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高齢者ERレジデントマニュアル


著:増井 伸高

  • 判型 B6変
  • 頁 298
  • 発行 2020年04月
  • 定価 3,960円 (本体3,600円+税10%)
  • ISBN978-4-260-04182-9
「高齢救急患者特有の診療・マネジメント」のコツを余すところなく注ぎ込んだ1冊
「成人と高齢者は鑑別が異なる。マネジメントも異なる。高齢者は評価に時間がかかる」――。そんな悩みを抱える若手医師に向けて、本書は1)成人との比較論でない高齢者の特徴、2)診断できなくても結局どうするか、3)高齢者でも短時間で評価が可能なテクニックを解説した。救急搬送が年間1万台のERで研修医と日々奮闘している筆者が「高齢救急患者特有の診療・マネジメント」のコツを余すところなく注ぎ込んだマニュアル。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文
はじめに 対象年齢65歳以上のERマニュアル

 救急搬送の60%以上は65歳以上,ERのストレッチャーの半分以上が高齢者です.しかし高齢者専用のERマニュアルが手元になければ,成人用ERマニュアルを開くしかありません.これは小児科診療で成人用ERマニュアルを使うようなもの.時々こ...
はじめに 対象年齢65歳以上のERマニュアル

 救急搬送の60%以上は65歳以上,ERのストレッチャーの半分以上が高齢者です.しかし高齢者専用のERマニュアルが手元になければ,成人用ERマニュアルを開くしかありません.これは小児科診療で成人用ERマニュアルを使うようなもの.時々これでうまくいかないのがレジデント「あるある」です.その理由は3つあります.

成人用ERマニュアルではうまくいかない理由
 ① 成人と高齢者は鑑別が異なる
 例えば発熱した成人はウイルス感染(≒風邪)が多いですが高齢者では細菌性感染のほうがCommonです.同じ症候でも鑑別疾患が異なれば検査も変わります.
 さらに高齢者は「元気がない」「いつもと様子が違う」など特有の訴えで来院します.こうした症候が成人用マニュアルになければマネジメントができません.
 「3か月未満新生児の発熱」や「泣きやまない子供」を成人用マニュアルで対応できないように,「高齢者の感染症」や「元気がない高齢者」は成人用マニュアルでの対応は限界があります.

 ② 成人と高齢者はマネジメントが異なる
 成人用のERマニュアルでは帰宅とされる症例も,高齢者では社会的入院となるケースは多いですよね.同じ検査結果や診断でも成人と高齢者は入院と帰宅を決定するマネジメントが異なるのです. また成人は診断がつくことが多く,マニュアルでも診断名ごとに対応が記載されます.しかし高齢者はむしろ診断がつかないことが多いです.複数の疑い診断のままでもマネジメントが可能なマニュアルが必要です.

 ③ 高齢者は評価に時間がかかる
 成人用マニュアルを使用すると成人では1時間で終わる評価が,高齢者では3時間以上かかってしまうことがあります.これではERが混雑し回らなく・・・・なってしまいます.高齢者でも短時間で評価できる「テクニック」が書かれたマニュアルが必要です.

 こうした高齢者ER診療の問題を解決にするために本書は以下の3つの特徴があります.

本書の3つの特徴
 ① 成人との比較論でない高齢者の特徴を記載
・成人からみて「高齢者はここが違う」という記載はあくまで成人目線の医学書,そこで本書は「高齢者は○○という特徴がある」という高齢者目線で記載しました.
・成人との比較論でなく,高齢者中心論でとらえることが高齢者診療で重要です.
・高齢者中心論として,成人にはない高齢者特有の症候も多数用意しました.
・疾患も高齢者で特に多いものは掘り下げ,成人にしか認めない疾患は割愛しました.

 ② 診断できなくても,結局どうするか詳しく解説
・診断がつかないケースでの具体的な対応法を記載しました.
・診断不明のままでも,どんな治療をするか? 誰にコンサルトするか? どのように帰宅・入院を決めるか? 現場で困る「結局どうする?」に答えました.
・方針決定に社会的背景の評価方法は必須であり詳しく記載しました(p 251,PART 3).
・検査オーダーもどの検査が必要か,あるいは不要かを症候ごとに詳しく解説しました.
・一方で,どうしても検査が多くなる高齢者診療で起こる,「想定外の検査異常」への対応方法もページを割いて記載しました(p 209,PART 2).

 ③ 高齢者でも短時間で評価が可能なテクニックを解説
・今まで3~4時間かかっていた高齢者ER診療を,1~2時間にするための工夫を随所に記載しました.
・1 高齢者診療の基本(p 2)を眺めるだけでも時間短縮のコツがわかるはずです.
・ERでは時間を操ることを強く求められます.そのため正しい対応をしても長時間かかるレジデントの評価は低いです.
・より短時間で正しい対応をするレジデントの評価が高いのは,それが患者予後をよくするのを皆が知っているからです.

 高齢者診療が楽しく感じないという医療者は少なくありません.楽しくないと高齢者や家族・介護者に冷たくなってしまうかもしれません.ただし高齢者業務はERの仕事の半分以上を占めます.面白くない,患者さんにも優しくできない……これは非常にもったいないです.
 そこで,このマニュアル本の登場です.多くを知らなくてもできるようになります.できると楽しくなり,高齢者へ優しくできます.そして皆さんだけでなく,皆さんが診療する高齢者とその家族や介護者も,ちょっぴり幸せになることを保証いたします.

 2020年3月
 増井伸高
目 次
PART 1 症候のWork up
 1 高齢者ER診療の基本
 2 せん妄(元気がない,いつもと違う,動けない)
 3 意識障害
 4 ショック
 5 呼吸苦・低酸素血症
 6 気道・呼吸管理(NPPV,挿管,人工呼吸器)
 7 発熱・感染症
  1.高齢者感染症の基本
  2.肺炎
  3.尿路感染症
  4.皮膚軟部組織感染 ①:蜂窩織炎
  5.皮膚軟部組織感染 ②:壊死性軟部組織感染症(NSTI)
  6.皮膚軟部組織感染 ③:褥瘡感染症
  7.皮膚軟部組織感染 ④:帯状疱疹
  8.ウイルス感染症(含むインフルエンザウイルス感染)
  9.偽痛風
  10.胆囊炎
  11.胆管炎
  12.熱中症
  13.熱源・感染源がわからない場合の対応
 8 失神・転倒
 9 胸痛・循環器疾患
 10 麻痺・脳血管障害
 11 痙攣
 12 めまい
 13 嘔吐
 14 吐血・下血
 15 腹痛
 16 外傷初期評価
 17 頭頸部外傷・顔面外傷
 18 腰痛
 19 股関節痛
 20 四肢外傷(主に転倒に伴うもの)
 21 創傷処置
 22 マイナーER(外傷以外)
 23 アルコール関連疾患
 24 心肺停止

PART 2 検査異常への対応
 25 検査オーダーのタイミング
 26 血液ガス検査異常
 27 血算・凝固検査異常
 28 電解質異常
 29 血糖値異常
 30 肝機能検査異常・腎機能検査異常
 31 心電図異常

PART 3 ルーチンワークと方針決定
 32 薬剤評価・ポリファーマシー
 33 生活環境評価・介護保険
 34 入院・帰宅の方針決定

索引