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消化器病診療


(第2版)

監修:一般財団法人 日本消化器病学会
編集:「消化器病診療(第2版)」 編集委員会

  • 判型 B5
  • 頁 528
  • 発行 2014年10月
  • 定価 6,480円 (本体6,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02016-9
日常診療に必要な広範な知識を1冊に。日本消化器病学会監修による信頼できる情報源
消化器疾患の概念、疫学、発症機序、診断、治療等を各領域のエキスパートが簡潔に解説。日常診療のさまざまな場面を想定し、症候の捉え方から、検査・治療の手技、手術の概要、癌化学療法の実際、患者説明のポイントまで、消化器病診療で必要とされる広範囲の知識・情報を1冊にまとめた。日本消化器病学会監修による信頼できる情報源。
序 文
第2版 発刊に寄せて(菅野健太郎)/第2版 序(恩地森一)

第2版 発刊に寄せて
 日本消化器病学会監修『消化器病診療』の第1版は,その副題である「良きインフォームド・コンセントに向けて」に示されているように,日本消化器病学会の会員が,患者に対し消化...
第2版 発刊に寄せて(菅野健太郎)/第2版 序(恩地森一)

第2版 発刊に寄せて
 日本消化器病学会監修『消化器病診療』の第1版は,その副題である「良きインフォームド・コンセントに向けて」に示されているように,日本消化器病学会の会員が,患者に対し消化器疾患について説明すべき要点,検査・治療行為のリスクとベネフィット等を簡潔に記し,より良い医師-患者関係を構築することを願って,当時の学会理事長,故藤原研司先生の企画のもと2004年に出版され,会員全員に配布された.その編集委員長は学会理事長を藤原先生から引き継がれた跡見裕先生が当たられ,私も編集委員の一員として参画させていただいた.
 藤原先生が本書の必要性を強く認識されたのは,先生が主催された第89回日本消化器病学会総会で,「直面する医療の課題を問う」という特別企画シンポジウムを開催され,医療事故とそれに伴う医療訴訟が激化しつつある状況に対し,当事者である医療者・患者・社会がどのように対処すべきかについて熱い議論を行ったこと(その記録は2003年に医学書院から発行された『新しい医療を拓く』として残されている)に原点があると思われる.これは,医療が,不十分な情報に基づいて不十分なシステムのもとで行われるという必然性を有している以上,患者と医療者が医療の限界を相互に理解し合い,その了解のもとに補完関係を保ちながらより良いアウトカムを目指すことが必要であると考えられたからである.
 しかし,残念ながらその後現在にいたるまで,医療者側のインフォームドコンセントの欠如,不十分な医療記録記載による医療紛争事例は絶えない.その背景にある,安全性の基盤となる医療体制の脆弱性,すなわち医師の過重労働と貧弱なサポート体制のなかで辛うじて医療が維持されているという問題にも改善の兆しが見られない.一方,医療がこのように不完全で多くの危険を孕んでいることについての社会や患者側の認識も不十分であり,安全を高めるために必要な医療コスト負担の議論は置き去りになっている.急速な高齢化が進行し多重疾患を有するハイリスク患者が急増していることを考えると,わが国における医療は,一層危機的な状況に向かっていくことが危惧される.このような高齢化に伴う急激な疾病構造の変化とともに,新しい医療技術や治療法の開発,新たな疾患概念の提唱,診療ガイドラインの改訂も続いている.藤原先生が目指された「良きインフォームド・コンセントに向けて」という本書の趣旨を生かすためには,これらの変化に対応した改訂を行うことが必要と考え,私の理事長時代に,編集委員長を恩地森一先生にお願いし,改訂に着手した.
 このたび,内容の刷新された第2版が上梓されることとなり,編集委員長の恩地先生をはじめ,編集,執筆に当たられた学会員の諸先生に厚く御礼を申し上げるとともに,第1版を企画・発刊され,また改訂が継続されることを願われた故藤原研司先生に本書を捧げるものである.

 日本消化器病学会前理事長 菅野健太郎


第2版 序
 2013年1月に,菅野健太郎日本消化器病学会理事長(当時)から『消化器病診療』の改訂(第2版の出版)の下命をいただき,社会貢献の評価・改善検討委員会の中でその作業を開始した.2004年に出版された第1版は副題にあるように,インフォームドコンセント(IC)について学会員の理解を徹底することが目標であった.その後10年を経過し,消化器病の診療には大きな進歩があり,またICも日常的に使用されている状況に鑑み,内容を一新するとともに,第1版の精神を継承して倫理に関する事項を大幅に増やした.また,従来型の本だけではなく,学会ホームページ(会員専用ページ)に載せるという新しい方式を採用し,大きな進歩にも逐次,容易に対応できる形式とした.
 消化器病診療では過去40年間の成果により,pathogen-orientedな診療が可能となった.A・B・C・D・E型肝炎ウイルスやHelicobacter pylori の発見とその駆除は人類に大きな恩恵をもたらしている.小腸内視鏡などの消化器内視鏡や各種画像医療の開発により診断と治療に大きな進歩がみられた.また,IgG4関連疾患,嚢胞性膵腫瘍,機能性ディスペプシア,過敏性腸症候群,生活習慣病としての脂肪性肝疾患,急性自己免疫性肝炎や門脈圧亢進症型原発性胆汁性肝硬変の存在などの新しい疾患概念も導入された.栄養療法の開発や肝移植を中心とした移植医療も普及しつつある.胃酸分泌抑制剤は胃潰瘍の治癒と消化管出血治療に劇的な貢献をした.また,分子標的薬の開発が進み,がんや炎症性腸疾患などの難治性疾患に大きな福音がもたらされた.
 最近10年間の医療倫理に関して国民の要望にも大きな変化が生じるとともに,医療人による受け入れと対応が進んできた.医療スタッフによるチーム医療,がんを中心とした医療の均てん化,医療施設の層別化やケアの普及なども,消化器病診療に大きな影響をもたらした.卒後研修制度の大幅な変革により,各医師が倫理的なことも含めて全人的医療に大きな責任をもつ時代となっている.また,日本の高い医療レベルの海外への普及を視野に入れたグローバリゼーションにも迫られている.
 以上のような大きな診療の進歩や変化を学会員に理解していただくことを目標に,第2版の出版ができたことを喜びとするものです.今回の出版には,大変ご多用な先生方に短期間で簡潔に執筆していただいたことに感謝申し上げます.本書の刊行には学会事務局と出版社の方々に大きなお力添えをいただきました.編集委員を代表して深謝いたします.

 2014年9月
 編集委員を代表して 恩地森一
目 次
I 症候
  腹痛
  腹部膨満
  吐血・下血
  便通異常
  黄疸

II 疾患
 1 消化管
  胃食道逆流症(GERD)
  食道裂孔ヘルニア
  Barrett食道・腺癌
  アカラシア
  食道癌
  食道・胃静脈瘤
  特発性食道破裂
  Mallory-Weiss症候群
  急性胃炎・AGML
  慢性胃炎
  機能性ディスペプシア
  消化性潰瘍
  胃癌
  胃MALTリンパ腫,胃悪性リンパ腫
  胃粘膜下腫瘍(GIST,その他)
  胃良性腫瘍(ポリープ,腺腫)
  上腸間膜動静脈閉塞症
  吸収不良症候群
  Meckel憩室
  小腸腫瘍
  小腸良性腫瘍
  小腸血管性病変
  腸閉塞(イレウス)
  虫垂炎
  腸結核
  その他の感染性腸炎
  Crohn病
  腸管Behçet病,単純性潰瘍
  その他の小腸潰瘍
  潰瘍性大腸炎
  薬剤性腸炎
  虚血性大腸炎
  過敏性腸症候群
  大腸憩室症
  大腸ポリープ
  大腸癌
  Lynch症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)
  S状結腸軸捻転症
  直腸脱
  痔核・痔瘻・裂肛
  消化管ポリポーシス
  消化管カルチノイド
 2 肝
  急性肝炎
  急性肝不全(劇症肝炎,LOHF)
  B型慢性肝炎
  C型慢性肝炎
  自己免疫性肝炎
  原発性胆汁性肝硬変
  肝硬変
  薬物性肝障害
  アルコール性肝障害
  脂肪肝
  代謝性肝障害
  肝寄生虫症
  肝膿瘍
  肝内結石症
  肝嚢胞
  肝細胞癌
  肝内胆管癌
  肝門部胆管癌
  転移性肝癌
  肝良性腫瘍
  肝硬変以外の門脈圧亢進症
 3 胆膵
  胆石症
  胆嚢炎
  急性胆管炎
  胆嚢ポリープ,胆嚢腺筋腫症
  胆嚢癌
  胆管癌
  十二指腸乳頭部癌
  膵胆道の先天性形成異常
  原発性硬化性胆管炎
  急性膵炎
  慢性膵炎
  自己免疫性膵炎
  膵嚢胞,嚢胞性膵腫瘍
  膵癌
  膵神経内分泌腫瘍
 4 腹膜・外傷・他
  ヘルニア
  腹部外傷
  腹膜疾患

III 検査手技
  消化管造影(上部・下部)
  上部消化管内視鏡
  下部消化管内視鏡
  小腸内視鏡
  腹部超音波検査
  腹部のCT
  腹部のMRI
  PET
  内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)
  超音波内視鏡検査(FNAを含む)
  血管造影検査
  腹腔鏡検査,肝生検
  経皮的生検(肝生検を除く)

IV 治療
 1 処置および治療
  胃洗浄,胃管・イレウス管留置
  経腸栄養,経管栄養
  浣腸,高圧浣腸
  腹腔穿刺およびドレナージ
  食道バルーンタンポナーデによる止血
  バルーン拡張術
  食道・胃静脈瘤の内視鏡的治療
  内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)-食道
  内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)-胃
  内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)-大腸
  内視鏡的止血処置-上部消化管
  内視鏡的止血処置-下部消化管
  経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
  経乳頭的治療手技およびドレナージ
  内視鏡的ステント療法-消化管
  内視鏡的ステント療法-胆道
  超音波内視鏡下治療
  経皮的ドレナージ(胆道,膿瘍,嚢胞)および除石
  肝動脈塞栓化学療法,肝動注化学療法
  経皮的局所療法(PEIT,PMCT,RFA)
  体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)
  血液浄化療法
 2 手術手技
  麻酔
  術中合併症
  術後合併症
  腹腔鏡下手術
  ロボット手術
  高齢者の手術
  食道癌の手術
  逆流性食道炎,食道裂孔ヘルニアの手術
  胃癌の手術
  胃・十二指腸潰瘍穿孔に対する手術
  大腸癌の手術
  炎症性腸疾患の手術
  人工肛門,腸瘻造設術
  虫垂切除術
  肝切除
  胆嚢摘出術
  胆管癌の手術
  膵癌の手術
  肝移植
  鼠径ヘルニア手術
  肛門疾患の手術
 3 がんの薬物療法・緩和医療
  がん薬物療法の基礎
  支持療法
  食道癌
  胃癌
  大腸癌
  肝癌
  胆道癌
  膵癌
  消化管間質腫瘍(GIST)
  神経内分泌腫瘍(消化管および膵)
  MALTリンパ腫,悪性リンパ腫
  緩和医療

V 倫理に関する事項
  医療事故取り扱い
  利益相反
  個人情報の取り扱い方
  急性期医療(救急)
  慢性期医療・高齢者医療
  先端医療-臓器移植・再生分野
  先端医療-遺伝子医療分野
  検体,診療情報と臨床研究への利用
  臨床試験における倫理と関連委員会
  セカンドオピニオン
  インフォームドコンセント

VI 知っておきたい重要事項
  消化器感染症の取り扱い
  肥満と消化器疾患
  腸内細菌叢と消化器疾患

索引