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片麻痺回復のための運動療法[DVD付]

促通反復療法「川平法」の理論と実際
(第3版)

著:川平 和美/下堂薗 恵/野間 知一

  • 判型 B5
  • 頁 224
  • 発行 2017年06月
  • 定価 6,696円 (本体6,200円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02216-3
より見やすく、より分かりやすく、待望の改訂第3版
脳卒中後の片麻痺に対する運動療法として広く認知されている「川平法」こと、促通反復療法について基礎編/実践編の2部構成、フルカラーで解説。基礎編では臨床研究とエビデンス、実践編では治療者がどのように患者に手技を行うかについて1コマ1コマの写真を用いて丁寧に解説。前版から好評のDVDも内容をすべて見直し、上肢・下肢を中心に70手技の動画を収録、読者のさらなる理解が得られるよう工夫されている。

●動画配信中!
DVDより一部をご紹介します。
序 文
第3版 序

 筆者が提唱している促通反復療法(Repetitive Facilitative Exercise:RFE)は,新たな促通手技によって患者の意図した運動を実現し,それを反復することによって随意運動を実現するために必要な神経路を再建/強化することを目的とした神経路強化的...
第3版 序

 筆者が提唱している促通反復療法(Repetitive Facilitative Exercise:RFE)は,新たな促通手技によって患者の意図した運動を実現し,それを反復することによって随意運動を実現するために必要な神経路を再建/強化することを目的とした神経路強化的促通法(neuronal net constructive therapy)である。促通反復療法はこれまで治療が難しかった片麻痺上肢,特に個々の手指の運動の回復だけでなく,従来の治療法の限界が明らかであった下肢麻痺と歩行障害の回復にも,健側立脚の重視と歩行中の促通療法の開発で大きな展望を開いた。促通反復療法は損傷された神経路の再建と強化を含む特定の神経路の選択強化(学習の促進)を基本的な治療原理としているため,脳卒中や脊髄損傷,末梢神経障害による麻痺や感覚障害へのリハビリテーションの有力な手法となる。

 近年,この神経路レベルで強化できる促通反復療法の効果が回復期だけでなく,急性期,慢性期でも実証的な検証で確認されている。さらに,効果を高める持続的電気刺激法や振動刺激痙縮抑制法,経頭蓋磁気刺激法,ボツリヌス療法,ロボットなどとの併用療法の有効性が次々と報告されている。今後,神経系の再生医療後のリハビリテーションでは,目標の神経路を選択的に再建/強化できる促通反復療法と,それをより効果的にする手法との併用療法が不可欠のものとなろう。
 この目標の神経路を効率的に強化する促通反復療法が考え出された背景には,サルなどでの基礎研究やヒトでのfMRIやPET,脳磁図(MEG)などを用いた臨床研究によって明らかにされた脳の機能局在と情報処理,脳損傷後の可塑性発現がある。これらの新たな事実は,片麻痺の回復を促進する治療にも新しい視点と理論的な発展をもたらし,脳卒中などの中枢神経障害による麻痺や失行に対する運動療法や作業療法の方向性を一変させた。つまり,障害を反射説に基づいて解釈し治療法を組み立てる従来の方法から,機能局在や中枢プログラム,ニューラルネットを基盤として,シナプス形成や伝達効率の向上による神経路形成を重視した科学的な治療法を考えるようになり,このことなしには新たな治療法の発展は期待できない時代となった。

 本書では,促通反復療法を理解してもらうために,まずその基盤となっている機能局在,随意運動,可塑性,神経側芽などの神経路形成/強化のメカニズムなどを簡潔に説明している。続いて,促通反復療法の治療効果を実証的に述べ,最後に基本的な治療手技と併用療法について述べていく。
 今回の改訂に当たって注力した点は,(1)下堂薗恵先生,野間知一先生の執筆による内容の拡充,(2)促通反復療法の治療手技の写真や図,表のカラー化と付録DVDの更新,(3)併用療法を含めた治療効果の科学的な証明の追加による合理的な治療戦略の解説, (4)歩行障害への治療の解説である。
 ただ,付録DVDに収載した動画には多くの手技から日常の臨床で重要なものを選択せざるをえなかったこと,治療効果の科学的な証明は多くの論文があることに加えて,新たな論文が次々に発表されるために多くは紹介できなかったことはお許しを願いたい。
 
この出版に際して,多くの方のご支援を頂いた。写真と動画撮影のモデルを引き受けてくれた作業療法士の守永郁美さん,研究データを提供してくれた衛藤誠二先生,緒方敦子先生,松元秀次先生,さらに動画撮影の際に機材を提供頂いたオージー技研株式会社,伊藤超短波株式会社に心より感謝したい。また,何回もの修正をお許し頂いた医学書院の大野智志さん,田邊祐子さんにも御礼を申し上げる。

 2017年4月
 川平和美
目 次
基礎編
I 促通反復療法の理論的背景
 A 機能局在
 B 随意運動
  1.随意運動のメカニズム
  2.随意運動の中枢プログラムと反射説
 C 運動学習
  1.「誤りなき学習」~目標の神経路へ興奮伝導を反復
  2.興奮伝導によるシナプスの伝達効率向上と組織的結合強化
 D 可塑性の証明
 E 機能回復のメカニズムと可塑性
  1.脳の可塑性
  2.非障害側半球での機能再構成
 F 可塑性のメカニズム
  1.神経側芽(sprouting)
  2.アンマスキング(unmasking)
 G 片麻痺回復促進と神経筋促通法の問題点
 H 片麻痺回復促進のための4 つの視点
 I 促通反復療法の治療成績
  1.片麻痺上肢の治療成績
  2.片麻痺体幹の治療成績
  3.片麻痺下肢の治療成績
 J 促通反復療法を基軸とした併用療法
  1.併用療法の理論背景
  2.神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation:NMES)
  3.振動刺激
  4.持続的電気刺激/振動刺激との併用療法
  5.経頭蓋磁気刺激
 K 視野欠損への反復視覚刺激療法

実践編
II 促通反復療法の原則と基本手技
 A 促通反復療法の原則
 B 促通反復療法の基本的手技
 C 意図した運動の実現
 D 麻痺の改善(共同運動分離)
 E 痙縮コントロールの原則
III 治療プログラムの立案
 A 促通反復療法を含む治療プログラム作成上の留意点
 B 患者の集中力を維持するための工夫
  1.片麻痺上肢の治療内容と留意点
  2.片麻痺手指の治療内容と留意点
  3.片麻痺下肢の治療内容と留意点
 C 促通反復療法の治療目標
  1.麻痺の回復
  2.上肢の実用的目標
  3.下肢の実用的目標
IV 上肢への促通反復療法
 A 上肢の運動療法の原則
 B 基本的治療手技と肩の痛みの予防
  1.肩関節屈曲と操作法
  2.手指と前腕の屈筋痙縮を抑制する操作(背臥位)
  3.目標の神経路の興奮水準を高める操作
 C 上肢の運動療法の進め方
 D 肩の促通法
 E 上肢全体の促通法
 F 肘の促通法
 G 手関節の促通法
 H 手指の促通法
V 下肢への促通反復療法
 A 下肢の運動療法の原則
 B 基本的治療手技
 C 下肢の運動療法の進め方
 D 股関節の促通法
 E 下肢全体の促通法
 F 膝の促通法
 G 足関節の促通法
VI 麻痺側下肢の機能をいかす歩行訓練
 A 立位バランスの訓練
  1.目的
  2.立位不安定例への治療
 B 下肢装具と杖
  1.下肢装具の適応
  2.杖の選択と使用法
  3.健側下肢への補高
 C 歩行訓練
  1.歩行パターン訓練
  2.トレンデレンブルク歩行,挟み足歩行などへの介助法
  3.階段昇降の介助法
VII 合理的な基本動作(寝返り,起座,立ち上がり,座り)

終わりに
 A 神経筋促通法/促通反復療法のこれからの課題
 B 促通反復療法が目指すべき方向性
 C まとめ

索引