第7版 序
伊藤利之・赤居正美
本書は1978年に初版を発刊し,今回が第7版となった。前回第6版は2003年に刊行されており,4年の経過で新たな改訂に至ったことになる。
今回の改版のポイントは,義肢装具の支給制度に係る公的負担の枠組みの大改革である。障害者自立支援法が平成18年10月から全面施行されたことから,本邦における義肢装具,広くは補装具の支給制度は,従来の現物支給から費用の支給に変更された。すなわち治療用装具は医療保険によって支払いが行われるが,生活に必要な更生用装具は身体障害者福祉法や児童福祉法に代わり,障害者自立支援法に基づき購入・修理に必要な費用の一部が支給される。その変更内容は
(1) 補装具及び日常生活用具の種目見直し
一本杖は日常生活用具に移行し,これまで日常生活用具であった重度障害者用意思伝達装置が補装具に移った。
(2) 補装具費の支給の仕組み
新たに補装具の購入・修理に係わる当事者(使用者と事業者)間の契約制を導入することにより,対等な関係によるサービスとして見直すことになった。障害者本人又は世帯員の何れかが一定以上の所得の場合には制限があるものの,原則として1割の負担となった。
(3) 償還払い方式と代理受領方式
一度支払いを行った後,市町村から環付を受ける償還払い方式と,1割のみを支払い,残りは事業者による手続きを行う代理受領方式がある。後者では従来の方法を踏襲した。
(4) 補装具製作(販売)業者に関する情報提供
当事者(使用者と事業者)間の契約制導入の前提として,各地域の補装具製作(販売)業者の名簿登録が行われた。
補装具の処方や適合については,これまで通り身体障害者更生相談所などに判定依頼(成人の場合)や意見照会(児童の場合)を行うので,資料となる意見書を作成する担当医師の権限及び責任は変わっていない。意見書を作成する医師の要件に関しては市町村によって差異があるが,1973年以降,日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会の後援のもとに厚生労働省(発足当時は厚生省)の主催によって実施されている義肢装具等適合判定医師研修会が,今後ともその役割を果たし続けていくことになろう。
本書の内容は研修会での教材と一部重なるところがあるが,義肢装具の処方,適合判定に関する体系的な知識をまとめ,新たな支給制度の内容にも対応したサブテキストとして,これまでと変わりなく活用していただけるものと思う。また,他の部分も担当者の変更に対応して内容を改め,追加・修正なども適宜行っている。
前版まで長い間ご指導頂いた加倉井周一先生に代わり,今版では私ども2名が編集を担当,上記研修会の担当講師の先生方を中心に執筆をお願いして,第7版の刊行に至った。最後に,お忙しいなか執筆に当たられた諸先生方,出版業務を担われた医学書院編集部の関係各位に心より深謝を申し上げる。
2007年6月