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救急救命士によるファーストコンタクト
病院前救護の観察トレーニング

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救急の初期対応で行う観察のうち、生命に直結する循環と呼吸に関する不全症状を把握できること、そして最も基本的な処置である酸素投与ができることを目的に作成されたテキスト。救急医療の最前線を担う、救急救命士、救急隊員、必読の1冊。また、救急救命士、救急隊員の養成課程の教科書としても最適。
郡山 一明 / 竹中 ゆかり
発行 2006年03月判型:B5頁:116
ISBN 978-4-260-00225-7
定価 2,750円 (本体2,500円+税)
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  • 目次
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はじめに 観察とは
第1章 循環の観察
 A. マヨネーズを握る
 B. 脈を触れる
 C. 循環不全(うっ血)を見抜く
 D. シミュレーション
第2章 呼吸の観察
 A. 目で見る
 B. 聴診器を使う
 C. 上気道閉塞パターンを理解する
 D. シミュレーション
第3章 酸素化と呼吸の補助
 A. 回転寿司に学ぶ
 B. 低酸素の症状
 C. 努力呼吸の辛さ
 D. バッグバルブマスクを使う
 E. シミュレーション
第4章 モニター心電図
 A. 影絵を映す
 B. モニター心電計で知りたいことを決める
 C. 心筋虚血-急性冠症候群とST変化
 D. 伝導障害-不整脈
 E. 電極を付ける
 F. まとめ
 G. 心電図シミュレーション
第5章 小児の特性
 A. 小さいということ
 B. 「なのに」というkeyword
第6章 シナリオトレーニング
 A. 病院前救護観察のkeyword
 B. 観察の流れ
 C. 疾患シナリオ
第7章 まとめ
 A. 観察を組み立てる-当選したお年玉つき年賀はがきを探す
 B. 事例をもとに考える
 C. ピサの斜塔の定理
 D. 病院前救護における救急救命士の役割
付録1 気道確保(下顎挙上法)
付録2 救急救命士が間違えやすい15ポイント
索引

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救命に必須の気道・循環管理のエッセンスを学ぶ
書評者: 谷川 攻一 (広島大大学院教授・救急医学)
 病院前救護には3つの決定的特徴がある。それは悪条件であること,医療資源が限られていること,そして移動を前提とするということである。したがって,優先順位に基づいた的確な観察と処置が現場活動の骨格となる。この特徴は医療機関内の救急発生現場においても基本的には同じである。

 本書はこのような特徴を持つ病院前救護において,救命に必要とされる観察と基本的手技の実施法のポイントをきわめてわかりやすく説明している。心拍出量の説明では“マヨネーズ”を,肺の酸素化障害の説明には“回転寿司”を例えている。“影絵”,“お年玉付き年賀葉書”,“ピサの斜塔”,そうそう,“山手線”も出てくる。誰にでもイメージしやすい“例え”の中で,観察・処置のエッセンスを的確に紹介している。そして,後半には習得した知識の整理とポイントをより鮮明にするために,シナリオトレーニングができるように細かく配慮されている。その卓越した教育手法には敬服する。

 さて,個人的な話で恐縮だが,著者の郡山一明氏,竹中ゆかり氏とは二人が麻酔科医として医師の道を歩み始めた頃からの古い付き合いである。麻酔科医は単に“麻酔をかける”のみでなく,気道・循環管理のスペシャリストでなければならない。一方,救急救命九州研修所には全国各地からさまざまなレベルの知識・技能を持った標準課程修了救急隊員や救急救命士が集まり勉学に励んでいる。著者らは病院前救護という特色ある分野において,何を,どのように指導することが,より教育効果が高く,かつ病院前救護の質の向上に繋がるのかということについて模索してきた。

 本書は著者らが長年の臨床経験の中で骨身にまで染みついた気道・循環管理のエッセンスを,救急救命九州研修所における指導の中で培われた教育手法に基づいてまとめ上げた集大成と言える。本書は救急救命士,救急隊員のみでなく,臨床研修医や看護師にとっても観察トレーニングの必読書である。そして,教育指導にとっては自らの知識を整理するためのみでなく,効果的な教育手法を学ぶうえでの頼もしい参考書となると確信する。

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