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≪標準理学療法学 専門分野≫

病態運動学


シリーズ監修:奈良 勲
編集:星 文彦/新小田 幸一/臼田 滋

  • 判型 B5
  • 頁 456
  • 発行 2014年01月
  • 定価 6,380円 (本体5,800円+税10%)
  • ISBN978-4-260-01630-8
基礎と臨床をつなぐ病態運動学/臨床運動学に最適のテキスト
「標準理学療法学」シリーズの1冊として、理学療法学における基礎と臨床をつなぐ重要な学問をまとめたテキスト。運動障害を観察と記録によって分析し、病態と疾患の同定に主眼を置いた。また、分析や記録の手法の種類とその解説を交え、代表的な疾患についての病態解説を中心に展開する。
*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文


 1998年に開かれた第29回Mary McMillian Lectureで,Sahrmann SA. PhD. PT. FAPTA(Phys. Ther., 78:1208-1218, 1998)は,「理学療法士は,理学療法の施術者である前に,身体運動機能に関...


 1998年に開かれた第29回Mary McMillian Lectureで,Sahrmann SA. PhD. PT. FAPTA(Phys. Ther., 78:1208-1218, 1998)は,「理学療法士は,理学療法の施術者である前に,身体運動機能に関する知識により特徴づけられる専門家であるべきであり,解剖・生理学的システムとしての運動の概念を展開させ,疾病(病変)により発現する症状・徴候を運動障害という視点からとらえた病態運動学を基盤とする」と主張しています.ここに理学療法学および理学療法士のアイデンティティを確認することができると思います.
 治療手技としての理学療法の対象は,病変に基づく構造と機能の障害,さらに具体的運動や動作の障害といえるでしょう.本書は,理学療法の臨床で求められるエビデンスは運動学によって記述されるという視点から,次のような基本理念と構成で編集を行いました.

◎基本理念
 本書は,運動学が「運動行動を観察と計測を行って,運動学用語と物理量として記録し,その現象を物理学の諸法則・原理に基づいて説明することであり,さらにその現象の因果的説明を生体活動および運動制御,心理的活動などに求める学問である」という立場に立ち編集を行いました.
 このような立場に基づいて,理学療法の対象である運動行動にかかわる障害を上記の運動学の観点から記述し,その現象や要因あるいは原因を疾病に基づく症状や徴候,機能障害,機能的制限という障害構造に従い解説することを目的としました.そのため,書籍の名称は「病態運動学」とし,疾病と運動障害の因果性を解説することに主眼を置いています.

◎構成
 本書の基本構成を,「基礎編」と「実践編」,運動障害特性を扱う「臨床応用編」の3編に大別しました.
 基礎編では,病態運動学の定義づけと視点,分析パラメータ,記載区分と障害構造の解説を行いました.
 実践編では,障害構造に基づいた分析対象の記録法と分析法の解説を行いました.
 臨床応用編では,上記の分析パラメータと障害構造に基づく因果論的解説を行い,系統別運動障害特性ごとに項目を立てた構成としました.
 上記に従って,本書では運動行動を観察と計測パラメータに基づいて,可能な範囲で運動学用語と物理量で記述し,正常と異常の比較をしました.さらに障害や異常現象の因果論的説明を疾病や機能障害に基づく生体活動および運動制御,心理的活動などの異常性から解説しました.

 かつてガリレオは,物体の運動を文章だけではなく数学的な記述によって説明し,それまでの科学に大きな変化をもたらしました.この変化とは「客観的に説明する」ということです.客観的とは,誰もが同じように評価でき,検証が可能であるということです.
 医療の実践の場では,エビデンスが求められています.エビデンスは,客観的データと説明によってもたらされます.データは,検査や測定による数値や客観的記述により提供され,説明は対象者の求める障害構造レベルに従って行われなければなりません.つまり,対象者が求める機能障害レベルでの説明,機能的制限レベルでの説明,活動制限レベルでの説明,参加制約レベルでの説明,それぞれのレベルでの説明に必要な客観的記述が求められます.
 医療の実践は多専門職間の連携と統合により達成されますが,それは各専門職がそれぞれの専門とする見方,とらえ方に基づく客観的記述を提供し,それらを共有することによりもたらされると思われます.専門職としての理学療法士は,運動学という独自性をもった見方,とらえ方で理学療法評価の客観的記述を提供しなければならないでしょう.そしてそれをほかの専門職が理解できる説明をしなければならないでしょう.
 本書が,臨床の場で繰り広げられる理学療法評価の基盤となる論理性の一端を担えれば,編集者として幸いに思います.

 2014年1月
 星 文彦・新小田幸一・臼田 滋
目 次
基礎編
 第1章 病態運動学とは
   I.病態運動学の歴史と定義
   II.病態運動学とリハビリテーション・アプローチ
 第2章 病態運動学・分析パラメータ
   I.形態計測
   II.運動・動作の分析に必要な基礎知識
   III.動作解析のパラメータ
   IV.筋活動
   V.運動代謝
 第3章 記載・分析方法と分析レベル
   I.記載・分析方法
   II.分析レベル

実践編
 第4章 病態運動学の分析対象
 第5章 機能障害レベル
   I.体型・姿勢・アライメント
   II.筋力
   III.関節運動
   IV.感覚・知覚,反応時間
   V.随意運動
   VI.筋緊張,反射・反応
   VII.姿勢制御・バランス機能
   VIII.協調運動
   IX.心肺機能,代謝機能,持久性
 第6章 機能的制限レベル
  A 基本動作
   I.寝返り
   II.起き上がり,立ち上がり,座位動作
   III.歩行と歩行関連動作,階段昇降
  B 課題動作
   IV.リーチ,つかむ,放す
   V.物品操作
   VI.持ち上げ(リフティング)
   VII.運搬
 第7章 活動レベル

臨床応用編・運動障害特性
 第8章 運動器障害
   I.肩関節の運動障害
   II.肘関節の運動障害
   III.股関節の運動障害
   IV.膝関節の運動障害
   V.足部・足関節の運動障害
   VI.脊柱の運動障害
 第9章 中枢神経障害
   I.随意運動障害・麻痺(脳卒中片麻痺)
   II.姿勢制御障害(Parkinson病)
   III.協調運動障害(小脳性/脊髄性)
 第10章 末梢神経障害(筋出力障害)
   I.腓骨神経麻痺,橈骨・尺骨・正中神経麻痺
   II.腕神経叢麻痺
   III.糖尿病多発神経障害
   IV.感染症後の末梢神経障害(Guillain-Barré syndrome)
 第11章 心肺・代謝機能障害
 第12章 膠原病(関節リウマチ)
 第13章 運動発達障害
 第14章 脊髄損傷
 第15章 筋疾患による障害(筋ジストロフィー)
 第16章 下肢切断
 第17章 老化と廃用症候群
 第18章 高次脳機能障害

索引