医学書院

検索
HOME書籍・電子メディア > 書籍詳細

≪日本医師会生涯教育シリーズ≫

在宅医療

午後から地域へ

編・発行:日本医師会 
監修・編集:林 泰史/黒岩 卓夫/野中 博/三上 裕司
編集協力:太田 秀樹

  • 判型 B5
  • 頁 352
  • 発行 2010年07月
  • 定価 5,940円 (本体5,500円+税8%)
  • ISBN978-4-260-01052-8
在宅医療はどう始めて、どう軌道に乗せるのか? 第一線の医師が手ほどき
在宅医療の考え方から、制度を含めた実践的な知識、効率的な連携の方法など、第一線で活躍する医師が、自らの経験をもとにした本物の知識と技術をわかりやすく解説。在宅医療とは何か? どう始めて、どう軌道に乗せるのか? 使える制度・サービスは何か? 各章をたどることで、在宅医療の今とこれからが見える。自治体・医師会、病院、診療所における実践例も豊富に収載。
序 文
(原中勝征)/刊行のことば(高杉敬久 三上裕司)/監修・編集のことば(林 泰史)


 少子高齢化が進むわが国において,在宅医療の果たす役割はますます大きくなっている.日本医師会では,平成19(2007)年に「在宅における医療・介護の...
(原中勝征)/刊行のことば(高杉敬久 三上裕司)/監修・編集のことば(林 泰史)


 少子高齢化が進むわが国において,在宅医療の果たす役割はますます大きくなっている.日本医師会では,平成19(2007)年に「在宅における医療・介護の提供体制─『かかりつけ医機能』の充実─指針」を発表し,「1.尊厳と安心を創造する医療」,「2.暮らしを支援する医療」,「3.地域の中で健やかな老いを支える医療」の3つの基本方針と,「高齢者の尊厳の具現化に取り組もう」をはじめとする7つの提言を示している.
 国民のだれもが住み慣れた地域で安心して暮らし,充実した最期を迎えられる社会の実現に向け,一人ひとりの生活や多様な価値観,そして地域の特性に合わせた医療・介護サービスの提供が望まれている.在宅での医療のニーズが高まるなか,都道府県医師会・地区医師会には多職種の連携と地域の基盤整備において中心的な役割を果たすことが期待されている.
 その意味で,このたび「在宅医療」をテーマとする本書が生涯教育シリーズの1冊として刊行されたことの意義は大きい.会員の先生方には,本書によって,在宅医療の考え方,実践のための知識と技術を大いに学んでいただき,日々の臨床にご活用いただきたい.さらに,豊富に紹介されている実践事例を通して,在宅医療のもつ大きな可能性をも汲み取っていただければ幸いである.

 本書の刊行にあたり,ご多忙のなか監修・編集にあたっていただいた林 泰史先生,黒岩卓夫先生,野中 博先生,三上裕司先生,編集協力としてご尽力いただいた太田秀樹先生をはじめ,ご執筆いただいた諸先生に厚く御礼申し上げる.

 平成22年6月
 日本医師会会長
 原中勝征


刊行のことば
 世界に類を見ない高齢社会を迎え,慢性疾患やがん,認知症など,回復が困難な状態で生活を送ることを余儀なくされている高齢者が増加している.長期にわたる療養が必要な人の多くは,暮らし慣れた場所での生活を継続したいという願いをもっている.在宅での医療の提供のためには,患者の生活に合わせた適切な診療計画のもと,多職種が共通理解をもって連携し,地域ぐるみの支援体制を整えることが必要とされる.
 本書では,訪問診療の準備段階から在宅患者への具体的なアプローチ,病態・疾患別の知識や急変時の対応,在宅医療に関連する診療報酬と介護保険サービスの活用法を解説した.加えて,自治体と医師会,病院,診療所における取り組みも紹介している.また,本書の大きな特長の1つとして,在宅医療の現場で日々活躍されている執筆陣の深い洞察と情熱によって培われた「生きた知識」がまとめられている点があげられる.
 在宅医療を日常臨床の延長として捉え,これらの知識を明日からの診療,いや,「午後から」の訪問診療に役立てていただきたい.
 在宅医療が主たる対象とするのは,さまざまな理由により通院が困難となった高齢者である.その意味で,本書は日本医師会生涯教育シリーズとして平成21(2009)年に刊行された『高齢者診療マニュアル』と姉妹書の関係にあるといえる.両者が共に会員の皆様の座右の書となることを切に願うものである.

 刊行にあたり,監修・編集,そしてご執筆いただいた多くの先生方に心より感謝の意を表したい.

 平成22年6月
 日本医師会常任理事(学術・生涯教育担当)
 高杉敬久 三上裕司


監修・編集のことば
 進捗する高齢社会において増加の一途をたどる慢性疾患患者は日常活動性を維持したまま在宅で長期療養を受けたいと願い,患者の生活の質を重視した改正医療法では病状に応じて計画的に在宅医療を行うような規定を設けている.在宅医療が求められる背景として,日本人人口の約23%を占める高齢者のうち,約10%が在宅介護を受け,今から15年後には在宅要介護高齢者数が2倍に増加するとの予測も要因の1つとなっている.このような状況下で,在宅医療を特定医師によってのみ行われる専門領域として捉えるのではなく,多くの科の臨床医が関わり理解すべき普遍的な医療として捉えるべきであるとの考えが一般化してきた.
 身体機能を徐々に低下させて,ついに通院できなくなった外来患者を継続して診療するため,空いている午後の時間帯に訪問診療をしていただこうと,本特集ではカラー口絵で患者・在宅医・グループ訪問チームの一日について写真を用いて紹介した.続いて,在宅医療の理念・必要性,さまざまなケースの在宅医療を紹介し,訪問診療開始にあたっての持ち物から患者・家族との話し合い,関連職種との連携,在宅療養支援診療所についても記述していただいた.
 また,栄養管理から災害時の支援に至るさまざまな内容の在宅医療のアプローチ,慢性呼吸不全から脳性麻痺を含む先天性疾患など14病態・疾患に対する在宅医療,脱水から外傷に至る7項目の急変時対応についても書いていただいた.本特集の後半には在宅医療に関わる平成22年度改定診療報酬や経営面で見た在宅医療,在宅医療と密接に関わる介護保険制度の内容について解説していただいた.最後に国内で在宅医療に取り組んでいる代表的な18事例について自治体・医師会中心,病院中心,診療所中心,に大別して紹介していただいた.
 在宅医療に関する今までの教科書や特集医学雑誌とは異なり,本特集号では実地医療で活躍中の先生方に,空いている時間帯に在宅医療に関わって医療の幅を広げ,医療の質を高揚していただこうと「─午後から地域へ」との副題をつけて企画編集した.この難しいコンセプトに沿って日常の臨床経験に基づき,科学的でありながら実効性のある内容で執筆していただいた著者の先生方の御労苦に感謝するとともに,臨床医の先生方のうち,一人でも多くの先生が新たに午後から地域に出かけ,在宅医療に関わっていただけるようにと願い,監修・編集のことばとする.

 平成22年6月
 監修・編集者を代表して
 林 泰史
目 次
●カラー口絵
 1.ある在宅患者の一日
 2.ある在宅医の一日
 3.あるグループ訪問チームの一日
 4.連携システム図


刊行のことば
監修・編集のことば
監修・編集・執筆者紹介

I 在宅医療の理念・必要性(過去・現在・未来)
 在宅医療の理念・必要性(過去・現在・未来)

II ケースで見る在宅医療
 ケースで見る在宅医療─標準編 脳出血後遺症の在宅医療
 ケースで見る在宅医療─連携編
 ケースで見る在宅医療─終末期編

III さあ訪問診療(往診)へ
 往診時の持ち物
 患者・家族とよく話し合おう
 訪問看護ステーションとの連携─訪問看護ステーションの立場から
 訪問看護ステーションとの連携─医師の立場から
 歯科医師との連携─歯科医師の立場から
 歯科医師との連携─医師の立場から
 薬局(薬剤師)との連携─地域の在宅医療に携わる薬剤師の立場から
 薬局(薬剤師)との連携─生活機能と薬剤管理について
 介護保険サービスとの連携─無床診療所の立場から
 介護保険サービスとの連携─在宅医療を担う有床診療所の機動的な役割
 在宅療養支援診療所─在宅医療専門医の立場から
 在宅療養支援診療所─外来診療と在宅医療を両立する立場から

IV 在宅医療のアプローチ
 在宅における栄養管理
 経管栄養(胃瘻・腸瘻),経静脈栄養,PEG
 排泄障害─排便と排尿
 在宅酸素療法,人工呼吸器,気管切開
 在宅リハビリテーション
 在宅小児医療
 感染予防と管理
 在宅における輸血
 がんの緩和ケア
 非がん疾患の緩和ケア
 終末期医療─死の受容
 在宅医療とIT
 死亡診断書
 虐待対応
 離島での在宅医療
 災害時の在宅医療支援

V 病態別・疾患別の在宅医療
 慢性呼吸不全
 心不全
 腎不全
 脳血管障害後遺症
 運動器障害
 褥瘡
 神経難病
 認知症
 精神疾患・うつ・せん妄の在宅医療
 老年症候群
 高次脳機能障害
 嚥下障害
 脊髄損傷
 脳性麻痺などの先天性疾患

VI 注意すべき病態の急変とその対応
 脱水
 呼吸困難
 意識障害
 体温の異常
 嘔吐
 腹痛
 外傷

VII 在宅医療と診療報酬
 在宅医療にかかわる診療報酬─在宅医療点数一覧表
 運営面・経営面からみた在宅医療診療所

VIII 在宅医療と介護保険制度
 介護保険制度の理念
 介護保険サービスとその活用方法

IX 在宅医療に取り組んでいる事例の成果と課題
自治体・医師会が中心となって取り組んでいる事例
 鶴岡地区医師会:ITネットワークを用いた医師会主導による
  医療介護関連多職種間情報共有化の実現
 焼津市医師会:医師会共同利用施設を拠点とした在宅医療支援
 板橋区医師会:独居率の高い大都市高層団地群の医療介護モデル
 尾道市医師会:開業医の機動力を示す地域医療連携・カンファレンス
 長崎市医師会:ITネットワークを用いた地域情報共有化の実現
病院が中心となって取り組んでいる事例
 東京女子医科大学八千代医療センター外科:在宅医療における大学病院の支援体制
 要町病院・要町ホームケアクリニック:在宅療養連携病院としての役割
 四国がんセンター:がんの連携
 天本病院:天本病院を中心とした包括的地域ケア体制
 すみだ医師会と東京都リハビリテーション病院:リハサポート医体制の確立
診療所が中心となって取り組んでいる事例
 宮坂医院:都市部における一般的な在宅医療,医師間の地域連携
 こだまクリニック:認知症への取り組み
 桜新町リハビリテーションクリニック:在宅リハビリテーションを中心に
 城西神経内科クリニック:ALSへの取り組み
 緩和ケア診療所・いっぽ:在宅がん緩和ケア
 尾呂志診療所:農村部僻地における在宅医療
 あざいリハビリテーションクリニック:訪問看護を核とした在宅医療
 あおぞら診療所:地域連携に取り組む複数医師体制の診療所として

索引
週刊医学界新聞 関連記事