断性脊髄障害
 16 髄液圧異常
4章 神経学的検査法
 1 脳脊髄液の検査
 2 神経放射線学的検査
 3 生理学的検査
 4 神経眼科・神経耳科学的検査
 5 神経病理学的検査
 6 自律神経機能検査
5章 診断と治療
 1 脳脊髄血管障害
 2 脳腫瘍,脊髄腫瘍
 3 頭部外傷,脊髄外傷
 4 先天性疾患
 5 炎症性疾患
 6 脱髄性疾患
 7 中毒性疾患
 8 代謝性疾患
 9 内科疾患に伴う神経系障害
 10 変性疾患
 11 脊椎疾患
 12 末梢神経障害
 13 筋疾患
6章 基本的治療法・手技
 1 救急蘇生
 2 基本的手技
 3 放射線療法
付録
和文索引
英文索引

開く

日本の神経学における一つの金字塔
書評者: 田代 邦雄 (北大大学院教授・神経内科学)
◆貫かれた編集意図―米国レジデント研修の実

 待望の第3版がついに登場した。9年前に第2版が出版された際に書評を担当する機会に恵まれた私にとっては,この第3版でもそれを依頼されるという名誉に浴し感激している次第である。この間に本書は9刷を数え多くの医学生,研修医ばかりでなく,神経内科専門医をめざす医師,さらには神経学ならびに関連各科の専門医にとっても座右の書として重要な役割を果たしてきたと言えるであろう。

 しかし,この間における神経学の発展は飛躍的であり,それを取り入れることにより本書はさらにすばらしい展開をみせることとなった。執筆者も前回の20名から30名に,また総頁数も912から1120と約200頁増となっていることで,その事実がまず示されている。しかし本書の構成は,初版以来のコンセプトを守り,編者の水野美邦教授が自ら体験された米国のレジデント研修の実を,わが国においても拡げたいとする意図が貫かれており,個人的なことになるが同時期に米国においてレジデント生活を体験した者の1人として深い感銘を受けるのである。

◆神経学全般の情報をすべて盛りこんだ画期的なハンドブック

 本書の第1章から第6章にいたる章立ては,第2版と変更がない。そのことは逆に両者を比較することで,その間に神経学が飛躍的に発展してきていることを読者は実感させられるのである。

 まず,第1章神経学的診察法に目を通してみよう。神経内科医といえば,例えば他科から往診依頼を受ければ,診察鞄の中に診察用具を入れて駆けつけ,ベッドサイドで用具を駆使して的確な診断と判断をし,適切な指示を与える存在である。正しい神経診察とその解釈ができなければならず,とかく画像診断などが先行するきらいのある今日でもこれは神経学の基本である。この章をみると本書の改訂の概要を知ることができる。すなわち,見出し語や図表にカラーを付けることで見やすくするだけでなく,さらに解剖図などを大幅に増やし,理解を深める配慮がなされている。このコンセプトは全章にわたってみられており,第2章の局所診断,第3章の症候から鑑別診断,そして第4章の神経学的検査法にいたっては,多くのカラー写真を追加,第5章では,近年注目されている疾患も新たに追加,例えばCADASIL,抗リン脂質抗体症候群,先にはスローウイルス感染症に含まれていたCJDなどをプリオン病として独立させ,傍腫瘍性症候群,パーキンソン病や脊髄小脳変性症の最新の分子遺伝学的データなども加えてアップデイトとし,さらに全章での参考文献の充実が図られている。また,一方では,腫瘍や外傷といった脳外科的疾患とされがちな疾患にも,典型的な画像や豊富で見事なカラー組織像を追加するなど,まさに神経学全般の情報をすべて盛りこんだ画期的なハンドブックとして完成されたのである。

 本書こそ医学生や研修医などの神経学の初歩から,指導的立場にある専門医まで,すべての神経学領域の諸先生にとって必読の書であり,日本の神経学における一つの金字塔をたてられたものと感服する次第である。
出現した日本の臨床神経学診断と治療のバイブル
書評者: 廣瀬 源二郎 (金沢医大教授・神経内科学)
◆見事に成功を収めた卒後神経学書のスタンダード

 『神経内科ハンドブック』の第3版が,200頁ほど増頁され発刊された。初版から15年,2版から9年を経た出版である。

 初版では,米国の神経学卒後教育のいわゆる『レジデントマニュアル』日本版をめざして,日本での卒後教育のスタンダードたるべく編者は意図され,見事に成功を収めた出版であった。米国での神経学卒後教育の経験に,日本でのあるべき卒後臨床研修の標準を見極めて2版,3版と改訂されてきたわけである。今回の第3版により本書は,間違いなく臨床神経学診断と治療のバイブルとなったと言えよう。第2版では,神経疾患患者における臨床診断の最重要点である局所診断の項が加えられ,診断のプロセスの重要さが明らかにされたが,第3版ではそれをさらに重要と考え,まず第1章の神経学的診察法において,脳神経症状を十分に理解できるよう沢山の脳神経の解剖図譜が2色印刷で加えられた。理論だけでなく臨床の実際を考え局所診断をするためには,その基礎となる神経解剖の知識が必須であることは言うまでもない。この点の教育がわが国ではないがしろにされており,その充実こそが実践の場における局所診断に必要なことは明白である。この本を読むことによりその知識が加わり,専門医試験の準備をする若手の医師,臨床の場で責任ある仕事をする専門医には,きわめて有用であろう。

◆編者の深い経験と高い教育理念に裏づけされた改訂内容

 もう1つの変更点は,第5章,診断と治療の章で過去9年で進歩のいちじるしい分野での書き直しであろう。今回の改訂では,今までの自治医大神経内科関係者から順天堂大学脳神経内科に関係する分担執筆者に変わっている。特に脳脊髄血管障害,脳腫瘍・脊髄腫瘍,炎症性疾患,神経変性疾患,筋肉疾患などは,まったく新しい内容に一新されている。

 脳脊髄血管障害の項では,実際の現場の検査機器の進歩に対応して,多くのMRI,MRAおよびエコーなどのデータが新しくCT画像に取って変わっており,また新たに動脈解離や遺伝性血管障害のCADASIL,CARASIL,家族性凝固障害,抗リン脂質抗体症候群などの話題の疾患群も取り入れられた。脳腫瘍では,新しいWHO分類,脳腫瘍全国集計調査報告が加えられ,典型的脳腫瘍のMRI,CT画像が加わり,さらに神経内科医として最小限知っておくべき腫瘍病理所見もカラーで挿入された。炎症性疾患,変性疾患,筋疾患の項でも新しい分子生物学的病態解明などの進歩に合わせてきわめて妥当な書き直しがされている。

 文献も新しいもののみならず,各事項の理解に必要な必須の文献も含まれているのがこのハンドブックの従来からの特徴でもあり,これらを含めて臨床の現場で働く医師のみならず,専門医試験をめざしている若い受験者には,きわめて有用な情報源となろう。

 過去に編者と同じような米国でのレジデント経験を持ち,同様の手引きを編もうとした私にとり,本書は,これ以上の教科書はつくれないと諦めさせることになった神経学臨床のバイブルであり,編者の神経学における深い経験と高い教育理念に敬服するばかりである。

 本書は,とりわけ神経内科専門医をめざして勉強している若手の医師,ベッドサイドで神経内科を勉強する高学年医学生のみならず,臨床の現場で神経疾患患者の診断・治療にあたるベテランの専門医にとっても卒後教育の継続として第1にお勧めしたい教科書である。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。