医学書院

検索
HOME書籍・電子メディア > 書籍詳細

≪助産学講座 5≫

助産診断・技術学Ⅰ


(第5版)

編集:堀内 成子
執筆:堀内 成子/毛利 多恵子/森 明子/有森 直子/川島 広江/中村 幸代/中田 かおり/茅島 江子/高田 昌代/野口 真弓

  • 判型 B5
  • 頁 320
  • 発行 2013年02月
  • 定価 4,104円 (本体3,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-01583-7
本書の特長
助産援助の基盤となる概念や援助の現場がビジュアルに学べます
女性の健康問題に対する援助技術の基盤となる概念を、豊富な図表で理解しやすくしています。また、実際の展開例について写真を交えながら解説し、臨場感を持って学習できるようにしています。
最新データに基づいた解説で現代女性の健康問題が理解できます
女性のライフサイクル各期の健康問題に対する援助および家族計画に関する援助について、最新の統計データや知見を盛り込みながら解説をしています。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文


助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。ま...


助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 今回改訂する助産診断・技術学は,妊娠・分娩・産褥各期における女性と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,助産師として正常・異常を判断できるよう,対象によりよい援助を提供するための基礎的実践能力が身につくようにまとめた。
 「助産診断・技術学I」では,助産活動を支える理論と技術,相談・教育の基本的な技術とその実践,健康教育の基礎知識と実施例,女性のライフサイクル各期における性と生殖に関わる健康問題,家族計画について,根拠に基づく助産活動の概念をふまえて詳細に記述した。
 執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2012年11月
 編者ら
目 次
序章 援助技術とは
  1 生命誕生と女性の経験:援助者は柔軟で多層性のある発想を
  2 正常性を保つ助産:セルフケア能力の向上につながる健康教育
  3 根拠に基づくヘルスケアの提供:適切な情報提供と意思決定の尊重
  4 かえられない健康問題:相談機能と継続した関係性
  5 女性のリスクと提供される医療モデル:的確なアセスメントとケアの継続性
  6 神秘性:畏敬の念,謙遜
第1章 助産活動を支える理論・技術の基本
 A 援助の基本
  1 母子の安全管理
  2 母子の安楽
  3 セルフケア
 B 援助技術の基本
  1 対象の理解
  2 移行
  3 女性を中心としたケア women-centered care
  4 問題解決プロセス
  5 根拠に基づく助産活動 evidence-based midwifery
第2章 相談・教育活動の技術
 A 教育技術
  1 教育と学習の理論
  2 健康教育の理論
  3 教育の方法
  4 eラーニング
  5 指導計画の立案・作成
 B 相談技術
  1 カウンセリング(場と特性)
  2 コミュニケーション
  3 意思決定支援
  4 アサーティブネスとアサーション
  5 ネゴシエーション
第3章 相談・教育活動の実際
 A 個人へのアプローチ
  1 場や手段におけるアプローチの違い
  2 特定された相談におけるアプローチ
 B 集団(コミュニティ)へのアプローチ
  1 集団指導の理論と方法
  2 集団への相談・教育活動の実際
第4章 健康教育
 A 健康教育とは
  1 健康教育の定義
  2 ヘルスプロモーション
  3 健康教育の目的と目標
  4 健康教育の対象と場
  5 健康教育のプロセス
 B 健康教育の準備・計画,実施,評価
  1 健康教育の準備・計画
  2 健康教育の実施
  3 健康教育の評価
 C 健康教育の展開
  1 健康教育プログラムの企画
  2 健康教育プログラムの実施
  3 健康教育プログラムの感想・評価
第5章 女性のライフサイクルにおける性と生殖に関する健康問題と援助
 A 思春期女性への援助
  1 思春期の特徴
  2 アイデンティティ(セックス・ジェンダー)の形成
  3 性と生殖に関する健康教育
  4 性行動に関する意思決定
  5 性暴力被害の予防と支援
 B 成熟期女性への援助
  1 性と生殖に関する健康教育
  2 性・不妊へのカウンセリング
  3 人工妊娠中絶(中絶)へのカウンセリング
  4 就労女性の労働衛生
  5 性暴力被害の予防と支援
  6 女性特有のがん支援・対策
 C 更年期女性への援助
  1 更年期の特徴
  2 更年期の健康問題と援助
 D 老年期女性への援助
  1 老年期の特徴と援助
  2 老年期の性機能と性反応
第6章 家族計画
 A 家族計画に関する基礎知識
  1 家族計画の意義
  2 家族計画の必要性
  3 家族計画の動向
  4 受胎調節の推移
  5 家族計画指導の問題点
 B 家族計画指導の実施に必要な法的知識
  1 母子保健法
  2 母体保護法
  3 薬事法
 C 各種受胎調整法
  1 基礎体温法
  2 コンドーム
  3 ペッサリー
  4 殺精子剤
  5 経口避妊薬
  6 IUD
  7 緊急避妊法
 D 避妊法の指導に必要な基礎知識
  1 生活状況のアセスメント
  2 定期健診
  3 パートナーを含む指導
  4 プライバシーの確保

索引