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臨床医のためのEBMアップグレード

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エビデンスとは何か? エビデンスを探し,そのレベルを評価するにはどうしたらよいか? またエビデンスを生み出すには何が必要か? 最良の医療を提供し,臨床上のさまざまな問題に科学的にアプローチするために不可欠な情報収集法,論文の批判的吟味,研究デザインまでを詳述。プロフェッショナルにこそ求められるEBM実践書。
森實 敏夫
発行 2002年04月判型:B5頁:240
ISBN 978-4-260-13893-2
定価 4,950円 (本体4,500円+税)

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  • 目次
  • 書評

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I 何のために学ぶのか
 実世界とモデル
 情報と知識
 Three Loop Model(3つの輪のモデル)
 医学の進歩は不可避である
 Evidence-based Medicine(EBM)
 よりよい医療を提供する義務
 医学の進歩に貢献する義務
 定型化されたプロトコールとテーラー・メイド医療
II 医学情報へのアクセス
 図書館
 インターネット
 デジタル図書館
 ガイドライン
 学会・研究会
III 知識Knowledgeを得る
 なぜ批判的吟味が必要か
 論文の何を批判的吟味するか
 妥当性の定量化
 Systematic Review
 メタアナリシス
 レビューの妥当性のチェック
 コンセンサスの形成
IV 研究する
 新しいことを発見するとは
 倫理規定と国際的な流れ
 研究の進め方
 知識を作り出すことについて

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エビデンスを探し,評価し,新たに生み出すために
書評者: 上野 文昭 (大船中央病院部長・内科)
 数年前からわが国でもEBMという言葉が流行りとなったが,まだ誤解・曲解に基づく批判や誤用が少なくない。その一方で,老若を問わず賢明な臨床医たちはその本質を鋭くとらえ,支持する立場に回り始めた。すなわち,個々の患者の問題点に対して,最も適切な医療を提供しようというEBMの本質に対しては,臨床医として反論の余地がないからである。

◆いざという時に悩み多いEBM

 しかし本質の理解が,そのまま実践に結びつくわけではない。最適の医療を提供するためには,できる限りよいエビデンスを得なければならない。これまでに出版されたEBMの入門書はいずれも優れたものであり,的確なガイドとして役立っている。それでもなお情報の収集(ステップ2)と吟味(ステップ3)は,骨の折れる作業であり,広汎な臨床疫学的知識を必要とする。日常診療では,二次情報ソースを活用しながらこれらのステップを簡略化する方法も是認されるが,いざという時には本格的に取り組みたいし,少なくとも知識と技術だけは有しておきたいものである。これまで臨床疫学を学習する機会を得なかった臨床医は,一歩先に進めずに悩むことも多かろうと思われる。
 このたび,『臨床医のためのEBMアップグレード』と題された本書を目を通したが,まさにこのような悩みの解決策として価値の高いことが判明し感銘を受けた。「医学情報へのアクセス」や「医学知識を得る」のセクションは,本格的なEBM実践に必要な知識の宝庫である。また,「研究する」のセクションは,これからの研究者にも役立つが,逆に医学論文を評価する上でも重要である。

◆EBMを一歩先に進める内容

 豊富な内容を網羅してあるため,通読すればやや難解に映るかもしれない。しかし実際に必要とする場面で参照するならば,むしろ懇切ていねいな記載に感謝することであろう。唯一欲を言えば,評者が日頃活用しているUp-To-Dateにかんする記載にもう少し頁を割いてほしかったが,これは個人的願望にとどめておきたい。
 いずれにしろ本書は,EBMに入門して一歩上をめざす臨床医,またはEBMの本質を理解するも臨床疫学を学ぶ機会の少なかった臨床医にとり格好の書として推薦したい。おわりに特筆すべきは,本書の結語である。単にEBMのユーザーに終始せず,常に創造する医師であることを求める森實敏夫博士の信条を,EBMを実践する者の志をアップグレードする言葉として心に刻みたい。

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