読者の皆さんへ
「今日,超音波しないんですか」と訊かれた経験はありませんか。実は,胎児超音波検査の標準は明らかではありません。では,超音波検査をいつ行い,何を,どこまで見たらよいのでしょうか。
そこで本書は,(1)画像を通して,妊産婦と胎児の状態をイメージできる,(2)画像を説明できる,さらには,(3)その結果を健診・指導にいかす,ことを目標に,検者として,また検査補助者として知っておいて欲しい知識をコンパクトにまとめました。
第I章では,月齢ごとに,胎児の発育過程と主な検査・保健指導項目を,超音波画像を交えてまとめました。
第II章では,超音波検査装置の基本的な操作法と,きれいな画像の作り方を解説してあります。
第III章では,いよいよ胎児体重計測にチャレンジです。プローブの動かし方など,実際の手順がイメージできるよう,step by stepで説明しました。
また,検査を行っていく中で,「あれ? 何か変」と思うような画像に遭遇するかもしれません。そこで,
第IV章では,疾患発見の端緒になる異常画像をまとめました。疾患理解と患者説明に役立てられるよう,医師が行っている胎児スクリーニングについても簡単に解説しました。さらに,超音波検査に関連して,胎児心拍モニタリングを含む胎児のwell-beingの評価や超音波に関する略語も加えました。
助産外来の拡がりにより,プローブを握ることになった助産師さんも多いと思います。本書を契機に,超音波検査が妊婦・胎児と皆さんとを繋なぐ架け橋になれば幸いです。
最後に,本書の編集という以上にお力添え頂いた医学書院 山内梢さんに深甚の謝辞を捧げます。
平成26年3月吉日
谷垣 伸治