内科学 第3版

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内科学を理学療法・作業療法の臨床と関連付け、丁寧に記述していることで定評ある教科書が全面改訂・オールカラー版となった。主な内科的疾患の病理・病態、治療法を網羅し、さらに理学療法・作業療法への示唆を章ごとに記載している。診断学総論、症候学、臓器系統別疾患解説の全13章からなる構成。リハビリテーションの対象者像を把握するために必修の1冊。
*「標準理学療法学・作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野
シリーズ監修 奈良 勲 / 鎌倉 矩子
執筆 前田 眞治 / 上月 正博 / 飯山 準一
発行 2014年01月判型:B5頁:408
ISBN 978-4-260-01707-7
定価 6,600円 (本体6,000円+税)
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第3版 序

 本書が世に出されてから15年近くになる.その間,医学は高度に発達し内科学も大きく様変わりしている.この第3版では,リハビリテーションの内容に精通し,かつ内科学的知識の必要性も熟知している内科系のリハビリテーション科専門医3名が執筆していることが最大の特徴である.
 近年,内科に関しては,心臓・呼吸リハビリテーションをはじめとし,腎臓や悪性腫瘍のリハビリテーションなどが開始されるようになってきている.また,身体障害者基準も消化器疾患,肝臓疾患などに広がり,内科的疾患のほぼ全領域とリハビリテーションとが関連するようになってきている.
 さらに,リハビリテーションで担当する患者・障害者・対象者は,ほとんどが多くの内科的疾患を合併しており,身体状況を理解し,リハビリテーション治療を安全に行うためにその知識は必要不可欠である.内科学を学ぶことで,疾患に伴う主な症状と病態生理を知ることができ,臨床でよく遭遇する人の体調変化にも気づくことができるようになる.このような1つひとつの知識が安全で有効な患者治療につながる.
 この教科書は理学療法士・作業療法士国家試験出題基準に準拠して書かれているが,国家試験のためだけでなく,幅広い内科学の知識の修得を目的としている.本書の特徴として次のようなことがあげられる.
 内科学を初めて学ぶものにとって,読みやすく,理解しやすいものとするために,最初に内科学とはどのようなものであるかそのエッセンスに触れ,次に診察のしかたや検査の内容,臨床でよくみられる治療法にはどのようなものがあるか,その症候学,検査法のポイントはなにか,など基本的なことをわかりやすく解説した.その後に,系統別・臓器別などに分け,具体的な疾患の病態生理,症状,治療を最新の知見を含めてまとめる構成をとっている.なお,前版に記載されていた皮膚疾患と中毒性疾患は,症候学などの章で必要最小限触れるにとどめたので,他の成書を参考にしていただきたい.
 本書の執筆は,理学療法士・作業療法士の育成に並々ならぬ熱意を注いでいる教員である,東北大学の上月正博,熊本保健科学大学の飯山準一,国際医療福祉大学の前田眞治が分担した.本書が,理学療法士・作業療法士などの専門職にとって,よりよいリハビリテーション医療が展開されるために貢献することを願うものである.

 2013年12月
 著者を代表して 前田眞治

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序説 理学・作業療法士にとって内科学を学ぶ意義
第1章 内科学とは
 A 内科学の概念
 B 内科学とリハビリテーション
第2章 内科的診断と治療の実際
 A 診断・鑑別診断の進め方
 B カルテの書き方
 C 診察法
 D 臨床検査
 E 内科的治療
 F 理学療法・作業療法との関連事項
第3章 症候学
 A 発熱
 B 全身倦怠感
 C 食欲不振・食思不振
 D 悪心・嘔吐
 E 易感染性
 F 意識障害
 G めまい
 H 浮腫・むくみ
 I レイノー現象
 J 頭痛
 K リンパ節腫脹
 L ショック
 M 理学療法・作業療法との関連事項
第4章 循環器疾患
 A 循環器系の解剖と生理
 B 循環器疾患の主要な症候
 C 循環器疾患の診断法
 D 循環器疾患各論
 E 心臓リハビリテーション
 F 理学療法・作業療法との関連事項
第5章 呼吸器疾患
 A 肺の解剖と生理
 B 呼吸器疾患の症候とその病態生理
 C 臨床検査所見
 D 呼吸器疾患各論
 E 呼吸リハビリテーション
 F 理学療法・作業療法との関連事項
第6章 消化管疾患
 A 消化管の解剖と生理
 B 消化管疾患の症候とその病態生理
 C 消化管疾患の検査法
 D 消化管疾患各論
 E 理学療法・作業療法との関連事項
第7章 肝胆膵疾患
 A 肝臓
 B 胆道系
 C 膵臓
 D 腹膜
 E 胆肝膵疾患の検査・診断法
 F 肝胆疾患各論
 G 膵疾患各論
 H 腹膜疾患各論
 I 理学療法・作業療法との関連事項
第8章 血液・造血器疾患
 A 血液の成分と生理
 B 造血と血液細胞の分化
 C 血液疾患の主要な症候
 D 血液の検査法
 E 血液疾患各論
 F 理学療法・作業療法との関連事項
第9章 代謝性疾患
 A 代謝調節の仕組み
 B 代謝性疾患各論
 C 理学療法・作業療法との関連事項
第10章 内分泌疾患
 A 内分泌総論
 B 内分泌腺とホルモンの解剖・生理
 C 内分泌検査法
 D 内分泌疾患各論
 E 理学療法・作業療法との関連事項
第11章 腎・泌尿器疾患
 A 腎臓の解剖と生理
 B 腎疾患の症候とその病態生理
 C 腎・尿路系疾患の検査
 D 腎・泌尿器疾患各論
 E 電解質代謝の異常
 F 腎臓リハビリテーション
 G 理学療法・作業療法との関連事項
第12章 アレルギー疾患,膠原病と類縁疾患,免疫不全症
 A 免疫系の働き
 B アレルギー疾患
 C 膠原病
 D リウマチ性疾患
 E 免疫不全症
 F 理学療法・作業療法との関連事項
第13章 感染症
 A 感染症総論
 B 感染症各論
 C 理学療法・作業療法との関連事項

セルフアセスメント
索引

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臨床医学の基本をリハの臨床に即してまとめた教科書
書評者: 岡島 康友 (杏林大教授・リハビリテーション医学)
 第48回理学療法士,作業療法士国家試験の合格者数はおのおの,10,104人,4,079人であった。10年前にはともに3,000人程度であったので,おのおの3倍,1.5倍に増えたわけである。少子高齢化社会の到来と介護保険の導入,あるいは療法士の職域自体の拡大の影響もあって,当初予想されていた療法士需要は大きく上方修正されたと聞く。当然のことながら養成校も急激に増えたが,単に数が増えただけでなく専門学校から短大・大学へと教育の場も拡大した。そのため文科省も療法士教育に介入し始め,従来の認識である医療職としての療法士像自体が変わりつつあるようにも思われる。また,多様化する療法士像を反映して,教育の方法や成果をあらためて議論するようにもなっている。一方,厚労省でも規制緩和の流れの中,いわゆる指定規則を大綱化したこともあって,療法士教育の自由度を増すことに拍車をかけている。すなわち厚労省も,その切り口である医療と介護の間で揺れていて,あらためて理学療法士・作業療法士に何を求めるかが議論されることとなった。

 このように価値観が多様化・浮動化するなかで,あらためて本書を見ると療法士の基本は何かということに立ち返る思いがする。よく臨床医学の基本は内科学にあるといわれるが,本書は単なる内科学の概説書ではなく,リハビリテーションに携わる者に共通して求められる臨床医学の基本事項を要領よくまとめている。多色刷りで絵を多用している点には好感が持て,努めてわかりやすく書こうとされた痕跡がうかがえる。現執筆者3名は内科学に精通されたのちにリハビリテーション専門医になられた方々で,その意味では医療の現場で療法士に何が求められているかを的確に判断することができる立場にいらしたといえる。もちろん,臨床医学には整形外科学,神経内科学などほかにも重要な領域があるが,やはり内科学が臨床医学の基本ということに異論はないであろう。それを網羅したのが本書である。

 本書の利用であるが,療法士養成校に限らず,学生においては臨床医学の講義参考書,あるいは国家試験勉強の際に知識を確認する本として,また既に医療・介護の現場で活躍されている療法士の方々にとっては受け持ちの患者さんに関連して知識を再生・補充するための本として,そして療法士養成校で臨床医学の講義を担当される先生方にとっては教えるべき事項をupdateする本として,広く活用されることを望みたい。
リハ関連専門職に持ってほしい内科学教科書,待望の改訂版
書評者: 椿原 彰夫 (川崎医療福祉大学長・リハビリテーション医学)
 「標準理学療法学・作業療法学」の専門基礎分野の教科書として長年愛顧されてきた名著『内科学』は,今回,第3版として全面改訂を完了した。その最大の特徴は,内科系疾患とリハビリテーション医学の双方を熟知する3名のリハビリテーション科専門医が執筆したことにある。リハビリテーション医療を必要とする障がい者の多くは内科系疾患を合併するようになり,安全に的確な機能訓練を進める上においても,その疾患の理解は不可欠である。リハビリテーション科専門医が日常臨床を実践する中で,リハビリテーション関連専門職に熟知させる必要があると判断される内科的知識が,本書の中には随所に認められる。これらの内科系知識を習得することによって,症状や病態生理が十分に把握できるようになることはもとより,機能訓練施行中の障がい者の変化にも即座に気付くことができ,効率的で確実・安全な治療を提供できるようになるであろう。

 近年,循環器・呼吸器・腎臓・肝臓・消化器疾患,悪性腫瘍など,内科系の疾患に基づく障がいがリハビリテーションの対象となっており,その全身管理がリハビリテーション関連職種にも求められている。本書にはこれらの関連疾患について,内科とリハビリテーション科の両方の視点から解説されている点が魅力的で,実際の臨床に大いに役立つものである。一方で,内科学を初めて学ぶ者が読みやすいように,そのエッセンスや症状の解説,検査所見の見方など,基本的な要素が最初に記載されており,内科学への導入を容易にしている。後に続く系統的・臓器別疾患の理解を深めやすい構成になっている。したがって,本書はこの一冊で,広範な内科学をすべて習得できるといえる。

 内容的には理学療法士・作業療法士国家試験ガイドラインに準拠したものであるが,国家試験対策のみならず,広範な内科学の知識を取得できる。ここに取り上げられている疾患は,障がい者に生じる併存疾患・合併症として頻度の高いものであるため,臨床場面では辞書としても役立つものである。加えて,解剖生理図が色彩豊かでわかりやすく,X線などの臨床画像が多数使われ,リハビリテーション関連専門職に最低限知っておいて欲しい検査値や診療ガイドラインなども包含されている。

 本書はリハビリテーション関連専門職の待望の内科書として今後のリハビリテーションの質を高めていくものであり,学生の教科書としてだけでなく,臨床の現場に置いてほしい書物としてお薦めしたい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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