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生活機能からみた

老年看護過程

+病態・生活機能関連図
(第3版)

編集:山田 律子/萩野 悦子/内ヶ島 伸也/井出 訓
編集協力:佐々木 英忠

  • 判型 A5
  • 頁 536
  • 発行 2016年11月
  • 定価 3,888円 (本体3,600円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02836-3
高齢者の“もてる力”を引き出す! 老年看護過程の決定版
生活機能の視点から高齢者を捉え、“もてる力”を引き出すための方法とコツを解説。カルテが読める「目でみる疾患、症状、診断・検査値、合併しやすい症状、治療法」、ケアがみえる「情報収集・分析、アセスメントの視点、ケアプラン」、高齢者の全体像がみえる「病態・生活機能関連図と看護問題」で構成。ほしい情報が満載、実習記録に悩まないオールインワン!
序 文
はじめに

 看護学実習では,通常,「看護問題」(本書では「看護の焦点」とよんでいます)を取り
上げ,その問題解決を目標として進めます.いわゆる「問題解決型思考」です.しかし,筆者らは,老年看護学実習を「問題解決型思考」で進めることには違和感を覚えるのです.
 「...
はじめに

 看護学実習では,通常,「看護問題」(本書では「看護の焦点」とよんでいます)を取り
上げ,その問題解決を目標として進めます.いわゆる「問題解決型思考」です.しかし,筆者らは,老年看護学実習を「問題解決型思考」で進めることには違和感を覚えるのです.
 「転倒」の防止を例に考えてみましょう.これは高齢者の看護では,基本ともいえることがらです.ただし,それを「看護問題」として強調してしまうと,「安全を確保するためには行動制限をしなければならない」といった発想が生じ,高齢者の「いきいきとした活動」をかえって妨げている場面が少なくないのです.転倒防止策は具体策で立案しますが,「看護の焦点」には,高齢者の暮らしが豊かになるような目指すべき方向性を示したほうが,対象者本人をはじめ多職種で協働する際にも進むべき方向性を見失わずにすむのではないでしょうか.
 もちろん老年看護においても,生命が脅かされるような急性疾患のように,「問題解決型思考」が中心となることもありますが,学生の皆さんが老年看護学実習で受け持つ対象者の多くは,慢性疾患や障害をもちながら暮らしている高齢者です.その場合の看護実践は,「問題解決型思考」よりも,対象者がどのような生活を望んでいるか,つまり「目標志向型思考」で進めることが望ましいといえます.本書は,そのような「目標志向型思考」に基づいて実習を展開する手がかりとなることを目指して書き下ろしました.これが,本書の第1の特長といえます.
 本書のもう1つの特長は,「生活行動モデル」を用いたことです.これは,筆者らの老年看護領域における実践経験をもとに開発したモデルで,文字どおり「高齢者の生活」に焦点を合わせています.読者がモデルを理解し,実践に応用できるよう,本書の第1編では「生活行動モデル」に基づいて,高齢者の生活をとらえるための視点について詳述しました.
 本書の執筆は,いずれも老年看護の実践と教育に習熟した方々にお願いし,「基盤となる考え方」にずれがないよう,とくに留意しています.また,今回の改訂にあたっては,老人看護専門看護師の方々にも執筆者として加わっていただきました.
 今回の改訂では,老年看護学実習を介護保険施設で行う教育機関が増えていることを踏まえて,第2編の疾患や症状・機能障害の項目を見直しました.一方,急性期医療を担う病院で実習を行う教育機関もあり,臨床看護師の方々が本書を使用されることもあることから,「手術を必要とする高齢者のとらえ方」を加えました.さらに,学生たちが治療薬による高齢者の生活への影響をアセスメントできるように,付録に「気をつけたい! 高齢者の治療薬と留意点リスト」を追加しました.
 皆さんの老年看護学実習を円滑に進めるうえでの拠り所として本書を活用していただけるならば,筆者らにとって望外の喜びです.また,今後も実際に利用されたうえでのご意見,ご感想を,是非ともお寄せください.皆さんにとって,より学びが深まるものになるよう引き続き改訂していきたいと考えています.そのことが,実習場面で皆さんがお世話になる高齢者の方々への還元にもなると信じているからです.
 第3版の刊行にあたり,最後まで根気よくお付き合いいただきました執筆者の方々に,この場を借りて御礼を申し上げます.また,いつも温かく励ましながら支えていただきました医学書院諸氏に深謝申し上げます.
 私たちの老年看護学にかける熱い思いを,本書を通して少しでも伝えることができたなら幸いです.

 2016年9月
 著者を代表して 山田律子
目 次
  はじめに
  老年看護の展開における考え方
  複数の疾患をもつ高齢者のとらえ方
  手術を必要とする高齢者のとらえ方
  本書の構成と使い方

第1編 生活行動情報の着眼点
  1 活動
  2 休息
  3 食事
  4 排泄
  5 身じたく
  6 コミュニケーション

第2編 病態からみた看護過程の展開
 第1部 疾患別看護過程の展開
 【脳神経系疾患】
  1 認知症
    高次脳機能障害
  2 パーキンソン病
    進行性核上性麻痺
  3 脊髄小脳変性症
  4 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
 【運動器系疾患】
  5 大腿骨頸部骨折・転子部骨折
    骨粗鬆症
    脊椎圧迫骨折
  6 変形性膝関節症
 【呼吸器系疾患】
  7 肺炎(誤嚥性肺炎)
  8 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 【循環器系疾患】
  9 心不全(慢性うっ血性心不全)
    不整脈
 【代謝疾患】
  10 糖尿病
 【腎・泌尿器系疾患】
  11 前立腺肥大症
 【皮膚疾患】
  12 老人性皮膚そう痒症(老人性乾皮症)
    カンジダ症
    疥癬
  13 褥瘡
    スキンテア(皮膚裂傷)
  14 白癬
 【眼疾患】
  15 白内障
 【感染症】
  16 ノロウイルス感染症
  17 尿路感染症

 第2部 症状・機能障害別看護過程の展開
  18 摂食嚥下障害
    胃食道逆流症(逆流性食道炎)
    胃瘻のケア
  19 脱水
  20 浮腫
  21 排尿障害(尿失禁・排尿困難・頻尿・過活動膀胱)
  22 排便障害(便秘・下痢)
  23 睡眠障害
  24 転倒・転落
  25 言語障害(失語症・構音障害)
  26 しびれ・冷え
  27 老人性難聴
  28 抑うつ状態
  29 せん妄
  30 高血圧・低血圧
  31 廃用症候群

 付録
  付表1 気をつけたい! 高齢者の治療薬と留意点リスト
  付表2 高齢者理解のための生活史年表
  付表3 唱歌と童謡

 索引