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≪系統看護学講座 別巻≫

栄養食事療法


(第4版)

執筆:足立 香代子/宇夫方 直子/奥村 仙示/柿崎 祥子/金居 理恵子/川島 由起子/倉貫 早智/斎藤 恵子/齋藤 長徳/柴田 みち/杉山 真規子/田中 弥生/塚原 丘美/寺本 房子/中村 丁次/松原 薫/山口 崇

  • 判型 B5
  • 頁 272
  • 発行 2020年02月
  • 定価 1,980円 (本体1,800円+税10%)
  • ISBN978-4-260-03867-6
本書の特長
「日本人の食事摂取基準 2020年版」の最新データに準拠するように改訂します。
栄養食事療法の基礎から疾患ごとの栄養食事療法までを総合的に学習できる内容です。
『人体の構造と機能[3]栄養学』で基礎を固め、本書では臨床場面に役だつ知識を学習できます。
各栄養素を多く含む食品をまとめた表などを豊富に掲載しました。臨地実習から卒後までご活用いただきたい1冊です。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文
はしがき

 人間は,この世に生を受け,死を迎えるまで,生命活動に必要な成分を体外から補給しつづけなければならず,この必須成分を栄養素と名づけた。私たちは,自分たちが生存する環境のなかで獲得した食物から,この栄養素を補給し,生命を維持している。一方,人間は,火や道具を用いて食物を調...
はしがき

 人間は,この世に生を受け,死を迎えるまで,生命活動に必要な成分を体外から補給しつづけなければならず,この必須成分を栄養素と名づけた。私たちは,自分たちが生存する環境のなかで獲得した食物から,この栄養素を補給し,生命を維持している。一方,人間は,火や道具を用いて食物を調理や加工し,さらに食物の栽培や飼育を行い,多様な食生活を発展させた。食物選択の内容は複雑で,個人や集団により特徴があり,ときとしてエネルギーや栄養素の摂取内容が,生体が必要とする内容とずれを生じることがある。すなわち,生体の必要量と食物からの摂取量とが一致しないのであり,このずれが異常に大きくなり,さらに長期に及び,生体がもつ恒常性による調整能力をこえたときに,代謝に異常がおこり,疾病状態へと進展する。
 このように,食習慣が誘因となって発症する慢性疾患を,とくに生活習慣病(非感染性慢性疾患)とよぶようになった。生活習慣病の予防には,できる限りずれが少ない適正な食習慣を形成することと,早期にこのずれを見いだし,食習慣を改善することが必要である。また,生活習慣病のような慢性疾患の多くは,不可逆的な疾患であるために,多くの場合,完治することが不可能で,治療の目標は増悪化を防止し,合併症の出現を防ぐことになる。食事療法が,慢性疾患の早期治療においては,薬物療法以上の効果があることもわかってきた。
 医療・福祉の領域においては,傷病者・高齢者にみられる低栄養障害が重要な課題になってきている。とくに,エネルギー・タンパク質欠乏症やビタミン・ミネラル欠乏症を放置すると,免疫機能が低下し,病気からの回復が遅れ,合併症がおこりやすくなる。その結果薬物使用が多くなり,入院日数がのび,さらに医療費の増大がおこる。
 ところで,近年,体内への栄養素の補給法が進歩・多様化し,食物の経口摂取だけではなく,カテーテルを用いて栄養剤を消化管に投与する経管・経腸栄養,静脈に栄養剤を直接投与する経静脈栄養が利用されるようになった。摂取するものも日常的な食品だけではなく,病者用特別用途食品・経腸栄養食品・栄養剤・保健機能食品(特定保健用食品・栄養機能食品)などの特殊な食品が利用される。栄養補給法がこのように多様化したために,食事療法は,栄養食事療法といわれるようになってきた。
 栄養食事療法の目的は,傷病者に対して,健康状態や栄養状態をよりよい状態へ改善し,疾病の予防・治療・増悪化防止をし,さらにQOLを向上させることである。効果的な栄養食事療法を進めるためには,対象者の病態や栄養状態を評価・判定し,栄養食事療法の計画を立て,それに従って実施し,さらにその効果を評価するマネジメントが必要になる。そのためには,関連する職種が連携したチームケアが重要である。
 看護師は,とくに管理栄養士・栄養士と連携し,患者個々に適正な食事が提供されているかをチェックし,摂食が困難な場合には食事介助をする。さらに,必要に応じて治療食の意義や特徴を指導し,摂食状況を観察・記録し,食環境を含めて,その状況が改善するように努める。また,栄養食事療法を実践するには,食生活を医療の監視下におき,その管理を行うことが生涯にわたり必要で,自由な食事が困難になる。この不自由さを生活のなかでどのように解決するかも重要な課題であり,看護師の役割は大きい。

改訂の趣旨
 本書は,こうした栄養食事療法について学ぶための教科書として,2005年に初版が刊行された。このたびの改訂では,2019年に発表となった「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の内容を反映させ,また,できる限り最新の知見を導入して内容の刷新をはかった。ご活用いただき,忌憚のないご意見をいただければ幸いである。

 2019年12月
 著者ら
目 次
第1章 栄養食事療法とは (中村丁次)
  A 栄養食事療法の概要
   1 食生活と栄養食事療法
   2 患者の状態と栄養食事療法
   3 おもな栄養関連疾患と栄養食事療法
  B 医療・福祉の場における栄養食事療法
   1 チーム医療と栄養食事療法
   2 医療保険制度と栄養食事療法
   3 福祉,介護保険制度と栄養食事療法

第2章 栄養食事療法の実際 (中村丁次)
  A 病人食の分類と特徴
   1 病人食の形態的分類
   2 病人食の成分的分類
   3 疾患名に対応する病人食
   4 病人食と食品選択
   5 治療食の宅配サービス
  B 栄養補給法
   1 経口栄養法
   2 経管・経腸栄養法
   3 経静脈栄養法
  C 栄養アセスメントの基本
   1 履歴
   2 栄養素摂取量
   3 身体計測
   4 臨床検査値
   5 身体徴候

第3章 症状をもつ患者の栄養食事療法 (田中弥生・松原 薫)
  A ショック
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  B 発熱・低体温
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  C 脱水・浮腫
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  D 摂食・嚥下障害
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第4章 呼吸器疾患患者の栄養食事療法 (宇夫方直子)
  A 肺炎
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  B 急性呼吸不全
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  C 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際

第5章 循環器疾患患者の栄養食事療法 (寺本房子)
  A 高血圧症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  B 動脈硬化症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  C 虚血性心疾患
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  D うっ血性心不全
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  E 脳血管障害
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第6章 消化器疾患患者の栄養食事療法 (斎藤恵子・奥村仙示)
  A 上部消化管疾患
   1 急性胃炎
   2 慢性胃炎
   3 胃・十二指腸潰瘍
   4 胃食道逆流症(GERD)
   5 機能性ディスペプシア
  B 下部消化管疾患
   1 過敏性腸症候群(IBS)
   2 潰瘍性大腸炎
   3 クローン病
   4 短腸症候群
  C 消化管全般にわたる疾患
   1 吸収不良症候群
   2 タンパク漏出性胃腸症
  D 肝・胆・膵疾患
   1 肝炎(急性・慢性)
   2 肝硬変症
   3 脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
   4 胆石症・胆囊炎
   5 膵炎
  E 消化器症状

第7章 腎・泌尿器疾患患者の栄養食事療法 (足立香代子)
  A 腎疾患
   1 腎疾患と治療の概要
   2 栄養食事療法の原則
   3 栄養食事療法の実際
   4 看護上の注意
  B 泌尿器疾患
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第8章 栄養代謝性疾患患者の栄養食事療法 (松原 薫・川島由起子)
  A 肥満
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  B やせ
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  C エネルギー・タンパク質欠乏症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  D ビタミン・ミネラル欠乏症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  E 糖尿病
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  F 脂質異常症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  G 高尿酸血症・痛風
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第9章 血液疾患患者の栄養食事療法 (塚原丘美)
  A 貧血
   1 鉄欠乏性貧血
   2 巨赤芽球性貧血
  B 白血病

第10章 アレルギー疾患患者の栄養食事療法 (柴田みち)
  A 食物アレルギー
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
   NOTE 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
   NOTE 口腔アレルギー症候群
  B アトピー性皮膚炎
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第11章 精神・神経疾患患者の栄養食事療法 (川島由起子)
  A 摂食障害
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  B アルコール依存症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第12章 熱傷・褥瘡の栄養食事療法 (足立香代子・柿崎祥子)
  A 熱傷
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  B 褥瘡
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第13章 術前・術後の栄養管理 (足立香代子・斎藤恵子・金居理恵子・山口 崇)
  A 術前・術後の栄養管理の原則
   1 栄養アセスメント
   2 術前の栄養管理の原則
   3 術後の栄養管理の原則
   4 栄養補給
  B 消化器の手術
   1 食道の摘出手術
   2 胃の摘出手術
   3 大腸の摘出手術
   4 人工肛門造設患者
  C 循環器の手術
   NOTE 高度肥満症の特徴と肥満外科治療

第14章 がん患者の栄養食事療法 (杉山真規子)
  A がんの発症と食事・栄養
   1 がんの発症と環境要因
   2 環境要因としての食物・栄養
  B がん患者と栄養
   1 がん患者の栄養状態
   2 栄養食事療法の実際
  C がん治療における栄養食事療法
   1 外科手術(手術療法)の場合
   2 薬物療法の場合
   3 放射線療法の場合

第15章 妊産婦・更年期女性の栄養食事療法 (倉貫早智・柴田みち)
 I 妊産婦の栄養と食事
  A 妊産婦の栄養管理の基本
   1 妊産婦の栄養管理の意義
   2 妊娠前の体格と妊娠中の体重増加量
   3 妊娠時のエネルギーおよびおもな栄養素の摂取
  B 妊娠悪阻
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  C 妊娠高血圧症候群
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  D 妊娠糖尿病および糖尿病合併妊娠
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
 II 更年期女性の栄養と食事
  A 更年期女性の栄養管理の基本
  B 骨粗鬆症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意
  C 脂質異常症

第16章 小児の栄養食事療法 (柴田みち)
  A 小児の栄養管理の基本
   1 小児の特徴
   2 乳児期の栄養
   3 幼児期の栄養
   4 学童期の栄養
  B 低出生体重児
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
  C 小児肥満
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
  D 先天性代謝異常
   1 フェニルケトン尿症
   2 メープルシロップ尿症
   3 ホモシスチン尿症
   4 ガラクトース血症
   5 糖原病
  E 周期性嘔吐症(アセトン血性嘔吐症)
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
  F 乳児下痢症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際

第17章 高齢者の栄養食事療法 (足立香代子・柿崎祥子)
  A 高齢者の栄養管理の基本
   1 高齢者の特徴
   2 栄養食事療法の原則
   3 栄養食事療法の実際
   4 看護上の注意
  B 骨粗鬆症
   1 栄養食事療法の原則
   2 栄養食事療法の実際
   3 看護上の注意

第18章 医療保険制度・介護保険制度と食事 (齋藤長徳)
  A 医療保険と食事
   1 入院時食事療養費制度
   2 栄養管理
   3 栄養食事指導料
  B 介護保険と食事

索引
図表一覧