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≪標準理学療法学・作業療法学・言語聴覚障害学 別巻≫

脳画像


執筆:前田 眞治

  • 判型 B5
  • 頁 176
  • 発行 2017年12月
  • 定価 3,780円 (本体3,500円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03250-6
リハビリテーションに関わる医療職に必要な脳画像の見かたをやさしく解説
画像の白黒の暗記ではなく、背景にあるメカニズムを説き起こすことで、なぜこのように見えるのかを解説した脳画像の見かたの入門書。疾患別の各論では、症例ごとにCT、MRIの各種画像を並べて示し、モダリティや撮像法の違いによって、所見がどう異なって見えるのかを解説。近年の国家試験出題傾向を踏まえ、脳卒中に加えて、頭部外傷、脳腫瘍、認知症、神経難病等の疾患を網羅。学生のみならず臨床に出てからも必携の1冊。
序 文


 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(PT・OT・ST)などのリハビリテーションにかかわる医療職にとって,脳損傷者の画像所見を理解することは,病態の理解,予後予測,リハビリテーション計画の立案をする際に必要不可欠である.
 日常臨床で行われるケース会議やカンファレンスなどで...


 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(PT・OT・ST)などのリハビリテーションにかかわる医療職にとって,脳損傷者の画像所見を理解することは,病態の理解,予後予測,リハビリテーション計画の立案をする際に必要不可欠である.
 日常臨床で行われるケース会議やカンファレンスなどでは,1つのスライス面だけを提示して議論することが多い.また,脳画像から機能解剖を理解するには,脳を立体的にイメージする必要があり,提示された2次元のスライス画像から情報を読み取らなければならない.近年,コンピュータ画像で各スライス画面を連続で追跡したり,3次元画像で表示したりできるようになってはいる.しかし,基本的には2次元のスライス画像から病変部位を特定し,その機能障害を推測できなければ臨床には役立たない.
 脳画像から機能障害を読み取るときには,常に2つの側面から見る必要がある.それは症状の情報なしに脳画像から推測する読み方と,実際の症状から考えられる所見を探す読み方である.双方から見て,症状を示さない所見と症状に合致する所見を合わせて読み解く習慣をつけていくべきである.そのことによって,隠された症状や変化修飾された症状が理解できることも少なくない.脳は可塑性に富み,障害部位のみならず残存部位の把握によって,利用できる機能や,その機能の予後推測など,リハビリテーションに欠かすことのできない情報を得ることができる.脳画像を十分に理解することで,その可能性を引き出し,脳損傷者のよりよい未来に貢献できると思われる.
 本書は,脳画像がより身近に理解できるように,CT(X線CT)やMRIの原理から導入し,その画像がどのような構成で成り立っているのかを解説している.そのうえで各スライス面の目印となる特徴を提示して,1つのスライス面がどのような高さに位置するのかをわかりやすく記載している.それがわかればそのスライス面の脳機能が把握でき,臨床症状と対比が可能になるような構成としている.
 CT,MRIのT1強調画像,T2強調画像,FLAIR画像,拡散強調画像などの画像を各スライスで対比できるように配置したのも本書の特徴であり,その場で色合いの違いなどが明確にわかるようになっている.さらにブロードマンの脳地図などと対比することで,機能部位の把握を容易にしている.
 脳損傷で最も多い脳血管障害の損傷後の各時期の違いなどについても触れ,ほかに脳外傷,脳腫瘍,神経疾患などリハビリテーションにおいて必要不可欠な疾患の画像も概説している.
 本書は長年,リハビリテーション科医の視点から脳画像の教育をしてきた筆者がまとめ上げたものである.「すぐに役立つ生きた教科書」として,脳損傷者の的確な理解とリハビリテーションを通じ,リハビリテーションを支える良質な人材の育成に貢献できることを願う次第である.

 2017年11月
 前田眞治
目 次
第1章 人間の脳の特徴
 1 人間の脳の特徴
  (1)脳の解剖学的名称
   Topics
    ・人間の脳とチンパンジーやサルの脳

第2章 脳画像の基本
 1 CT
  (1)CTの原理
  (2)ヘリカルCT
  (3)頭部CTの位置決めと撮像断面
 2 MRI
  (1)MRIの原理
  (2)T1強調画像
  (3)T2強調画像
  (4)FLAIR画像
  (5)拡散強調画像
  (6)各画像の特徴と見分け方
  (7)T2強調画像
  (8)MRA
  (9)MRIの禁忌
 3 脳機能画像
  (1)fMRI
  (2)SPECT
  (3)MEG
  (4)tractography

第3章 脳の画像解剖
 1 各スライスの見極め方
  (1)延髄のレベル
  (2)小脳のレベル
  (3)ペンタゴンのレベル
  (4)ダビデの星のレベル
  (5)中脳のレベル
  (6)前交連のレベル
  (7)モンロー孔のレベル
  (8)松果体のレベル
  (9)脳梁膨大のレベル
  (10)脳梁膨大と体部の中間(染色体のように見えるレベル)
  (11)脳梁体部のレベル
  (12)ハの字のレベル
  (13)高さ不明のレベル
  (14)水平断の各レベルとブロードマン領野の対応
  (15)各スライスの正常像
  (16)冠状断の画像の見方
  (17)矢状断の画像の見方
 2 支配血管
  (1)水平断から見た血管支配
  (2)血管支配の詳細
 3 運動野・感覚野の見極め方
  (1)帯状溝辺縁枝を手がかりとする方法
  (2)運動野,感覚野を見極める補助的方法
 4 言語野の見極め方
  (1)ブローカ野の同定
  (2)ウェルニッケ野の同定
  (3)頭頂間溝から同定する頭頂葉

第4章 脳の機能局在
 1 前頭葉
  (1)運動野(4野)
  (2)運動前野(6野)
  (3)補足運動野(6~8野にかけて)
  (4)前頭前野
  (5)中心前回下部皮質下と弁蓋部(44野),三角部(45野)
  (6)前帯状回(33野)
  (7)帯状回(24・32野)
  (8)膝下野(25野)
 2 頭頂葉
  (1)体性感覚野(3・1・2野)
  (2)味覚皮質(43野)
  (3)上頭頂小葉(5・7野)
  (4)下頭頂小葉:角回(39野),縁上回(40野)
 3 後頭葉
  (1)一次視覚野(17野)
  (2)視覚連合野(18・19野)
 4 側頭葉
  (1)ヘシュル回(41・42野)
  (2)聴覚連合野(22・21野)
  (3)下側頭葉(20野)
  (4)嗅内野(28野)
  (5)嗅周野(35野)
  (6)海馬傍回(36野)
  (7)紡錘状回(37野:側頭葉後下部)
  (8)側頭葉極(38野)
  (9)扁桃体
 5 その他
  (1)島回
  (2)脳梁
  (3)尾状核
  (4)被殻
  (5)視床下部
  (6)視床

第5章 脳血管障害
 1 脳内出血
  (1)CT
  (2)MRI
  (3)種々の脳内出血の画像
 2 脳梗塞
  (1)CT
  (2)MRI
  (3)種々の脳梗塞の画像
 3 くも膜下出血
  (1)発症直後の画像
  (2)治療時の画像
  (3)血管攣縮
   Advanced Study
    ・髄液の産生経路と水頭症
 4 脳動静脈奇形・もやもや病
  (1)脳動静脈奇形
  (2)もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)
 5 症状・症候からみた脳血管障害
  (1)運動麻痺例
  (2)交代性片麻痺
  (3)高次脳機能障害

第6章 頭部外傷
 1 頭部外傷
  (1)急性硬膜外血腫
  (2)急性硬膜下血腫
  (3)慢性硬膜下血腫
  (4)外傷性くも膜下出血
  (5)脳挫傷
  (6)びまん性軸索損傷

第7章 脳腫瘍
 1 脳腫瘍
  (1)悪性腫瘍
  (2)良性腫瘍

第8章 認知症
 1 認知症
  (1)アルツハイマー型認知症
  (2)レビー小体型認知症
  (3)前頭側頭型認知症
  (4)脳血管性認知症

第9章 神経難病
 1 神経難病
  (1)脊髄小脳変性症
  (2)多発性硬化症
  (3)筋萎縮性側索硬化症
  (4)パーキンソン病
  (5)進行性核上性麻痺

第10章 その他の疾患
 1 その他の疾患
  (1)脳膿瘍
  (2)全身性エリテマトーデス
  (3)脳アミロイドアンギオパチー

Check Sheet

索引