EBM医学英語論文の書き方・発表の仕方
医学英語論文の書き方・発表の仕方をEBMに則り初歩からレクチャー
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英文雑誌への投稿や海外での学会発表を最大限のインパクトで行う方法論とは? 本書では英語の実例はそのままに、投稿論文の構成法、ポスター作成法、口頭発表から雑誌編集者とのやりとりまで、時には本音をまじえて初歩からレクチャーする。さらに、EBMに則った研究デザイン、研究結果の示し方についても詳細に述べられている。
原著 | Warren S. Browner |
---|---|
監訳 | 折笠 秀樹 |
発行 | 2001年03月判型:B5頁:248 |
ISBN | 978-4-260-13649-5 |
定価 | 3,520円 (本体3,200円+税) |
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- 目次
- 書評
目次
開く
第1章 概説
第2章 表題と抄録
第3章 緒論
第4章 方法
第5章 結果
第6章 表
第7章 図
第8章 考察
第9章 参考文献と電子出版
第10章 著者になる権利
第11章 ポスター発表
第12章 口頭発表
第13章 雑誌の選択と審査員のコメントへの返答
第14章 上手に書くためのヒント
第2章 表題と抄録
第3章 緒論
第4章 方法
第5章 結果
第6章 表
第7章 図
第8章 考察
第9章 参考文献と電子出版
第10章 著者になる権利
第11章 ポスター発表
第12章 口頭発表
第13章 雑誌の選択と審査員のコメントへの返答
第14章 上手に書くためのヒント
書評
開く
時代の要求に応える医学英語論文を書くための指導書
書評者: 大和 眞史 (信州大助教授・循環器内科学)
私などは,本書の冒頭に述べられているように,抄録の数と論文の数がミスマッチし,リジェクトされたままお蔵入り,あるいは学会発表後に書きかけて新しさを失った研究など,ご指摘がいちいち痛む徴候を抱えた「患者」である。
卒後研修に入ってまもなくの夏,早速与えられた症例報告を,忙しい教授が親切にも添削してくださった。真っ赤になった原稿を,「随筆書いてんじゃねえぞ」とのお叱りとともに受け取り,以来しばらく意気消沈してしまった。まことに医学部卒業生は,「仕事の文書」を書く修行がない。こうした忸怩たる自分史から,後輩には木下是雄著『理科系の作文技術』,佐川喜一著『英語で書く医学論文』などを紹介してはペーパー・ワークを推奨してきた。そうした中で本書は,よくデザインされた臨床試験が求められる時代に医学論文を書かれる方々に,まことに価値ある指導書になると保証したい。
◆「目からウロコ」の連続
訳者の折笠先生は,日本における医学統計のパイオニア増山元三郎先生の教育を受けた後,米国ノースカロライナ州立大学チャペルヒル(統計ソフト定番SASを開発した)のBiostatisticsでPh. Dをとり,数々の多施設臨床試験のアドバイザーとして大活躍中の人である。
なぜ,論文の書き方を統計のプロが翻訳するか。それは,方法と結果の項を読めば,目からウロコの連続である。研究に着手する段階から,行きつ戻りつ考えるべきことを,その流れに沿って書かれている。論文とは,つまるところ研究とは,予測変数と結果変数を事象の山から見出して設定し,実験や臨床試験によってその変数の分布を知り,その間の関係を突き止めることだと改めて理解させられる。
内容を少し紹介しよう。「臨床研究に完璧なものはない。したがって,完璧であるようにふるまう必要はない。だからうそはつかないようにしよう。……論文審査員は研究というものは乱雑であることを知っている。彼らは正直に述べたということもきちんと評価する」,「考察というのは,論文作成の中で最もストレスを感じない部分であろう」,「自分の確信の強さを示しなさい。確信しているのか,ほぼ確信しているのか,五分五分と思っているのか,それともただの思いつきなのか。例を4つ示す。These findings demonstrates that……. Our results suggest that……. A reasonable interpretation of these results is that……. Based on our results, it is at least theoretically possible that…….」
◆応用できる英文例
英文例が多く載っているのは,ためになる。こなれた英語に,よい例,悪い例。そのまま自分の論文に応用できる。表と図のところも,とても親切である。「図表を中心に結果を書くと,美術館の退屈なツアーだ」として,本文と図表・Legendとの関係を明快に解き明かす。
ちょっと注文を。わからない用語:“effect size”。「効果サイズ,効果の大きさ」という訳語が不適切なのであろう。考え込んでいると,効果を測るということから,結果には定量性が厳しく求められていることが今さらのようにわかる。統計の援用を受けつつ研究計画を立て,論文を読み書きする時,医学的な知のあり方が見えてくる。また,established statisticianとしての折笠先生はどう思うかのコメントがもっとところどころにほしい。
まず,このような手引書がうってつけと思われるような研究をしよう,また,医学統計家と深くつき合おう,と思わされる。
書評者: 大和 眞史 (信州大助教授・循環器内科学)
私などは,本書の冒頭に述べられているように,抄録の数と論文の数がミスマッチし,リジェクトされたままお蔵入り,あるいは学会発表後に書きかけて新しさを失った研究など,ご指摘がいちいち痛む徴候を抱えた「患者」である。
卒後研修に入ってまもなくの夏,早速与えられた症例報告を,忙しい教授が親切にも添削してくださった。真っ赤になった原稿を,「随筆書いてんじゃねえぞ」とのお叱りとともに受け取り,以来しばらく意気消沈してしまった。まことに医学部卒業生は,「仕事の文書」を書く修行がない。こうした忸怩たる自分史から,後輩には木下是雄著『理科系の作文技術』,佐川喜一著『英語で書く医学論文』などを紹介してはペーパー・ワークを推奨してきた。そうした中で本書は,よくデザインされた臨床試験が求められる時代に医学論文を書かれる方々に,まことに価値ある指導書になると保証したい。
◆「目からウロコ」の連続
訳者の折笠先生は,日本における医学統計のパイオニア増山元三郎先生の教育を受けた後,米国ノースカロライナ州立大学チャペルヒル(統計ソフト定番SASを開発した)のBiostatisticsでPh. Dをとり,数々の多施設臨床試験のアドバイザーとして大活躍中の人である。
なぜ,論文の書き方を統計のプロが翻訳するか。それは,方法と結果の項を読めば,目からウロコの連続である。研究に着手する段階から,行きつ戻りつ考えるべきことを,その流れに沿って書かれている。論文とは,つまるところ研究とは,予測変数と結果変数を事象の山から見出して設定し,実験や臨床試験によってその変数の分布を知り,その間の関係を突き止めることだと改めて理解させられる。
内容を少し紹介しよう。「臨床研究に完璧なものはない。したがって,完璧であるようにふるまう必要はない。だからうそはつかないようにしよう。……論文審査員は研究というものは乱雑であることを知っている。彼らは正直に述べたということもきちんと評価する」,「考察というのは,論文作成の中で最もストレスを感じない部分であろう」,「自分の確信の強さを示しなさい。確信しているのか,ほぼ確信しているのか,五分五分と思っているのか,それともただの思いつきなのか。例を4つ示す。These findings demonstrates that……. Our results suggest that……. A reasonable interpretation of these results is that……. Based on our results, it is at least theoretically possible that…….」
◆応用できる英文例
英文例が多く載っているのは,ためになる。こなれた英語に,よい例,悪い例。そのまま自分の論文に応用できる。表と図のところも,とても親切である。「図表を中心に結果を書くと,美術館の退屈なツアーだ」として,本文と図表・Legendとの関係を明快に解き明かす。
ちょっと注文を。わからない用語:“effect size”。「効果サイズ,効果の大きさ」という訳語が不適切なのであろう。考え込んでいると,効果を測るということから,結果には定量性が厳しく求められていることが今さらのようにわかる。統計の援用を受けつつ研究計画を立て,論文を読み書きする時,医学的な知のあり方が見えてくる。また,established statisticianとしての折笠先生はどう思うかのコメントがもっとところどころにほしい。
まず,このような手引書がうってつけと思われるような研究をしよう,また,医学統計家と深くつき合おう,と思わされる。
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