根拠と事故防止からみた
小児看護技術

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小児看護では、子どもの発達段階に応じた実践が求められ、成人とは異なる点が多い。本書は手順を写真・イラストを多用して解説するだけでなく、子どもや家族に説明でき、技術の応用を可能にする「根拠」、スムーズな実践を助ける「コツ」、知っておきたいポイントを解説する「注意」、医療事故防止のために重要な「事故防止のポイント」、異常がみられた際の「緊急時対応」を満載。学習にも臨床でも頼りになる1冊。
シリーズ からみた看護技術
編集 浅野 みどり
発行 2012年08月判型:A5頁:528
ISBN 978-4-260-01138-9
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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はじめに

 本書の出版のお話を最初にいただいてから2年近くが経過していることに驚いています.振り返ると,できるだけ臨場感のある,そしてわかりやすい写真の撮影に,撮り直しを含め,ずいぶんと苦労したことが思い出されます.
 本書は小児看護技術のサブテキストであり,写真などの画像をふんだんに使い,手順を追って丁寧に小児領域の看護技術について根拠を示しながら解説しています.決して単なる手順書にはならないように,なぜそうする必要があるのか,その「根拠」と「コツ」や「予防策」を提示することで「事故防止」につながること,そして,何より子どもの安全・安心,ご家族の安心と医療者への信頼感に寄与できることを深く意識して企画されました.執筆者一同,この点を強く意識して,また,子どもの権利を尊重する看護実践を常に意識しながら,執筆や撮影にあたってくれたことを大変ありがたく思っています.
 遠い過去となりますが,私が経験4年目で新しい職場に再就職した頃,「なぜそうするのでしょうか?
 この方法ではいけないでしょうか?」と先輩に尋ねた時に,「ここはこういうやり方です!」と一言ではねつけられた経験があります.根拠が示されず,納得のいかない気持ちになった記憶が鮮明に残っています.新人看護師のリアリティーショックや現場への適応困難による早期離職傾向が問題視されてから5年以上が経過し,どの医療機関でも新人教育・現任教育に熱心に取り組まれるようになりました.このこと自体は大変望ましいことですが,忙しい業務のかたわら指導にあたる先輩看護師・中堅看護師の苦労も並大抵でないことは想像にかたくありません.特に小児看護領域では,成人とは異なる独特の看護技術や子どもの発達段階に適した看護技術に幅広く対応しなければならないため,根拠をもって,そして自信をもって後輩を指導することは簡単ではありません.また,成人における看護経験を豊富に有していたとしても,子どもの看護に難しさを感じることは決して珍しくありません.本書は,看護学生や新人看護師はもちろんですが,そのような先輩看護師さんたちにとっても役立つツールとなり,強い味方となれることをも目標のひとつと考えています.
 今では看護系学部をもつ大学は200校を優に超えています.また,今年度の新入生は保健師助産師看護師法の一部改正に伴う新しいカリキュラムで学ぶこととなります.このような節目の時期に,本書が発行されることはうれしくもあり,緊張感を感じてもいます.根拠をもって看護を展開することは,子どもやご家族への説明責任を果たすうえでも不可欠であり,子どもと家族の権利を尊重した看護実践において,ますます重視されることでしょう.医療の進歩に応じて医療器具や材料はどんどん進化しており,使用する機会がなくなるものもあります.しかし,普遍的な知識や根拠をもって理解した技術は,器具や材料の違いを超えて応用が可能となるはずです.すべての子どもにとって,医療に伴う苦痛や危険性が少しでも回避できるように,微力ながらその一助となれば幸いです.
 最後に,本書の撮影に快くご協力いただいたみなさま,そして根気よく携わっていただいた医学書院スタッフの方々に心より御礼申し上げます.

 2012年7月
 著者を代表して 浅野みどり

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 はじめに
 本書の構成と使い方

第1章 基本技術
 1.コミュニケーション
 2.遊びの援助(乳幼児)
 3.プレパレーション
 4.感染予防
  (1)標準予防策1 手指衛生
  (2)標準予防策2 個人防護具
  (3)感染経路別予防策
  (4)隔離
 5.環境整備
  (1)外来の環境整備
  (2)成長発達に応じた病棟・病室の環境整備
第2章 日常生活援助技術
 1.食事
  (1)調乳
  (2)授乳(健常乳児)
  (3)口唇・口蓋裂児への授乳・食事援助
  (4)離乳食
  (5)食事援助
  (6)摂食・嚥下障がい児の食事援助
 2.排泄
  (1)おむつ交換
  (2)排泄援助(トイレットトレーニング)
 3.活動
  (1)抱っこ
  (2)移動1 おんぶ,スリング
  (3)移動2 ベビーカー,車椅子,ストレッチャー
  (4)ポジショニング(障がい児)
 4.睡眠
 5.清潔
  (1)沐浴
  (2)入浴
  (3)清拭
  (4)洗髪
  (5)口腔ケア
  (6)殿部浴,陰部洗浄
 6.衣生活(更衣)
第3章 フィジカルアセスメント
 1.バイタルサイン測定
  (1)小児におけるバイタルサインの測定
  (2)呼吸
  (3)心拍・脈拍
  (4)体温
  (5)血圧
  (6)意識
 2.身体計測
  (1)身長
  (2)体重
  (3)頭囲,大泉門
  (4)胸囲,腹囲
  乳児・幼児の身体発育に関する資料
 3.生理機能検査
  (1)心電図
  (2)動脈血酸素飽和度(SpO2,SaO2
  (3)脳波(EEG)
 4.画像検査
  (1)単純X線検査
  (2)CT検査
  (3)MRI検査
 5.検体検査
  (1)静脈血採血
  (2)採尿
  (3)採便
  (4)骨髄穿刺(マルク)
  (5)腰椎穿刺(ルンバール)
 6.食物負荷試験
第4章 治療援助技術
 1.固定・抑制
 2.呼吸・循環管理
  (1)吸引
  (2)吸入
  (3)肺理学療法
  (4)酸素療法
  (5)人工呼吸器
  (6)罨(あん)法
 3.保育器の管理
  (1)閉鎖式保育器
  (2)開放式保育器
 4.排泄管理
  (1)グリセリン浣腸
  (2)清潔間欠導尿
  (3)ストーマケア
 5.腹膜透析
 6.与薬
  (1)経口薬
  (2)坐薬
  (3)外用塗布剤
  (4)皮下注射
  (5)筋肉内注射
  (6)静脈内注射
  (7)点眼薬
  (8)点鼻薬
 7.経管栄養
  (1)経鼻胃管栄養法
  (2)胃瘻
 8.輸液管理
  (1)末梢静脈内持続点滴
  (2)経中心静脈持続点滴(CVライン)
  (3)輸液ポンプ
 9.輸血管理
 10.牽引・固定法
  (1)牽引(上肢・下肢)
  (2)ギプス固定(四肢・体幹)
  (3)装具・義肢
第5章 救急手技
 1.救急蘇生法
 2.頭部外傷
 3.気道異物
 4.消化管異物
 5.中毒
 6.熱傷
 7.溺水
 8.熱中症(暑熱障害)

 索引

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