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耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス[上巻] 第2版

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主要な耳科手術、鼻科手術のスタンダードな術式を精緻で美麗なイラストを用いて解説する。手術の流れに沿い、手技上のポイントをわかりやすく説明。正確な臨床解剖に基づくイラストにより、手術を立体的に理解することができる。術前の注意点や手術のピットフォールなど、安全・確実に手術を完遂するための要点も記載。第一線の執筆陣による手術アトラスの定本、待望の改訂版。
監修 森山 寛
編集 岸本 誠司 / 村上 信五 / 春名 眞一
発行 2018年05月判型:A4頁:432
ISBN 978-4-260-02105-0
定価 40,700円 (本体37,000円+税)

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第2版 序

 この度『耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス』の上巻(耳科,鼻科と関連領域)の改訂版を上梓しました.本書の源流を遡れば,堀口申作先生の編集により1961年(昭和36年)に本邦で初めて刊行された『耳鼻咽喉科手術書』にたどり着きます.その後1977年(昭和52年)に,同じく堀口申作先生,橋本泰彦先生,佐藤靖雄先生,山下公一先生方の編集により手術の図を豊富に挿入した『耳鼻咽喉手術アトラス』の上・下巻が刊行され,欧米の手術書に頼っていた当時の耳鼻咽喉科医の手術の向上に大いに貢献したものと確信しています.
 その後,医学・医療の進歩に合わせるように内容を一新して,小松崎篤先生の監修のもと,犬山征夫先生,本庄 巌先生と私の編集により『耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス』上巻(耳科,鼻科と関連領域)を1999年に,下巻(口腔・咽喉頭,気管・食道,頸部)を2000年に刊行致しました.そして発刊以来,耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域のスタンダードな手術書として,若手からベテランまで多くの読者に支持されてまいりました.とくに各領域の専門家による執筆と美麗なイラストを用いた術式・手技の解説は高い評価を得ております.
 しかしながら前版の発行より19年が経ち,低侵襲性の手術の開発など手術手技も日々進歩し,光学機器はじめ手術支援機器の発達も目を見張るスピードで進んでおります.また境界領域となる関連科との共同手術も行われるようになり,頭蓋底手術など適応拡大も進んでおり,現今の状況に合わせ改変するべき内容も多数みられるようになりました.そこで,前版の基本方針ならびに評価の高いところを生かしつつ,近年の進歩を取り込み一層の充実を図り,最新の手術書とするべく改訂版とした次第であります.
 今回は私が監修し,各領域のエキスパートである岸本誠司先生,村上信五先生,春名眞一先生に編集の労をおとりいただきました.その特徴は,スタンダードな術式を一人のイラストレーターにより統一した画で提示したこと,若手医師の教育に役立つ構成をめざすとともに,ベテラン医師にも知識の整理やインフォームドコンセントに活用できる内容としたことであります.編集会議を重ね目次構成を見直し,各項目に相応しい執筆者にお願いしました.したがって,本書は本邦における経験豊かな執筆者らによる基本・標準的な手術書であり,手術手技がわかりやすく解説されています.手術概念,手術の適応,術前に必要な検査,術前に注意すること,手術の実際,術後管理が簡潔に記載され,さらに手術のポイントや臨床解剖も丁寧に解説されています.
 より良いアトラスとすべく何度も推敲を重ねた結果,本アトラスの執筆をお願いしてから4年越しの刊行となりました.本書を編集するにあたり,多忙な時間をさいて寄稿いただいた先生方に深く感謝申し上げるとともに,本書が,今後の耳鼻咽喉・頭頸部外科領域の医学・医療の向上に少しでも役に立つことを念願する次第です.
 最後に本書を刊行するに際して,企画当初からお世話になった医学書院の林 裕氏や関係者の方々,本書の膨大なイラストをお一人で描いていただいた中野朋彦氏に厚く御礼を申し上げる次第であります.

 2018年5月
 森山 寛

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耳科学
  1 手術のための臨床解剖
  2 手術のための画像診断
  3 中耳の換気・調圧生理
 外耳
  4 耳介奇形
  5 先天性耳瘻孔
  6 外耳道閉鎖症
  7 外耳道腫瘤
 鼓膜
  8 鼓膜切開術,鼓膜換気チューブ挿入術
  9 鼓膜形成術:接着法
  10 鼓膜形成術:inlay法
  11 鼓膜形成術:underlay法
 中耳
  12 中耳奇形
  13 耳小骨連鎖再建術(耳小骨形成術)
  14 チタン製人工耳小骨を用いた聴力改善手術
  15 乳突洞削開術
  16 中耳真珠腫に対する手術
  17 鼓室形成術:canal wall up法
  18 鼓室形成術:staged tympanoplasty method
  19 鼓室形成術:transcanal atticotomy
  20 鼓室形成術:cartilage tympanoplasty
  21 鼓室形成術:canal wall down法(後壁削除法)
  22 中耳根本術:radical mastoidectomy
  23 再手術例:乳突腔充填術と後壁再建術
  24 内視鏡下中耳手術
  25 髄液漏への対応
  26 半規管瘻孔への対応
  27 錐体尖病変へのアプローチ
  28 グロムス腫瘍
  29 顔面神経鞘腫
  30 側頭骨悪性腫瘍
  31 アブミ骨手術
  32 耳管開放症に対する手術:耳管内チューブ(耳管ピン)挿入術
 内耳
  33 内耳窓閉鎖術(外リンパ瘻)
  34 埋め込み型骨導補聴器(BAHA)挿入術
  35 人工内耳:通常例
  36 人工内耳:小児例
  37 人工内耳:特殊例(再手術例,中耳炎症例,蝸牛閉塞例)
  38 めまいに対する手術:内リンパ嚢開放術
  39 めまいに対する手術:半規管遮断術
 後迷路
  40 聴神経腫瘍:経中頭蓋窩法
  41 聴神経腫瘍:経迷路法
 顔面神経
  42 顔面神経減荷手術
  43 顔面神経麻痺に対する神経再建術,整容術
  44 顔面痙攣:ボツリヌストキシン注射療法

鼻科学
  45 手術のための臨床解剖
  46 手術のための画像診断
 鼻・副鼻腔
  47 鼻・副鼻腔手術の支援機器
  48 鼻茸切除術
  49 下鼻甲介切除術(粘膜内・粘膜外)
  50 後鼻神経切断術
  51 鼻中隔矯正術
  52 内視鏡下鼻内副鼻腔手術
  53 上顎洞手術
  54 前頭洞根本手術(鼻外前頭洞手術)
  55 前頭洞単洞化手術
  56 術後性上顎嚢胞
  57 前頭洞嚢胞,篩骨洞・蝶形骨洞嚢胞
  58 蝶形骨洞嚢胞
  59 鼻副鼻腔乳頭腫
  60 鼻前庭嚢胞などの顔裂嚢胞と歯原性嚢胞
  61 内視鏡下経鼻的下垂体手術のアプローチ
  62 経蝶形骨洞下垂体手術
  63 鼻性髄液漏閉鎖
  64 先天性後鼻孔閉鎖症
  65 鼻出血に対する手術
 視器付属器
  66 涙嚢鼻腔吻合術:鼻外法
  67 涙嚢鼻腔吻合術:鼻内法
  68 内視鏡下鼻内視神経管(視束管)開放術
 顔面外傷
  69 眼窩壁骨折:鼻外法(経上顎洞法,経下眼瞼法)
  70 眼窩壁骨折:鼻内法
  71 鼻骨骨折
  72 上顎骨・頬骨骨折
  73 下顎骨折
  74 内視鏡下鼻内頭蓋底手術
  75 内視鏡下眼窩内手術

和文索引
欧文索引

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世紀をまたいだ待望の改訂版
書評者: 夜陣 紘治 (三原赤十字病院・耳鼻咽喉科/広島大名誉教授)
 『耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス』の上巻(耳科,鼻科と関連領域)の第2版が,上梓された。本書の初版は1999年に刊行され,今でも多くの耳鼻咽喉科・頭頸部外科医にとって欠かせない手術書として読まれている。しかし,日進月歩の手術法,手術支援機器などの目覚ましい進歩に伴い,改訂された手術書が待ち望まれていたところである。このたび,監修者の森山寛先生,編集者の岸本誠司先生,村上信五先生,春名眞一先生の手により,19年をかけてようやく改訂版が刊行された。世紀をまたにかけた待望の手術書である。

 初刊の序で小松崎篤先生は,手術解剖や手術の実際を理解しやすく模式図化し,術前の準備の重要性や手術のポイントを強調すること,インフォームドコンセントに配慮し,新しい分野をできるだけ取り上げることを基本方針として監修したと述べられているが,第2版では,この点を踏襲しつつ,一層充実した手術書となっている。

 まず目につくのは2色刷となっていることであり,模式図を眺めているだけで手術の実際をより鮮明にイメージできるようになっている。また,模式図が一人のイラストレーターの手により描かれているので,筆致が統一され,目に優しく,より立体的となり,手術の流れがスムースに理解できるのも特徴である。

 執筆者は,各項目の内容に精通されている第一人者の方々ばかりであり,蓄積されたノウハウ,初心者に知ってもらいたいこと,陥りやすい点などが,本文のみならずインフォームドコンセント,手術のポイント,手術のピットフォールとして余すところなく披歴されている。

 内容的には,手術のための画像診断が豊富に取り上げられているし,チタン製人工耳小骨,パワーパンチ,ハイドロデブリッダー,バルーンカテーテル,各種凝固装置など新しい支援機器などを用いての手術法や,耳管開放症に対する手術,埋め込み型骨導補聴器(BAHA)挿入術など新しい手術法もわかりやすく解説されている。鼻科学ではいずれの項目においても,内視鏡下手術法が丁寧に紹介されているのも,改訂になった手術書を特徴付けている。

 本書第2版の本文の総ページ数は411ページと,初版の394ページをわずかに超える程度に抑えられているが,いかに充実した内容を過不足なく,簡潔に解説するかに意を注がれているかが,おわかりいただけると思う。

 初学者にはもちろんであるが,現役で多くの手術を手掛けている先生方の座右の手術書としても役立つのは間違いないものと確信している。
手術や治療概念の変化に沿った大胆な改訂
書評者: 中島 格 (久留米大名誉教授)
 本書は1999年に刊行された『耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス 上巻』の改訂第2版である。耳鼻咽喉科分野の手術書としての草分けは61年に本邦で初めて刊行され,多くの耳鼻咽喉医に読まれた『耳鼻咽喉科手術書』があり,77年には手術の図を豊富に取り入れた『耳鼻咽喉手術アトラス』が刊行された。私も同アトラスを繰り返し読み込んで手術室に入り,育った一人である。その後医療機器の発展や医療技術の飛躍的向上,さらには患者のquality of lifeに沿った治療概念が重視されるようになり,内容を一新した『耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス』が企画され,初版として99年に上巻「耳科,鼻科と関連領域」,2000年に下巻「口腔・咽喉頭,頭頸部」が発刊された。医学部で耳鼻咽喉科学講座の指導者になっていた私は,初版では執筆者として参加し,診療や手術の指導をする立場で携わることができた。それまでの手術書とは異なり,術式や手技の実際をイラスト化し,専門家によって臨場感あふれる図説になったことで,初心者は初めての手術のシミュレーションとして,熟練医は術前に術式を確認する書として,多くの耳鼻咽喉・頭頸部外科医から支持を得たことを執筆者の一人として誇りに思っている。

 改訂第2版の本書は,監修者の森山寛氏が述べているように,低侵襲性の手術手技や治療概念の変化に沿い,それらを実現するための検査・手術機器の飛躍的な発展に沿って大胆に改訂されている。特に初版刊行時にはほとんど普及していなかった新しい手術概念のもとに,斬新な手術術式が加わっていることに注目している。耳科領域の内視鏡手術や,内視鏡下鼻内頭蓋底手術など,患者にとって侵襲の少ない機能的手術の進歩は目を見張るものがある。それらを可能にした手術支援機器の発達が述べられ,それらを学んで発展させた若手の指導医による執筆は新鮮で説得力がある。

 特筆すべきは「手術のための画像診断」の項目を取り入れ,専門イラストレーターによってブラッシュアップされた,美しく精緻な解剖や手術操作の図説を組み合わせたことである。手術に携わってきた外科医なら,手術記録を残す際,術野と術中の所見を文章だけでなく図に描いて記録に残すことがいかに大切かを認識している。手術を学ぶ者にとっても,写真では理解できない肝心な部分や構造が,緻密なイラストで理解することができる。各項目にはそれぞれの分野の経験豊かな術者により,「手術のポイント」,「手術のピットフォール」として,手術に臨む際に実際に知りたいポイントが記されており,手術を学ぶ若手医師だけでなく,さらなる向上をめざす熟練した医師にも,ぜひ手元に置いてことあるごとに開いてほしい手術書である。

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