覚醒下手術ガイドライン

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覚醒下手術とは、手術による脳機能の傷害を防ぐために、手術中に麻酔を覚まして脳の機能を患者に確認しながら病巣を摘出する手技。このたび日本Awake Surgery学会が世界で初めてガイドラインを作成した。麻酔、摘出術(手術)、手術中の言語機能等の高次脳機能検査の3つのパートからなり、それぞれわが国の関連学会である日本麻酔科学会、日本脳神経外科学会、日本神経心理学会の承認を得ている。
編集 日本Awake Surgery学会
発行 2013年10月判型:B5頁:112
ISBN 978-4-260-01863-0
定価 4,950円 (本体4,500円+税)
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緒言

 近年,覚醒下脳手術による脳機能マッピングは,言語野近傍領域の髄内病変切除に用いられる手技として,世界的に普及してきている。しかしながら,これまで覚醒下脳手術に関する体系的なガイドラインやマニュアルは存在しなかった。そのような状況のもと,日本Awake Surgery学会は,2006年から覚醒下脳手術のガイドラインの作成に着手した。本学会は,覚醒下脳手術の普及と安全性の向上,言語機能を中心とした脳科学の進歩を目指して,覚醒下脳手術に関係する脳神経外科医,麻酔科医,神経内科医,リハビリテーション科医,言語聴覚士,言語学者などが中心となって2002年に研究会として設立された(2013年に学会と名称変更)。
 ガイドラインの作成は,日本脳神経外科学会,日本麻酔科学会,日本神経心理学会の協力を得て行われ,2012年に日本脳神経外科学会の機関誌(英文誌)Neurologia medico-chirurgicaに,世界で初の覚醒下脳手術のガイドラインを公表した。このガイドラインは,世界的レベルでの活用を目指し英文誌に掲載したが,日本の覚醒下脳手術を行っている,あるいはこれから行おうとしている医療機関の医師のみならず,コメディカルスタッフの方々からも日本語版の出版を求める声が寄せられ,この度,医学書院の協力を得て,出版の運びとなった。
 ガイドラインは,覚醒下脳手術の適応や脳機能マッピングも含めた手術手技に関する章,麻酔法に関する章,言語機能評価に関する章の3つのパートに分けて記載している。ガイドラインを作成するにあたっては,できる限りエビデンスに基づいて作成したが,覚醒下脳手術に関しては未だ経験に基づくところも多く,その場合はde facto standard(事実上の標準)を基に記載した。
 このガイドラインは,既に多くの経験をもった施設の方法を否定するものではない。あくまで,覚醒下脳手術の普及と言語機能評価も含めた技術の均てん化を目指したものである。覚醒下脳手術が安全に多くの施設で行われ,その知見によって脳科学が進歩することを切に願っている。

 2013年8月
 日本Awake Surgery学会会長
 一般社団法人日本脳神経外科学会理事長
 嘉山 孝正

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第1章 覚醒下開頭術の手術手技
【適応】
 1.年齢
 2.疾患の種類
 3.部位
 4.その他,神経症状などの適応条件
 5.優位半球決定方法
【方法】
 1.術前処置
  1-1 シミュレーションの有無および内容
  1-2 前投薬の有無(この項目は英文版にはない)
  1-3 抗痙攣薬のモニタリング
 2.術中の各種方法
  2-1 皮膚麻酔の部位,方法
  2-2 頭部固定および体位設定
  2-3 Awake stateと手術:摘出時の麻酔の有無,電気刺激の有無
  2-4 刺激の条件とタイミング
   2-4-1.皮質刺激:電極の種類,刺激の強さ,時間
   2-4-2.皮質下刺激:電極の種類,刺激の強さ,時間
  2-5 痙攣時の処置
  2-6 後発射(after discharge)確認の必要性と有用性:方法および評価法
  2-7 痙攣以外の合併症とその対策
   2-7-1.痛み
   2-7-2.空気塞栓
   2-7-3.せん妄と感情失禁
   2-7-4.脳圧亢進
   2-7-5.その他
  2-8 刺激結果からの意思決定
   2-8-1.てんかん
   2-8-2.脳腫瘍

第2章 覚醒下開頭術の麻酔管理
【概要】
 1.はじめに
【方法】
 1.基本方針
 2.前投薬
 3.基本モニター,準備
 4.入室,導入,局所麻酔
 5.覚醒に向けて
 6.覚醒中
 7.再導入・閉頭
 8.覚醒・退室

第3章 覚醒下開頭術の言語評価
【推奨】
 1.適応症例
 2.術前準備
 3.電気刺激
 4.言語課題
【解説】
 1.目的
 2.適応症例
 3.術前準備
 4.電気刺激
 5.言語課題

英文版 The Guidelines for Awake Craniotomy
 I.SURGICAL MANEUVERS FOR AWAKE CRANIOTOMY
 II.ANESTHETIC MANAGEMENT FOR AWAKE CRANIOTOMY
 III.LANGUAGE ASSESSMENT DURING AWAKE CRANIOTOMY

索引

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