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生活機能からみた
老年看護過程+病態・生活機能関連図

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生活機能の視点から高齢者を捉えるための方法とコツを解説。カルテが読める「イラストでみる病態生理・症状・診断・起こりうる合併症・治療・薬剤一覧」、ケアがみえる「看護の焦点、情報収集、アセスメント、ケアプラン」、高齢者の全体像がみえる「病態・生活機能関連図と看護問題」で構成。ほしい情報が満載のオールインワン!
シリーズ からみた看護過程
編集 山田 律子 / 井出 訓
編集協力 佐々木 英忠
発行 2008年09月判型:A5頁:496
ISBN 978-4-260-00623-1
定価 3,960円 (本体3,600円+税)
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はじめに

 看護学実習では,通常,「看護問題(本書では「看護の焦点」とよんでいます)」を取り上げ,その問題解決を目標として進めます.いわゆる「問題解決型思考」です.しかし筆者らは,老年看護学実習を「問題解決型思考」で進めることには違和感を覚えるのです.
 「転倒」の防止を例に考えてみましょう.これは高齢者の看護では基本ともいえることがらです.ただし,それを「看護の焦点」として強調してしまうと,「安全を確保するためには行動制限をしなければならない」といった発想が生じ,高齢者の「いきいきとした活動」をかえって妨げている場面が少なくないのです.
 もちろん老年看護においても,生命が脅かされるような急性疾患のように,「問題解決型思考」が中心となることもありますが,学生の皆さんが老年看護学実習で受け持つ対象者の多くは,慢性疾患や障害をもちながら暮らしている高齢者です.その場合の看護実践は,「問題解決型思考」よりも,対象者がどのような生活を望んでいるか,つまり「目標志向型 思考」で進めることが望ましいと言えます.本書は,そのような「目標志向型思考」に基づいて実習を展開する手がかりとなることを目指して書き下ろしました.
 本書のもう1 つの特長は,「生活行動モデル」を用いたことです.これは,筆者らの老年看護領域での実践経験をもとに開発したモデルで,文字通り「高齢者の生活」に焦点を合わせています.読者がこのモデルを理解し,実践に応用できるよう,本書の第1 編では「生活行動モデル」に基づいて高齢者の生活をとらえるための視点について詳述しました.
 また,第2 編を「疾患別看護過程の展開」「症状・機能障害別看護過程の展開」の二部構成とし,両方の視点から看護過程の展開を学習できるよう配慮しました.
 本書の執筆は,いずれも老年看護の実践と教育に習熟した方々にお願いし,執筆にあたっては「基盤となる考え方」にズレがないよう,特に留意しました.
 皆さんの老年看護学実習を円滑に進めるうえでの拠り所として本書を活用していただけるならば,筆者らにとって望外の喜びです.また,実際に利用されたうえでのご意見・ご感想は,是非とも忌憚なくお寄せください.それらをふまえて,より良いものへと改訂していきたいと思っています.そのことが,実習で皆さんがお世話になる高齢者の方々への還元にもつながると信じているからです.
 本書の刊行にあたり,最後まで根気よくお付き合いいただきました執筆者の先生方に,この場を借りて衷心より御礼を申し上げます.また,いつも温かい励ましで支えていただきました医学書院諸氏に深謝申し上げます.
 私たちの老年看護学にかける熱い思いを,本書を通して少しでも伝えることができたなら幸いです.

 2008 年7 月
 著者を代表して 山田律子

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 はじめに
 老年看護の展開における考え方
 本書の構成と使い方

第1編 生活行動情報の着眼点
  1 活動
  2 休息
  3 食事
  4 排泄
  5 身じたく
  6 コミュニケーション

第2編 病態からみた看護過程の展開
 第1部 疾患別看護過程の展開
 【脳神経系疾患】
  7 認知症
  8 脳卒中(脳梗塞,脳出血,クモ膜下出血)
  9 パーキンソン病
  10 脊髄小脳変性症
 【運動器系疾患】
  11 大腿骨頸部/転子部骨折
  12 変形性膝関節症
 【呼吸器系疾患】
  13 肺炎(誤嚥性肺炎)
  14 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 【循環器系疾患】
  15 心不全(慢性うっ血性心不全)
 【代謝疾患】
  16 糖尿病
 【腎・泌尿器系疾患】
  17 前立腺肥大症
  18 神経因性膀胱
 【皮膚疾患】
  19 老人性皮膚掻痒症(老人性乾皮症)
  20 褥瘡
  21 白癬
 【眼疾患】
  22 白内障
 【精神疾患】
  23 うつ状態(うつ病)
 【感染症】
  24 ノロウイルス感染症
  25 疥癬
  26 尿路感染症

 第2部 症状・機能障害別看護過程の展開
  27 摂食・嚥下障害
  28 脱水
  29 浮腫
  30 排尿障害(尿失禁,排尿困難,頻尿)
  31 排便障害(便秘,下痢)
  32 睡眠障害
  33 転倒・骨折
  34 言語障害(失語,構音障害)
  35 感覚知覚障害
  36 せん妄
  37 血圧調節障害(高血圧/低血圧)
  38 廃用症候群

 付録 
  付表1 高齢者理解のための生活史年表
  付表2 唱歌と童謡

 索引

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高齢者がその人らしく生活できるため支援する格好のガイドに (雑誌『看護教育』より)
書評者: 今井 芳枝 (徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
◆“生活者としての高齢者”

 私の仕事の中心は,積極的な治療を望み急性期病棟にて入院治療している高齢者を対象とした高齢者看護学実習指導です。特に,実習指導している中で困難を感じる事項として,高齢者の持つ疾患・既往ばかりに目がいってしまう点や,加齢に伴う身体機能の低下など衰退の要素にとらわれがちになる点があります。それは高齢者の複雑な疾患背景や目に見える問題に捉われてしまいがちになることが原因だと考えます。

 高齢者は加齢に伴う身体機能の低下という衰退の要素と共に長い人生経験の中で培ってきた知恵や対処能力という成熟の要素を併せもった存在です。高齢者の理解や看護を指導するうえで,高齢者が築いてきた生活史を基盤しながら支援できるように,“生活者”としての高齢者という視点を学生に持たせることが重要になると思います。

◆“生活機能”という観点

 本書は,生活機能という観点から高齢者看護学における看護展開を円滑に展開していくうえでの拠り所となる1冊となっています。平成20年の看護教育カリキュラム改正において,高齢者看護学では「生活機能の観点からアセスメントし,看護を展開する方法を学ぶ」ことが重視されており,本書ではこの考えを踏襲し作成されたものです。執筆者は,高齢者看護学を展開していくうえで,対象者の持つ問題を取り上げ解決する問題解決型思考は適していないと考えています。問題というネガティブな部分に視点をおくのではなく,対象者が望む生活に着目し,対象者の持てる力というポジティブな部分を前面に引き出していく目標志向型思考で看護展開していくことができるように工夫がなされています。

◆ひと目で病態整理を把握できる

 具体的な項目としては,高齢者看護学実習で受け持つ高齢者に多発する疾患と症状・機能障害別の看護過程の展開や,ひと目見て病態生理が把握できるように必ず図やイラスト,表などが掲載されており,学生にとっては馴染みやすく,病態に関する理解を促します。加えて,具体的に高齢者の生活機能という観点から高齢者にみられる特徴,情報収集の視点などが示されており,高齢者が長年生き抜いてきた個々の生活の営みを拡充するような視点を促しやすくさせると思います。

 学生はもちろん,教員にとっても他領域の看護展開とは違う,老年看護学という特徴を前面に引き出していくことをガイドする内容であり,高齢者の持てる力を引き出し,その人らしく生活を営むことができるような支援に結び付けていくうえでの参考書になると思います。

(『看護教育』2009年4月号掲載)

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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