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現場がみえる 輸液の知識と患者ケア

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輸液を施行している患者は多いですが、なんとなくケアしていませんか? 輸液施行中の患者ケアにはしっかりとした知識と技術が必要です。本書では最新の輸液の基礎から応用まで、わかりやすい写真とイラストを多用し紙面展開。この1冊で“なんとなく”から卒業です。
編集 中村 美鈴 / 布宮 伸
発行 2008年10月判型:B5頁:152
ISBN 978-4-260-00663-7
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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  • 序文
  • 目次
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はじめに

 輸液に関する本として,「看護実践で役立つ本があるといいなぁ」という願いを,長年,温めもっておりました。このような思いを抱いていたところ,偶然にも本書の編集依頼がありました。他の本の誕生を待つよりも,せっかくなら思い描いていた本を自分たちで創る方がより善いと考え,この本の執筆ならびに編集に取り組みました。
 本書は,第1章から第7章で成り立っています。その構成内容は,順に「輸液の目的と適応」,「輸液で使用される器材とその準備」,「輸液で使用される主な製剤」,「輸液投与の実際」,「輸液実施時の観察ポイントと合併症予防対策」,「輸液施行中の患者ケアのポイント」,「急性期にある患者の輸液」です。どの章から読み始めても実践で役立つ知識ばかりで,輸液に関する基本的な知識から,臨床において見出されたAdvancedの知まで及んでいます。
 執筆に関しては,臨床現場の第一線で活躍されている医師の方に,小児・成人・高齢者を主な対象とし,実践現場のさまざまな状況において必要とされる最新の知識を踏まえ,臨床の知も加え,執筆いただきました。
 また,看護の立場から輸液実施時の観察や輸液施行中の患者ケア,急性期にある患者の輸液について,看護学の専門家ならびに臨床家の方に執筆いただきました。その内容は,ベッドサイドから在宅にいたる患者ケアのポイントに関して,必要とされる知識を見出し,ほぼ網羅できるよう工夫して執筆していただきました。
 さらに,「現場がみえる」というタイトルにありますように,写真やイラストを多く取り入れ,現場のリアリティに密着させた内容とし,読者の方にとってよりわかりやすい,より呑み込みやすい本と成るよう努めました。
 以上のような趣旨で完成した本書の成果が,現場で輸液を必要とする患者のケアに大いに役立つことを執筆者一同願っております。最後になりましたが,本書は現場の患者様,また多くの臨床家の皆様のご協力のもとに完成できましたことに深く感謝申し上げます。

 平成20年8月
 編者を代表して 中村美鈴

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第1章 輸液の目的と適応
 [1] 輸液とは
 [2] 水・電解質の基礎知識とアセスメント
 [3] 酸・塩基平衡の基礎知識とアセスメント
第2章 輸液で使用される器材とその準備
 [1] 輸液ポンプ
 [2] シリンジポンプ
 [3] 三方活栓
 [4] 中心静脈カテーテル
 [5] 輸液ライン準備の基本手順
第3章 輸液で使用される主な製剤
 各種輸液製剤の特徴
第4章 輸液投与の実際
 [1] 輸液速度と投与量の算出と調整
 [2] 溶解や混注でのトラブルを防ぐために
第5章 輸液実施時の観察ポイントと合併症予防対策
 [1] 代謝性アシドーシス
 [2] 静脈炎
 [3] 血管外漏出
 [4] 感染予防
第6章 輸液施行中の患者ケアのポイント
 [1] 輸液施行中の患者の援助
 [2] 援助の実際
第7章 急性期にある患者の輸液
 [1] 急性期にある患者の輸液の準備とポイント
 [2] 事例

索引

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看護実践で役に立つ。現場が見える参考書 (雑誌『看護教育』より)
書評者: 土藏 愛子 (聖母大学看護学部教授・基礎看護学)
 これまでの臨床における輸液に関する文献は多くが医師の視点で書かれた体液管理に関するものと,点滴静脈内注射の手技に関する看護師の手順書的なもの,輸液に用いる薬剤に関するものなどがそれぞれに分かれて書かれていました。本書を手にとって,“看護の視点で使うことができる輸液と点滴静脈内注射に関する集大成となる本ができた”とまず初めに思いました。編集をされたお一人である中村氏が「はじめに」の中でも述べておられるように,まさに「看護実践で役に立つ」本ができたと思います。

 内容は,輸液がなぜ行われるのかの理解のために,水・電解質の基礎知識から酸・塩基平衡に関するアセスメントがわかりやすく説明されています。次に輸液で使用する器材の説明が,これもたくさんの図や写真を用いてわかりやすく書かれています。次にこれは1冊になっていると便利であると思った部分ですが,多くの薬剤についてその特徴まで丁寧に説明されています。さらに実施の実際と観察ポイントや考えられる合併症について,局所的なことから全身的なことに至るまで述べられています。点滴の援助の実際では日常生活援助の細かい部分にまで,たくさんの写真入りで懇切丁寧に説明されています。なるほどなるほど……と思わされます。

 近年,静脈内注射については医師の指示のもとで看護師が行うようになってきました。それを受けるようにして看護基礎教育でも点滴静脈内注射の実際に関する技術教育について多くの時間を取るようになっていると考えられます。しかし,看護基礎教育における実践力教育については課題が多いのが現状です。薬物療法についてもリアリティのある教育の実践には多くの教育現場で苦慮していると推察されます。卒業の時点では修得とまではいかない技術力をもって卒業生は次々に現場に立ち,(患者の協力のもと?)苦労しながら薬物療法時の看護を実践していると考えられます。

 そのような中で実際的でわかりやすい本書が看護基礎教育の学生や新人看護師をサポートするものになると考えます。中村氏はどこから読み始めていただいてもよいと記しておられますが,学生の場合,学内では輸液の目的と適応(2頁),輸液ライン準備の基本手順(43頁)からはじめ,輸液で使用される器材などが活用できます。臨地実習では輸液試行中の患者ケアのポイント(104頁)や使用される主な製剤(50頁)などが実際的となるでしょう。また臨床の看護師には合併症予防(76頁)や急性期の事例(126頁)などが参考になると考えます。急性期患者に用いる薬剤の一覧は,微量で大きな作用を及ぼすものも多く,臨床では重要な知識となるものです。まさに現場が見える実際的な参考書であると考えます。

(『看護教育』2009年2月号掲載)

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