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フォーセット 看護理論の分析と評価 


(新訂版)

監訳:太田 喜久子/筒井 真優美

  • 判型 A5
  • 頁 400
  • 発行 2008年07月
  • 定価 4,400円 (本体4,000円+税10%)
  • ISBN978-4-260-00634-7
看護理論の分析・評価の方法を学べる実例集
フォーセットによる6つの代表的な看護理論の分析と評価の実例集。全体を通して用いられる一貫した手法は、研究クリティークの方法を学ぶ上で大いに参考になるだろう。また、各理論の内容はもちろん、教育・実践への適用についても言及しており、関心ある理論の総合的な理解にも役立つ。新訂版では新たに、文献リスト中の論文解説も翻訳。研究者のさらなる探究を支援する内容になっている。


【関連記事】
〔研究ノート〕 研究活動に不可欠となる基盤
『看護における理論構築の方法』 『フォーセット看護理論の分析と評価』の活用
(江本リナ ・ 川名るり) (雑誌『看護研究』2009年08月号掲載)
序 文
監訳者の序

監訳者の序
 近年,看護理論の講演会に臨床家が多く参加するようになった.これらの臨床家は看護の質の向上を目指しており,看護理論家がどのように看護の本質を述べているか,また今後の看護の方向を探るために参加している.
 日本では看護理論...
監訳者の序

監訳者の序
 近年,看護理論の講演会に臨床家が多く参加するようになった.これらの臨床家は看護の質の向上を目指しており,看護理論家がどのように看護の本質を述べているか,また今後の看護の方向を探るために参加している.
 日本では看護理論家の著書は多く邦訳されているものの,いずれも難解なものが多い.通常,看護師は看護理論の解説書から始めて,興味ある理論を見つけたら原著に当たるわけだが,解説書を翻訳したものは数少ない.その意味で本書が邦訳されたことは,教育者,研究者だけでなく,臨床家にとっても大変喜ばしいことである.
 「看護理論とは何か」については,様々な論議がある.フォーセットの特徴は,「看護理論」と「概念モデル」を分けているところである.本書を読まれる方は是非,「概念モデル」について述べている“Analysis and Evaluation of Conceptual Models of Nursing (3rd ed.)”(Fawcett, 1995)をあわせて読んでいただければと思う.
 「概念モデル」には,Johnson,King,Levine,Neuman,Orem,Rogers,Royが,そして本書の「理論」にはLeininger,Newman,Orlando,Parse,Peplau,Watsonが取り上げられている.フォーセットは「概念モデル」を「相互関係のある抽象的で一般的な概念と命題の一対である」,「理論」を「比較的制限された現象の特性を記述する特定かつ具体的な概念や命題の一対である」と定義していることからも明らかなように,抽象度の違いで「概念モデル」と「理論」を区別している.一方,看護理論の分析で著名なMeleis(1997)は「概念モデル」と「理論」をあわせて「理論」と呼んでいる.
 本書は上記6人の理論家を対象に,看護理論の分析および評価を行っている.分析することによって理論をみる視点が明確になり,評価することによって各々の理論の不明瞭な部分が明らかになるので,実践や研究で理論を活用するときの参考になる.Meleis(2007)は理論の「分析」を「記述・分析」と表現し,「評価」を「批評(critique)」と述べているが,内容は共通する部分が多い.また,理論の「評価」は一貫性,簡潔性,検証可能性,経験的妥当性,実践適合性などによって行われるが,これらの多くは他の著者と類似している(Chinn and Kramer, 1995;Meleis, 2007;Tomey & Alligood, 2002/2004).
 本書はChinn and Kramer(1995),Meleis(2007)とともに多くの米国の大学院において,看護理論の「分析」「評価」に際しての必読書となっている.日本でも,看護系大学院の増加に伴い,看護理論の「分析」や「評価」がとりあげられるようになった.今後,本書が活用されることによって看護学がますます発展することを望む.

〈新訂版発行にあたっての追記〉
 廣川書店から出版されていた本書が絶版になってから,読者から再出版を強く要望されてきた.このたび,医学書院の七尾清さま,北原拓也さまのお力添えにより,医学書院から再出版の運びとなった.今回は新たに,各Chapterにある文献解題の翻訳を日本赤十字看護大学の大学院生であった伊藤孝子さん,深谷基裕さんにお願いした.文献解題は各理論の実践,管理,教育,研究などについて解説されており,理論を理解するのに非常に役立つと思う.翻訳は『看護理論家とその業績』(2002/2004)などを参考にしており,医学書院の長岡孝さまに翻訳の見直しをしていただいたが,お気づきの点があればご意見をお寄せいただきたい.
 なお,本書の原書“Analysis and Evaluation of Nursing Theories”は1993年の発行以降,改訂がなされていないが,“Analysis and Evaluation of Conceptual Models of Nursing”(Fawcett, 1988/1990)の内容とあわせて“Analysis and Evaluation of Contemporary Nursing Knowledge: Nursing Models and Theories”(Fawcett, 2000)や“Contemporary Nursing Knowledge: Analysis and Evaluation of Nursing Models and Theories”(Fawcett, 2004)に発展的に受け継がれている部分がある.しかし,日本の読者にはどのように看護理論を分析・評価しているかについてまず注目してほしいと考え,また取り上げられている理論の日本での定着度からも,“Analysis and Evaluation of Nursing Theories”の再出版が適切と考えた.取り上げられている理論家が1993年以降に加えた理論の修正は本書には反映されていないことをお断りしておきたい.

 2008年 花みずきの咲くころ
 訳者を代表して 筒井真優美 
Chinn, P.L., & Kramer, M.K. (1995). Theory and Nursing:A Systematic Approach (4th ed.). St. Louis, MO:C.V.Mosby.
Fawcett, J. (1988). Analysis and Evaluation of Conceptual Models of Nursing (2nd ed.). Philadelphia, PA: F. A. Davis./小島操子監訳(1990).看護モデルの理解――分析と評価.医学書院.
Fawcett, J. (1995). Analysis and Evaluation of Conceptual Models of Nursing (3rd ed.). Philadelphia, PA: F. A. Davis.
Fawcett, J. (2000). Analysis and Evaluation of Contemporary Nursing Knowledge: Nursing Models and Theories. Philadelphia, PA: F. A. Davis.
Fawcett, J. (2004). Contemporary Nursing Knowledge : Analysis and Evaluation of Nursing Models and Theories. Philadelphia, PA: F.A. Davis.
Meleis, A.I. (2007). Theoretial Nursing:Development and Progress (4th ed.). Philadelphia, PA:Lippincott Williams & Wilkins.
Tomey, A.M. & Alligood, M.R. (2002)/都留伸子監訳(2004).看護理論家とその業績(第3版).医学書院.


 本書は,看護研究を導くのに,また看護実践を活気づけるために,看護理論の発展とそれらの理論を使うことに興味をもっている,すべての看護師と看護学生のために執筆したものである.本書とその姉妹編“Analysis and Evaluation of Conceptual Models of Nursing”(F.A. Davis社刊,1988年発行の原書第2版の邦訳は小島操子監訳『看護モデルの理解―分析と評価』医学書院,1990年)は,いまだに看護学の文献のなかにみられる概念モデルと理論についての混乱を明らかにするために,私が続けてきた試みを表したものである.本書では現代における看護理論の主要な大理論と中範囲理論について論じている.
 Chapter1ではメタパラダイム,哲学,概念モデル,理論,そして新しい指標など,現在の看護知識の構造に対する私の見解を述べている.このChapterの2つの特徴は,看護学のメタパラダイムについての新しい考え方と,世界観についての新しい図式を論議していることである.
 Chapter2は,看護理論の分析と評価のための独自の枠組みを表している.この枠組みは評価のための論点と分析のための論点とを明らかに区別し,さらに大理論と中範囲理論の双方に応用できるものである.
 Chapter3からChapter8では,マドレーヌ・レイニンガー(Madeleine Leininger),マーガレット・ニューマン(Margaret Newman),アイダ・ジーン・オーランド(Ida Jean Orlando),ローズマリー・パースィ(Rosemarie Parse),ヒルデガード・ペプロウ(Hildegard Peplau),ジーン・ワトソン(Jean Watson)らによる看護理論の最近の見解について包括的かつ客観的に概観している.どのChapterもChapter2で述べられている看護理論の分析と評価のための枠組みに従って組み立てられている.また各々のChapterでは,これら理論家たちの原著から多くの引用を行っている.これらの引用文は,それぞれの理論が発表された当時の言葉づかいの慣習を反映している.つまり理論家たちによって使われている代名詞は,現代の性差別的でない言葉に置き換えられてはいない.原著の言葉づかいのままであることが,理論家たちの原典をひもとく読者にとって正しい理解の妨げにならないことを望みたい.
 Chapter9では,看護理論を検証するための,もう1つの方法についての論考が述べられている.すなわち大理論,中範囲理論それぞれに適用できる理論検証のための必要条件と基準を明らかにすることに重きをおいている.
 各ChapterにそのChapterで定義され特徴づけられている主要概念や用語のリストをあげている.また,その章の内容に関係のある文献を,文献解題として示してある.Chapter3からChapter8までの参考文献一覧では,直接その理論に関係のある理論家の原著や理論の批評,そして理論の研究,教育,実践,または管理への適用性を明らかに示している文献を紹介した.さらに,関連のある博士論文や修士論文のリストも,Chapter3からChapter8までの参考文献に載せている.
 また,多くのChapterには,説明の主眼点を強調したり,発展させるよう表をおいている.Chapter1では現代の看護知識の構造的階層を説明するためにいくつかの図を挿入し,Chapter9では理論開発と理論活用の間の相互関係について図解している.Chapter3(レイニンガーの理論)とChapter7(ペプロウの理論)でも,理論の概念とそれらの側面との関係を説明するための図を用いている.
 付録は,理論の理解を高め,文献検索を容易にするため利用できる専門的な技術を扱っている.理論家とのインタビューと看護理論家会議での発表に関する録音テープやビデオテープのリストが,配給元とともに掲載してある.さらにコンピュータを使った看護理論文献検索の方法を略述している.
 読者はChapter1とChapter2を最初に読むべきであろう.この2つのChapterには,看護知識の構造的階層における看護理論の位置づけを理解しやすくする背景とともに,それぞれの看護理論の分析・評価に使われる図式が述べられている.Chapter9は,いつ読んでもかまわない.このChapterは,大理論と中範囲理論を検証するための多様な方法に関心をもつ研究者と臨床看護専門家に,特別の興味をもたせるであろう.
 本書を執筆することは,現代の主要な看護理論に対しての私自身の理解を高めてくれ,しかもやりがいのある経験であった.その準備ができたのは多くの人のおかげである.何よりもまず私は,マドレーヌ・レイニンガー,マーガレット・ニューマン,アイダ・ジーン・オーランド,ローズマリー・パースィ,ヒルデガード・ペプロウ,そしてジーン・ワトソンに感謝したい.看護学のために理論上の基礎を明らかにし,洗練された彼女ら先駆者たちの努力のおかげで本書が完成した.彼女らとの対話を通じて,彼女らの理論を看護知識の主流に統合するのを遅らせるような多くの障害を乗り越えるために,彼女らがどれだけ一生懸命に取り組んだかを,私はよりいっそう深く理解することができた.
 私はマリー-クリスティーン・ボルナキ(Marie-Christine Bournaki)に心から感謝する.彼女には文献解題の準備に,計り知れないほどの貴重な援助をいただいた.また,関連出版物から多くの引用をすることをともにしてくれた私の学生と同僚に感謝する.特にお礼を言いたいのはエリザベス・ホブデル(Elizabeth Hobdell)である.彼女は何年かにわたって,小児看護学の雑誌から理論をもとにした出版物のコピーを提供してくれた.
 ペンシルバニア大学の同僚や学生たちが提起してくれた看護知識に関する質問は,私を刺激し,私の考えを洗練し,より明確化した.またサンディエゴ大学,ヴァンダビルト大学,バーミンガムにあるアラバマ大学,シカゴのロヨラ大学,ケース・ウェスタン・リザーブ大学など,私が兼任教授をしていたころの学生や同僚教員らによって出された質問が,私を励まし喚起してくれた.
 とりわけ,夫であるジョン・S・フォーセット(John S. Fawcett)に感謝している.彼は,たとえ私が執筆によってどのように取り乱しても,絶え間なく愛し,支え,理解してくれた.また,帆船ヘリテイジ号のリンダ・J(Linda J.)船長とダグラス・K・リー(Douglas K. Lee)船長,そして乗組員のクララ・E・リー(Clara E. Lee)とレイチェル・M・リー(Rachel M. Lee)にも感謝している.メイン州の海岸沿いのゆったりしたセーリングと,電話や郵便物から遮断された時間のおかげでこの本は完成できた.
 また,F.A.デービス社のロバート・G・マートン(Robert G. Martone),アラン・ソルコウィッツ(Alan Sorkowitz),ルース・デ・ジョージ(Ruth De George)によって与えられた激励にも感謝する.最後に,本書の制作に貢献してくれたすべての人たち,とりわけハーバート・J・パウエル,Jr.(Herbert J. Powell, Jr.)に心から感謝したい.

 Jacqueline Fawcett
目 次
CHAPTER 1 現代の看護知識の構造
 A 現代の看護知識の構成要素
 B 用語の覚書
 C 結論
CHAPTER 2 看護理論の分析と評価
 A 看護理論の分析と評価の枠組み
 B 看護理論の分析
 C 看護理論の評価
 D 結論
CHAPTER 3 レイニンガーの文化ケアの多様性と普遍性の理論
 A 文化ケアの多様性と普遍性の理論の分析
 B 文化ケアの多様性と普遍性の理論の評価
 C 結論
CHAPTER 4 ニューマンの拡張する意識としての健康理論
 A 拡張する意識としての健康理論の分析
 B 拡張する意識としての健康理論の評価
 C 結論
CHAPTER 5 オーランドの熟慮された看護過程理論
 A 熟慮された看護過程理論の分析
 B 熟慮された看護過程理論の評価
 C 結論
CHAPTER 6 パースィの人間生成理論
 A 人間生成理論の分析
 B 人間生成理論の評価
 C 結論
CHAPTER 7 ペプロウの人間関係理論
 A 人間関係理論の分析
 B 人間関係理論の評価
 C 結論
CHAPTER 8 ワトソンのヒューマンケアリング理論
 A ヒューマンケアリング理論の分析
 B ヒューマンケアリング理論の評価
 C 結論
CHAPTER 9 看護理論の検証
 A 理論検証
 B 看護理論の検証方法
 C 結論
付録
索引