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仮想気管支鏡作成マニュアル

迅速な診断とVAL-MAPのために

編集:出雲 雄大/佐藤 雅昭

  • 判型 B5
  • 頁 144
  • 発行 2017年06月
  • 定価 8,640円 (本体8,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03052-6
カーナビが進むべき道を教えてくれるように、仮想気管支鏡は枝読みを助けてくれる!
「気管支鏡は難しい」呼吸器専門医ですらそのように感じる人は多い。既に多くの病院で導入されている多列CTにプレインストールされているCTworkstationを活用すれば、簡単に仮想気管支鏡が作成でき、その仮想気管支鏡でシミュレーションを行うことにより、もっと効率よく、安全・正確な検査を提供できる。さらに本書では、現在先進医療として行われている肺癌の縮小手術のためのVAL-MAPについても解説。
序 文
推薦の辞(玉置 淳)/(出雲雄大・佐藤雅昭)

推薦の辞

 気管支鏡を用いた診断と治療は,現在の呼吸器領域の診療になくてはならないものとなっている.1966年にわが国で池田茂人先生が開発された軟性気管支鏡は先端技術を有する医工学と連携し様々な発展...
推薦の辞(玉置 淳)/(出雲雄大・佐藤雅昭)

推薦の辞

 気管支鏡を用いた診断と治療は,現在の呼吸器領域の診療になくてはならないものとなっている.1966年にわが国で池田茂人先生が開発された軟性気管支鏡は先端技術を有する医工学と連携し様々な発展を遂げてきた.特に,肺末梢病変に対する気管支鏡診断がわが国を中心として発展してきたのは周知の事実であり,近年その進歩は著しい.肺末梢病変に到達するためには関与気管支をCTにより丁寧に確認する必要があるが,そのスキルは必ずしも容易なものではなく熟練が必要である.そこで,かかる問題解決のために,仮想気管支鏡としてBf-Navi®,DirectPath®,LungPoint®といった専用機が2006年より順次発売されている.しかしながら,高価であることや仮想気管支鏡作成のみにしか使用できないという制限もあり,期待されたほどの普及には至っていない.
 本書で取り上げられている画像処理ワークステーションは多くの施設において多列CTの付属品として導入されている.しかしながら画像処理ワークステーションは主に放射線科で管轄されており,これまで呼吸器科医にとって馴染みが少なく気管支鏡にはあまり使用されていなかった.近年では,操作が簡便であることや導入に追加コストが不要であるというメリットから気管支鏡検査へ応用されてきている.
 本書には出雲雄大先生,佐藤雅昭先生の編集により,呼吸器科の臨床現場において画像処理ワークステーションを導入し活用してゆくうえでのノウハウ“How we do it”がふんだんに盛り込まれている.執筆者は画像処理ワークステーションを日常的に使用し,実臨床に役立てている新進気鋭の現役リーダーたちであり,最新の情報についても披露されている.本書をご覧いただければ,初めて画像処理ワークステーションを使用する方でも問題なく仮想気管支鏡が作成でき,臨床に応用できるものと思われる.
 本書は肺末梢病変により適切にアプローチしたい呼吸器科医に対して有用な情報を提供するとともに,多忙な臨床現場において気管支鏡技術のさらなるレベルアップに必ずお役立てていただけるものと考え,ここに強く推薦するものである.

 2017年5月
 東京女子医科大学内科学(第一)教授・講座主任
 玉置 淳




 気管支鏡は,呼吸器疾患の診断・治療に重要な手技です.近年では検診などで低線量CTの普及が進み,以前では発見されなかったような小型の肺がんやすりガラス影を呈する肺がんが多数発見されています.しかしながら,CTで発見された異常な影はすべてが肺がんというわけではなく,結核などの感染症や器質化肺炎などの非悪性病変のこともあり,それらは外科切除が第一選択の治療法ではないことから,胸部異常影の術前診断が重要であることは自明の理であります.CTで発見されるような小さい,または淡い胸部異常影は気管支鏡で可視範囲内に病変そのものを観察できることはほとんどなく,本邦ではX線透視やラジアル走査式気管支腔内超音波断層法(R-EBUS)を用いて病変の最終位置を確認しています.
 気管支は消化管とは違い一本の管ではないことから,気管支鏡では直接見えない病変に到達する気管支(関与気管支)を,気管支鏡検査前にCTなどの画像を用いて同定しておくことは非常に重要です.しかしながら,CTで見られる断層のイメージと気管支鏡で得られる内視鏡のイメージの乖離は大きく,正しい関与気管支が検査前に同定されずに漠然と気管支鏡検査が行われていることも実際の臨床現場では多く見受けられます.CTから関与気管支を同定していく作業は職人芸的なところもあり,かなりの時間を要する場合もあります.
 ところが,最近ではテクノロジーの進歩によりCTデータから,短時間で簡単に仮想気管支鏡を作成することができるようになってきています.これは自動車のカーナビゲーションシステム(カーナビ)の進歩と同じように思われます.カーナビがなかったころは地図を片手に運転されていた方も多数おられると思いますが,カーナビが使用できる現在,地図を片手に運転している方を見かけることはほとんどなくなりました.CTから自分の力で(頭で)関与気管支を同定していくことは学習として非常に重要で,不要になることはありませんが,忙しい臨床の現場では,なかなか関与気管支の同定に時間を費やすことができず,とりあえず気管支鏡検査をしておくといったことはないでしょうか.
 本書では多列CTがすでに導入されている多くの病院にプレインストールされているCT workstationによる仮想気管支鏡の実際の活用法について,気管支鏡診療にCT workstationを活用されている第一人者の方々に執筆をお願いいたしました.本書が発行される時点において本邦では仮想気管支鏡を使用しても保険請求はできないため,仮想気管支鏡専用機の導入をためらわれている施設も多いと聞きます.しかしながら,本書でご紹介するすでにプレインストールされているCT workstationであれば,新たな導入コストは不要であり,多くの施設で活用できる可能性を秘めています.
 また,外科治療においても微小肺病変に対する縮小手術の際には病変位置の術前マーキングは重要です.本書では現在わが国で先進医療として行われている,仮想気管支鏡をガイドとして術前マーキングを行うvirtual assisted lung mapping(VAL-MAP)についても具体的な方法やそのコツなどについて詳述しています.
 最後に,本書の刊行にあたり出版にご尽力いただいた医学書院の安藤恵さん,川口純子さんに感謝いたします.

 2017年5月
 出雲雄大・佐藤雅昭
目 次
推薦の辞


1 仮想気管支鏡とは
 [1]はじめに
 [2]気管支鏡による肺末梢病変診断の難しさ
 [3]仮想気管支鏡の応用
 [4]気管支鏡の基本手技とは
 [5]今後の展望

2 CT workstationとは
 [1]はじめに
 [2]必要条件
 [3]実際の手順
 [4]おわりに

3 主な3Dワークステーションの種類
 [1]はじめに
 [2]Ziostation®/Ziostation2®
 [3]SYNAPSE VINCENT®

4 仮想気管支鏡作成のための至適条件設定
 [1]はじめに
 [2]必要条件
 [3]各種パラメータ設定
 [4]おわりに

5 院内にあるCT workstationの活用法
 [1]はじめに
 [2]必要条件
 [3]実際の手順
 [4]おわりに

6 Ziostation®を用いた仮想気管支鏡作成
 [1]必要条件
 [2]実際の作成手順
 [3]応用テクニック
 [4]おわりに
  症例提示(Ziostation®

7 SYNAPSE VINCENT®を用いた仮想気管支鏡作成
 [1]はじめに
 [2]必要条件
 [3]実際の作成手順
 [4]気管支鏡シミュレータに関して
 [5]おわりに
  症例提示(SYNAPSE VINCENT®

8 SYNAPSE VINCENT®によるVAL-MAP作成手順
 [1]はじめに
 [2]必要条件
 [3]VAL-MAPの適応
 [4]実際の手順
 [5]VAL-MAPの合併症と成績・今後の展望
 [6]おわりに
  症例提示(VAL-MAP)

索引