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乳幼児健診マニュアル 第4版

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高い水準と活発な活動で全国的に有名な、福岡地区小児科医会による好著の改訂版。本書1冊でひととおりの健診を実践できる内容となっている。今版では子どもの心の問題、育児不安、発達障害に関する解説も追加。随所に配されたコラムでは乳幼児をとりまく最近の話題もわかりやすく述べられている。
編集 福岡地区小児科医会 乳幼児保健委員会
発行 2011年09月判型:B5頁:164
ISBN 978-4-260-00877-8
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 序文
  • 目次
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第4版を編集するにあたって

 わが国の小児保健サービスが,世界でもトップレベルの高水準を保っている一方,近年,わが国における少子化,核家族化の進行,そして女性の社会進出などによって,子どもの養育環境は著しく変化し,さらに母親の育児不安,子どもの心の問題が顕在化してきました.これに対応する小児保健の果たす役割は大きく,そして医師としてこの問題に直接に関与する最も大きな機会は,まさに乳幼児健診であるといえます.

 21世紀における母子保健の主要な取り組みを示すビジョンとしての「健やか親子21」について,2010年は国民運動計画の対象期間としての10年間の最後の年でしたが,次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画との関連から,2014年までの4年間,期間が延長されました.厚生労働省の検討会でまとめた報告書の中で「2010年までに100%の小児科医が親子の心の問題に対応できる技術をもつことを目標とする」と述べられています.この度,第4版を出版するにあたり,一般の小児科医の方々に,発達診断学的手法による健診方法の修得とともに,「健やか親子21」の目的にそって,子どもの心や母親の育児不安に対応できる能力の向上を目指して,改訂に際して努力してまいりました.更に,近年注目されてきた,いわゆる発達障害の早期診断についても,健診のレベルでどのように行うかに関しても,かなり詳しく,そして分かりやすく述べられています.

 本書が,乳幼児健診に携わる医師をはじめ,関係者の皆様にご活用いただければ幸いです.

 なお,第4版の編集委員長として,誠心誠意取り組んでいただいた楢崎修先生と,ペリネイタルビジットについてご執筆いただいた芝尾京子先生のお二人が本書の完成をみることなく逝去されました.まさに断腸の思いです.心よりご冥福をお祈りして,本書を両先生のご霊前に捧げます.

 最後に,本書発刊に際し,ご多忙のところ玉稿を賜った金原洋治先生はじめ応援執筆の先生方に心から感謝申し上げます.

 2011年8月
 福岡地区小児科医会乳幼児保健委員会

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乳幼児健診について
 健診の心構え
 乳幼児健診はいつ行うか

乳幼児健診の実際
 診察の前に行うことがら
 一般理学的検査の手順
 発達診断学的診察の実際
 発達障害が疑われる子どものみかたと対応

月齢別の健診のしかた
 1カ月児健診
 4カ月児健診
 7カ月児健診
 10カ月児健診
 12カ月児健診
 1歳6カ月児健診
 3歳児健診
 5歳児健診

育児相談・育児支援
 1.育児相談のポイント-特に健診現場における育児支援の実際
 2.生活習慣
 3.授乳・離乳支援ガイド
 4.小児生活習慣病からみた乳幼児の肥満
 5.事故防止
 6.予防接種
 7.食物アレルギー
 8.子どものスキンケア
 9.禁煙指導
 10.子どもの歯の衛生
 11.被虐待児症候群

索引

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書評 (雑誌『小児科診療』より)
書評者: 田原 卓浩 (たはらクリニック院長)
 超少子・高齢化時代と称されてきたわが国はついに人口減少時代を迎えた。2040年以降のわが国の人口ピラミッドは欧米先進国と比較するときわめて不安定になると推測されている。これからの日本を支えることになる子どもたちの健全な成長と発達を支援する「場」の一つを担う小児科医・小児医療スタッフにとって,健康医学の実践は今後さらにその重要性を増すことになる。

 わが国で乳児一斉健診が実施されたのは1948年で,栄養失調・感染症対策を主眼としていた。その後,現在の乳幼児健診体制が構築され,“子ども”のすべてを診るという視点を啓発するべく本書(初版)が1992年に刊行された。その後第2版を経て,第3版(2002年)は福岡地区の医師だけで記され,時代の変遷に即応するべく「禁煙指導」「被虐待児症候群」の項目やコラムが追加され,家族志向の乳幼児健診を支援するマニュアルへと進化した。

 そして,この度は第4版の登場となった。『一般の小児科医の方々に,発達診断学的手法による健診方法の修得とともに,子どもの心や母親の育児不安に対応できる能力の向上』を目指して,「発達障害」「5歳児健診」「肥満」「事故予防」ならびにコラムの項目が追加されている。乳幼児健診の総論から始まり,健診手技の概説・月齢別のポイント・育児相談/育児支援へと続く記述は,まさにマニュアルの手本というべき構成となっている。その合間に遭遇するコラムは記述された内容をきわめるための一助となる。また,各頁に書き込みのできるスペースがあり,図表が適切に配置され,さらに重要な図は繰り返し提示されているところが“my own manual”を創るという読者の本能を揺さぶる。

 本書は,乳幼児健診に携わるすべての方々にとって,移ろう時代の中で“子どもと家族”を考える雰囲気を醸し出してくれるきわめて有用なマニュアルである。読めば読むほど五感を刺激してくる“温故知新”の隠し味も堪能していただければ幸いである。

 (『小児科診療』 第75巻 第7号,2012年7月,診断と治療社,1133(33)ページ掲載)
より進化した健診への手助けとなる一冊
書評者: 横田 俊一郎 (横田小児科医院院長)
 福岡地区小児科医会が作る乳幼児健診マニュアルが9年ぶりに改訂された。乳幼児健診にはこれ1冊あれば大丈夫という,誰もが知る健診マニュアルの第4版である。この9年間に21世紀の国民運動計画である「健やか親子21」の活動が進み,さまざまな取り組みが行われてきた。この計画の中で,「親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の割合」が指標として示されており,これを増やしてゆくことが目標となっている。この点への配慮が,今回の改訂の重点項目の一つとなっている。

 子どもの心の健康についていろいろな対策が行われているが,2007年にUNICEFの研究所がOECD加盟国24か国で15歳の子どもを対象に行った調査では,「孤独である」と感じている日本の子どもの割合が29.8%と群を抜いて多かったことが報道され話題を呼んだ。母子や子育てにかかわる人たちだけの問題ではなく,社会全体の問題ではあろうが,少しでも明るい未来を実現するために,乳幼児健診に取り組む関係者に寄せられる期待は大きい。この期待に応えるため,工夫が凝らされたことがよくわかる改訂版である。

 子どもの数は減少しているが,予防接種の増加,園学校医としての活動の増加などで,小児科医はより忙しくなっているように見える。乳幼児健診も受診者が増えれば時間がかかり,それなりに上手な対応をめざせばたいへんな仕事である。そのような中で,乳幼児健診に関心を持ち,楽しみだと思いながら継続するためには,モチベーションの高揚がどうしても欠かせない。

 本書では「生活習慣」「授乳・離乳支援ガイド」「小児生活習慣病からみた乳幼児の肥満」「子どものスキンケア」などが新たに項目として取り上げられており,興味深く育児支援に役立たせることができる。また,所々にちりばめられている「コラム」も内容が豊富で,こちらもぜひ読んでいただき,健診への意欲を高めていただきたい。

 もう一つの特徴は発達障害の早期診断についての記述である。「発達障害が疑われる子どものみかたと対応」が新しい項目として立ち上がり,どのように疑い,どのように対応するかが丁寧に述べられている。子どもの心の健康をめざすためには,数%以上に及ぶといわれる発達障害の子どもたちをどうやって上手に育てるかが一つの鍵を握っている。発達障害の子どもたちのセルフエスティームを保ち上手に育てることは,とりもなおさず正常児を上手に育てることにつながると考えられるからである。

 手に取って一読していただければ,あれもしたい,これもしたいと,やる気を起こさせてくれるはずである。より進化した健診への手助けとなること間違いなしの一冊である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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