神経リハビリテーション

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米国で最も信頼されているテキスト。比較的新しい分野である「神経リハビリテーション」の対象となる疾患と、今まで対象外であった筋ジストロフィー、パーキンソン病などの関連疾患も包括し、最新の知見も交えた病態生理、リハ医学の多面的アプローチが明快に記述されている。とりわけ本書は、EBM(evidence-based medicine)の精神に則って書かれているため、信頼性が高い。
原著 Richard B. Lazer
岩崎 祐三 / 山鳥 重 / 山本 悌司
発行 2001年01月判型:B5頁:456
ISBN 978-4-260-24390-2
定価 7,700円 (本体7,000円+税)
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  • 目次
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第I部 総論 
1. 序論 
2. 神経機能低下の機能的評価 
3. 神経学的能力低下の治療における倫理的配慮 
4. 神経学的機能不全における再生と可塑性 
5. 歩行の解析 
6. 神経機能回復と機能的神経画像 

第II部 神経疾患のリハビリテーション 
7. 脳外傷 
8. 脳卒中のリハビリテーション 
9. 脊髄損傷のリハビリテーション 
10. 筋ジストロフィー症と進行性筋機能障害のリハビリテーション 
11. 脳性麻痺と発達性障害 
12. 多発性硬化症とパーキンソン病のリハビリテーション 
13. 末梢性ニューロパチーのリハビリテーション 
14. 慢性疼痛 
15. 腕神経叢障害の評価と治療法 
16. 神経根障害のリハビリテーション 
17. 前庭機能障害のリハビリテーション 

第III部 慢性的神経機能障害に伴う病態の治療 
18. 神経因性膀胱と直腸 
19. 拘縮と四肢の変形 
20. 筋緊張亢進の診断と治療 
21. 褥瘡 
22. 小脳性振戦と運動失調 
23. 疲労感と神経疾患のリハビリテーション 
24. 神経リハビリテーションにおける栄養と食事 
25. 脊髄損傷後の神経リハビリテーションと性機能 
26. 言語療法と飲み込み運動の障害

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多くの神経疾患に対し今後進むべきリハの方向を提示
書評者: 大生 定義 (横浜市立市民病院部長・神経内科)
 このたび,『Principles of Neurologic Rehabilitation』(McGraw-Hill, 1997)が岩崎祐三,山鳥重,山本悌司の3先生の手によって邦訳され,『神経リハビリテーション』として出版された。
 神経リハビリテーションの65人の米国専門家による分担執筆で,一部重複や記述の詳しさなどに若干不統一のところもあるが,執筆者の意欲があふれ,各章は各々に包括的な記述であり,1章1章が独立した論文でもある。
 編者のRichard B. Lasarは,第1章で「リハビリテーションは現実的かつ実際的で極めて重大な生活の質に関する課題を解決しようとする試みである。それはチームとして行なわれ意思の疎通と指導力が大切である。あらゆる意思決定の場において患者と家族の参加が求められる。社会資源の観点から,すべての疾患に無差別にリハビリテーションを行なうことは許されない。試行錯誤のリハビリテーションは,近い将来に消滅する運命にある。総合的リハビリテーションは直感的判断で行なうにはあまりにも高価である」と述べ,これからは「自然な回復で期待される以上にリハビリテーションが有効であったと証明する必要がある」と自らに課題を課している。
 全編に,社会的不利を持った人間が社会の一員としての生活をしていくための援助を行なうという哲学性と,神経科学の最新の知見に基づいて治療の検証をしていくという科学性(Evidence-based Approach)がバックボーンとしてあり,多くの神経疾患に対して今後進むべき方向を読者に示している。

◆リハ医療関係者の学習・研究の出発点に

 総論には機能評価や倫理についての章もあり,各論に入る前の神経治療の根本的な考え方もおさえられている。
 各論では頻度の高い疾患や病的状態について,基礎から現状・未来についての記述があり,リハ専門医のみならず,他科の医師,PTやOT,介護担当者を含めた医療関係者の学習・研究の出発点となりうる著書である。疲労感や栄養についても詳述している。とにかく大切な参考文献が多く紹介されている。
 リハビリテーションにあたっていない実地医家や医学生にとっては,薬物以外の神経治療概論としても有用な書であると筆者は考える。社会科学の用語が多い第2章で,翻訳について一部不充分・不適当と思われる部分があるように思われるが,短期間にこのような大冊の原著を取捨選択して世に出された諸先生の貢献がもっと重要なことである。この時期にタイムリーに本書を出された関係諸氏に敬意を表し,筆者は医師・看護職・リハビリテーション専門職・介護関連専門職,またそれをめざす学徒の方々に本書をお勧めする。

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