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臨床検査データブック 2019-2020


監修:高久 史麿
編集:黒川 清/春日 雅人/北村 聖

  • 判型 B6
  • 頁 1154
  • 発行 2019年01月
  • 定価 5,280円 (本体4,800円+税10%)
  • ISBN978-4-260-03669-6
見逃してはならない異常値も、データの読み方も、薬剤影響も、この1冊でわかる
“考える検査”をサポートする検査値判読マニュアルの最新版。今改訂では検査法の感度・特異度、JCCLS共用基準範囲、食物・サプリメントの影響を追加、ますます便利に。きめこまやかな構成により、「パニック値」「異常値のでるメカニズムと臨床的意義」「見逃してはならない異常値」「関連する検査」「薬剤の影響」「患者指導」など知りたいことがすぐひけ、情報量の多さでは他の追随を許さない、全医療者の必携書。
序 文
2019-2020年版/編集者の序

 コンピュータの幾何級数的に増える演算能力とインターネットの広がりで世界のありようは急変している.経済先進国のリーダーは従来の民主主義国では想像できないような人物が次々とでてくる.グローバルな諸関係の均衡が求められる一方で,閉鎖的でローカル志向...
2019-2020年版/編集者の序

 コンピュータの幾何級数的に増える演算能力とインターネットの広がりで世界のありようは急変している.経済先進国のリーダーは従来の民主主義国では想像できないような人物が次々とでてくる.グローバルな諸関係の均衡が求められる一方で,閉鎖的でローカル志向に重点をおく政策が好まれる.さらに新しい形のデータサイエンスを基盤とする大企業は従来型の製造業をしのぐ勢いで,時価100兆円の企業も出始めている.この30年,世界の富は増えているが,トップ1%の人間が富の50%を,トップ10%が90%をとる.この不公平さが世界中の人たちに何となく見える,感じる,隠せない現実となっているのだ.
 医療のように人と人の密接なアナログな現場では苦労が続く.患者と家族の期待と実際の医療のはざまで苦悩する医師・医療人たち.患者の期待と技術とともに高騰する医療費とその財源などの課題.1回の治療で5,000万円という薬品も出てきた.多くが公費で賄われている米国を除いた経済先進国では,このような「進歩」で公費が特定の大企業へ移っていく.
 そのような世界では患者が医師をはじめとする医療人に期待することは何だろう? 具合が悪いのだからベストの医療を,と思うのは当然だ.従来から自己負担の少ない国では政策転換には大きな政治的力量が必要だ.一人ひとりの日常の健康をモニターし,指示をする「AI」はもうそこに来ている.医師のところに来る前にほとんどのことがわかっている.鑑別診断,治療指針まで,診断確率も含めて「AI」だ.データが集まれば集まるほど「AI」の活躍の場が増え,実際の医療の現場の仕事のありかたも大きく変わってくる.このような時代に医師の役割はどうなるのだろう? では臨床検査の役割はどうか?
 市民から見れば医療者の仕事は病院にでも来ない限りわかりにくい.病院に来て見れば医療人たちが激務で,診療要請に応じなければならないが,労働基準局が勧告に来るとか,政策がちぐはぐなのだ.そして患者さんは自分の具合が悪いと感じていてすぐにでも治してほしいのだからこの兼ね合いが難しいのだ.医師の教育,専門性の振り分けと地域分布などなど,少子高齢社会,主要疾患の変化などに対して,政策は追い付いているだろうか? 大きな問題だが,なかなか誰も決められず,悩ましい.
 日本では医療費の大部分は公費と公的保険だが,例えば80歳超の人には,1人に毎年80万~100万円という医療費がかかっている.この問題を踏まえてどのような社会を構築していくのだろうか.さらに少子高齢社会で問題になるのは認知症であり,その対策は待ったなしだが,医療は認知症患者の人間性を保ち続けるために,解決策をどこまで提示できるだろう.本当に頭の痛い問題だ.
 もう一つの問題はグローバルな課題であり,新興感染症や薬剤抵抗性細菌などの広がりについて備えていなければならない.エボラ出血熱などのようなものは国境を越えてどこにでも来る.これに対する経済先進国の援助は喫緊の問題である.加えて,多くの途上国が経済成長を始めており(経済先進国で中間層が伸び悩んでいるのと対照的ではないか),肥満,糖尿病なども増加し,健康教育のニーズもでてきた.国家の優先事項への配分が問われている.
 急速に変化する世界にあって,この臨床検査の教科書はどのような使い方をされるのだろうか,お役に立つのだろうか.従来からの医療提供制度の枠組みで役に立つのか,これからのあり方にも役に立つのだろうか.女性参画まだし,少子高齢社会のさらなる進展,公的債務がGDPの200%を超える,広がる経済格差などを抱えるこの日本.そこでの医師のキャリア,医療人のキャリアを考えると,デジタル技術の急速な進歩で何が起こるのか,想像するだけでも,ワクワクするのか,ドキドキするのか,暗い気持ちになるのか,何か大きな変革が医師・医療人のキャリアの選択にも大きな影響があることだけは間違いないだろう.
 若い人たちへ,広い世界へ出てみよう,何が起こっているかを実感しよう,そこから見える日本をどう感じるだろうか,そして,日本へ何ができるだろうか,考え,行動してほしい.これが私の本心からの気持ちなのだ.日本のなかにいるだけでは見えない,感じられないことがたくさんあるのだよ.

 2019年1月
 黒川 清
目 次
カラー図譜

臨床検査の考え方と注意事項
 データ判読の基礎
 基準値・感度・特異度の概念とその正しい利用法
 検体の採取・提出上の注意事項
 遺伝学的診断の概念とその正しい利用法

検査計画の進め方
 初期診療時の基本的検査
 呼吸器疾患
 循環器疾患
 消化管疾患
 肝・胆・膵疾患
 糖尿病
 内分泌疾患
 血液・造血器疾患
 腎・泌尿器疾患
 神経筋疾患
 感染症疾患
 膠原病・自己免疫疾患
 産婦人科疾患
 小児科における検査計画(検査の特徴)
 高齢者の検査計画
 medical emergencyに対応する検査

基本検査テクニック
 一般尿検査の採尿・定性・沈渣
 便潜血検査の採便
 検体の採取方法
 グラム染色

検査各論
 1 生化学検査
  1.血清蛋白質
  2.アミノ酸・窒素化合物
  3.鉄代謝
  4.血清酵素
  5.血清ビリルビン
  6.脂質
  7.電解質・金属
  8.血液ガス
  9.ビタミン
  10.機能検査
 2 内分泌学的検査
  1.下垂体
  2.甲状腺
  3.副甲状腺
  4.副腎髄質・交感神経
  5.副腎皮質
  6.性腺・胎盤
  7.糖代謝
  8.消化管ホルモン
  9.生理活性
 3 血液・凝固・線溶系検査
  1.血球検査
  2.凝固・線溶系検査
 4 免疫血清検査
  1.補体
  2.免疫グロブリン
  3.自己抗体
  4.免疫細胞
 5 感染症検査
  1.感染症遺伝子検査
  2.塗抹検査
  3.一般細菌の培養検査
  4.薬剤感受性試験
  5.抗酸菌
  6.真菌
  7.一般細菌
  8.検査材料からの直接抗原検出
  9.一般細菌以外の培養・同定困難な菌
  10.微生物産生物・代謝産物
  11.肝炎ウイルス
  12.ATLV・HIV
  13.その他のウイルス
  14.感染・炎症マーカー
 6 腫瘍・線維化マーカー
  1.腫瘍マーカー
  2.線維化マーカー
 7 癌細胞遺伝子検査
 8 遺伝学的検査
 9 尿検査
 10 糞便検査
 11 細胞診
 12 血液・尿以外の検査
 13 薬物・毒物
  1.薬物
  2.毒物
  3.薬物代謝酵素の遺伝子診断
  4.薬物治療効果判定

疾患と検査
  1.呼吸器疾患
  2.循環器疾患
  3.消化管疾患
  4.肝・胆・膵疾患
  5.代謝・栄養疾患
  6.内分泌疾患
  7.血液・造血器疾患
  8.腎・泌尿器疾患,水電解質異常
  9.神経筋疾患
  10.感染症,性病,寄生虫疾患
  11.リウマチ性疾患,アレルギー性疾患,免疫不全症
  12.産婦人科疾患
  13.中毒

付録
 1.特定健康診査と保健指導対象者の選定
 2.日本人小児の臨床検査基準値
 3.保険点数一覧(臨床検査分野)
 4.有害事象共通用語規準 v5.0日本語訳JCOG版
 5.共用基準範囲(JCCLS)
 6.検査値に影響を及ぼす薬剤一覧

索引
 数字・欧文索引
 和文索引
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