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≪新看護学 13≫

老年看護


(第6版)

執筆:梶井 文子/亀井 智子/草地 潤子/小林 小百合/関 由香里/広瀬 幸子/森實 詩乃/六角 僚子

  • 判型 B5
  • 頁 256
  • 発行 2018年01月
  • 定価 2,052円 (本体1,900円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03177-6
本書の特徴
高齢者を取り巻く社会と生活の理解をふまえ、生活者としての高齢者の視点から、老年看護の現場で行われている看護技術の内容(実際)を盛り込みました。
高齢者の生活を支える看護の実際について多くの紙面を割き、健康生活の維持、加齢現象と看護、安全と安楽をまもる看護について詳しく解説しました。
フレイルや軽度認知障害(MCI)など、高齢者の看護にかかわる新たな概念や、基礎知識、およびケアの記述を充実させました。
高齢者と家族を支える保健・医療・福祉制度としくみを紹介し、在宅療養(訪問看護)や施設生活における看護職の役割を解説しました。
序 文
はしがき

学習にあたって
 長寿・高齢社会という喜ぶべき現実のなかで,その反面として障害をもつ高齢者は増加している。これまでの高齢化問題は,高齢化の進展の「速さ」が問題とされていたが,2015(平成27)年以降は高齢化率の「高さ」,つまり社会のなかの高齢者の多さが...
はしがき

学習にあたって
 長寿・高齢社会という喜ぶべき現実のなかで,その反面として障害をもつ高齢者は増加している。これまでの高齢化問題は,高齢化の進展の「速さ」が問題とされていたが,2015(平成27)年以降は高齢化率の「高さ」,つまり社会のなかの高齢者の多さが問題となる。2015年には,第一次ベビーブーム世代が前期高齢者に到達し,その10年後の2025年には高齢者人口は約3600万人に達すると推計されている。そして認知症高齢者数は,2025年には700万人をこえるという推計がある。
 厚生労働省は,2025年をめどに,高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと,可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。地域包括ケアシステムは,保険者である市町村や都道府県が,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じてつくりあげていくことが必要であるとされている。つまり,この人口高齢化を乗りこえていくためには「地域づくり」が不可欠であり,これは地域住民1人ひとりの努力によってしかなし得ない。
 高齢者介護の確立は,高齢者や医療・介護者だけの課題ではなく,わが国全体の大きな課題であり,そのなかで看護に求められていることは多い。とくに高齢者の暮らしの場は,自宅・施設・病院と多様化しており,その意味では保健・医療・福祉の各機関の連携の強化も重要である。看護は,そこにおいても大きな役割を担っている。
 これからの高齢者看護には,高齢者が現存能力を発揮し,安全にそして安心してその人らしい生活が継続できるように,地域や家族とともに支援していくことが求められている。そのためには,身体面の正確なアセスメントに加え,心理・社会面や生活習慣などの多角的なアセスメントが必要となる。
 本書は,准看護師教育課程のテキストとして編集されたものである。そのなかでも,とくに高齢者の暮らしを支えることに学習の力点をおいた。本書での学習によって,必要とされる知識・技術・態度を身につけ,私たちの目ざす,高齢者への理想的な看護を実現するための能力を養ってもらいたい。

改訂の趣旨
 第6版の改訂にあたっては,高齢者看護に関する知識として,近年とくに必要とされている事項を加えつつ,なるべく簡潔・平易な表現とすることに努めた。代表的なものとして,地域包括ケアシステムやフレイル,ロコモティブシンドロームなどは,複数の章で触れている。そのほか,各章ではおもに以下のような点について,加筆・修正を行った。
 第1章では,加齢に伴う精神的側面の変化について記述を新たにした。
 第2章では,認知症対策としての新オレンジプランや,地域包括ケアシステムについて項目を追加し,解説した。
 第3章,第4章では,基礎看護との重複を避けつつ,より高齢者の生活の援助に重きをおいた記述とした。
 第5章は,第5版で第4章の一部であった内容を独立させたものである。高齢者の訴えとして多い腹痛・腹部不快感の項目を追加し,そのほか,ノロウイルス感染症や褥瘡の予防などについて,新たな内容とした。
 第6章は,残薬の管理や服薬の指導など,高齢者の安全な薬物治療に関する看護について加筆を行った。さらに,早期からの多職種連携による支援が求められている退院支援について記述を新たにした。
 第7章では,認知症治療についての最新のガイドラインに従った記述へと更新し,また,エンドオブライフケアなどの概念についても紹介した。
 第8章では,介護保険制度の変化に合わせて内容を更新し,訪問看護や介護家族の会の様子などの写真を追加した。
 なお,編集にあたって,文中での表現の煩はん雑ざつさを避けるため,特定の場合を除いて看護師・准看護師に共通する事項は「看護師」と表現し,准看護師のみをさす場合には「准看護師」として示した。また,保健師・助産師・看護師・准看護師など看護の有資格者をさす場合には「看護者」あるいは「看護職」としたので,あらかじめご了解いただきたい。
 執筆者は,それぞれが高齢者看護における専門性をいかしながら本書にかかわっており,准看護師教育課程の学習に有用で,活用しやすいテキストとなるように努力していきたいと考えている。積極的で,かつ批判的なご意見をお寄せいただければ幸いである。

 2017年11月
 著者ら
目 次
第1章 高齢者の理解 (六角僚子・梶井文子)
 A.人としての高齢者を理解する
 B.加齢による身体的側面の変化
 C.加齢による心理・社会的側面の変化
 D.高齢者と発達課題

第2章 高齢者を取り巻く社会と社会システム (小林小百合・関由香里)
 A.高齢社会の統計的理解
 B.保健医療福祉のしくみ
 C.高齢者の権利擁護
 D.高齢者にとっての家族

第3章 高齢者の暮らしを支える看護の視点 (亀井智子)
 A.高齢者看護の視点
 B.高齢者と健康増進(ヘルスプロモーション)
 C.高齢者と自立支援
 D.高齢者と障害受容
 E.看護観察と看護記録
 F.高齢者とコミュニケーション

第4章 高齢者の暮らしを支える看護の実際 (六角僚子・関由香里・小林小百合)
 A.健康生活の維持
 B.高齢者の生活とリスクマネジメント

第5章 高齢者の病態・疾患と看護 (梶井文子・草地潤子)
 A.高齢者に多い疾患とその特徴
 B.系統別にみる症状・疾患と看護

第6章 治療・処置を受ける高齢者の看護 (広瀬幸子)
 A.外来受診をする高齢者の看護
 B.検査を受ける高齢者の看護
 C.薬物療法を受ける高齢者の看護
 D.入退院を必要とする高齢者の看護
 E.手術を受ける高齢者の看護
 F.救急対応を要する高齢者の看護

第7章 高齢者が豊かに生きるために (六角僚子・草地潤子)
 A.自分の世界を生きる―認知症高齢者の看護
 B.高齢者のリハビリテーション
 C.高齢者のセクシュアリティ
 D.アクティビティケア
 E.別れを迎えるとき―エンドオブライフケア

第8章 高齢者の暮らしの場と看護 (森實詩乃)
 A.在宅生活と看護
 B.施設生活と看護
 C.家族への看護

さくいん