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研修医のための精神科ハンドブック


編集:日本精神神経学会 医師臨床研修制度に関する検討委員会

  • 判型 B5
  • 頁 132
  • 発行 2020年06月
  • 定価 2,750円 (本体2,500円+税10%)
  • ISBN978-4-260-04229-1
これだけは知っておきたい精神科の基礎知識
精神科診療に関する一通りの内容を知るうえで役立つ初期研修医向けのハンドブック。精神科で研修を受ける心構えから倫理、症候・疾患、治療法や研究に関することまで幅広く紹介。各項目の頁数は1~3頁とコンパクトで、これだけは知っておきたいという内容に特化。症候や疾患については具体的なケースを踏まえて特徴を紹介している。
序 文
はじめに

 医師臨床研修制度は,2004(平成16)年度から,①医師としての人格を涵養する,②プライマリ・ケアへの理解を深め患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力を修得する,③アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備する,という3原則を基本に必修化されました.当初精神科...
はじめに

 医師臨床研修制度は,2004(平成16)年度から,①医師としての人格を涵養する,②プライマリ・ケアへの理解を深め患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力を修得する,③アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備する,という3原則を基本に必修化されました.当初精神科は必修科目とされていましたが,5年ごとの見直しの中で選択必修科目となり,経験すべき症候,疾病・病態に精神症状や精神障害が取り上げられているにも関わらず,必ずしも全ての研修医が精神科での研修を行わなくてもよいという状況になっていました.
 ところが厚生労働省による患者調査によれば,ここ10年あまりの間に精神疾患を有する患者数は倍増し,ことにうつ病や認知症などの患者数の増大が顕著となり,精神科医療の重要性は急速に増しています.そして2013(平成25)年には,精神疾患は,国民に広く関わる疾患として重点的な対策が必要な,地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾患の一つに位置付けられています.さらに,災害支援,職場や教育現場でのメンタルヘルスなど,さまざまな社会的問題に関連した「こころのケア」の重要性も指摘されています.
 したがって,これまで以上に多くの患者が,精神・神経症状を抱えてさまざまな診療科を受診することが予想されます.いうまでもないことですが,精神疾患の診療能力を高めることは,精神疾患を見落とさないというだけでなく,それらの症状を安易に「気にしすぎや精神的なもの」と決めつけてしまい,隠れた身体疾患を見落とす可能性を減らすことにもつながります.
 このように精神科医療の重要性が高まる中で,医師臨床研修制度の見直しが行われ,2020(令和2)年度からの臨床研修では精神科が選択必修から必修科目になりました.すなわち,全ての臨床研修医が,少なくとも4週間の精神科研修を行う中で,医師として最低限必要な精神医学の素養を身につけることが求められます.さらに最近の医学教育改革に対応して,臨床研修のプログラムに学修成果(アウトカム)基盤型カリキュラムが導入され,精神科での研修を通して医師としての基本的価値観や資質・素養などを修得することになりました.したがって,指導医は,研修医による必修科目としての精神科医療の学修をいかに支援するのか,その対応を改めて考える必要があります.
 日本精神神経学会医師臨床研修制度に関する検討委員会では,今回の医師臨床研修制度の見直しへの対応を協議し,学修支援の教材として本ハンドブックを作成することにしました.このハンドブックは,精神科で経験すべき症候と疾病・病態について事例を通して学ぶことができるように工夫され,精神科への関心を深めるためのトピックスも取り上げています.研修医が,精神科での研修期間に,毎日数ページずつ読み込み,4週間で通読することを想定しています.
 なお,このハンドブックを活用する研修医が専門医研修を修了する頃には,ICD‒11が用いられるようになるものと考え,このたび改訂されたICD‒11の分類・病名を用いています.ただし切り替わるまでは,ICD‒10を用いますので,症例の診断名には,ICD‒11の病名とそれに相当するICD‒10の病名を並記してあります.なお,文中においては,双極症<双極性障害>や適応反応症<適応障害>のように,ICD‒11病名に加えて,ICD‒10病名などの相当する病名を括弧に入れて記載してあります.
 医師としての基本的価値観や資質・能力を身につけるために,必修科目である精神科研修が充実したものになるよう,このハンドブックが活用されることを期待しています.

 令和2年3月
 日本精神神経学会 医師臨床研修制度に関する検討委員会委員長 米田 博
 日本精神神経学会 理事長 神庭重信

※本書の症例提示の症例は,特記したものを除き実症例ではない.
※本書執筆者および編集委員会メンバーの開示すべきCOI情報は学会ホームページ(https://www.jspn.or.jp/modules/residents/index.php?content_id=63)に掲載しております.
目 次
はじめに

1章 精神科研修で学ぶ医学と医療の基本

2章 精神科研修―国民病としての精神疾患についての学び

3章 精神科医療における倫理の特徴

4章 症例を通した学び
 1 基本
  精神科面接
 2 症候
  抑うつ状態(躁・軽躁も)
  不眠
  興奮
  もの忘れ
  せん妄
  けいれん発作および非けいれん性発作
  体重減少,るい痩
 3 疾患
  うつ病
  統合失調症
  認知症(ケアとBPSDへの対応)
  パニック症<パニック障害>
  物質使用症
  嗜癖行動症(ギャンブル行動症,ゲーム行動症)
  摂食症<摂食障害>
  成長・発達の障害(成人期)
  児童・青年期精神科領域(神経発達症<発達障害>)
 4 ケアの形
  退院支援から地域包括ケアまで
  児童虐待
  せん妄ケアのエッセンス―中でも低活動型に焦点をあてて
  緩和ケアにおける精神科医の役割
  精神疾患の患者の妊娠・出産
  精神保健福祉法
  精神科診療所の役割

5章 トピックス
 1 治療の展開
  認知行動療法
  アウトリーチ
  ニューロモデュレーション(m-ECT,rTMS)
  精神疾患の予防
 2 社会的な側面
  自殺
  産業精神保健・リワーク
  アンチスティグマ
  LGBT
  ひきこもり
  在日・居留外国人
  処方薬依存
  医療観察法
  てんかん
 3 研究の展開
  画像研究
  遺伝子研究
  ケースレジストリ
  症例報告
 4 人を知る
  心理テスト
  精神鑑定
  病跡学

索引