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結核・非結核性抗酸菌症診療ガイドライン 第2版

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結核は今日もなお日本最大の感染症であることを忘れてはならない。本書はAm J Respir Crit Care Med誌に掲載されたATS(米国胸部学会)による3つの公式報告書と解説からなる、医療者必読の結核と非結核性抗酸菌症診療に関するグローバル・スタンダードである。
監訳 泉 孝英
発行 2004年10月判型:B5頁:208
ISBN 978-4-260-10662-7
定価 4,620円 (本体4,200円+税)
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  • 目次
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I. 結核-診断
II. 結核-治療・感染への対応
III. 非結核性抗酸菌症
索引

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全身性疾患としての結核を学べる一冊
書評者: 濱田 邦夫 (市立千歳市民病院内科)
◆結核・非結核性抗酸菌症の診断と治療の詳細な解説

 本ガイドラインには結核と非結核性抗酸菌症について,具体的な診断方法と治療方法に加えて,各治療薬剤の特徴,投与量,投与方法,血行動態,副作用,薬剤相互作用についても詳細な解説が記載されている。また,腎障害や肝障害がある場合や妊婦についても治療の実際が具体的かつ親切に説明されていて,結核・非結核性抗酸菌症の治療に従事している臨床医にとってはまさにバイブルとなるだろう。

◆結核診療に携わっていない呼吸器臨床医に推奨

 結核と診断されれば早急に専門施設へ移送して後は一任して終わり,という現在の医療体制では,一般呼吸器診療医の結核に対する理解はますます浅くなり,結核についての正しい知識の欠如と診断力低下(doctor’s delay)は防げないのかもしれないし,今後ますますこの傾向が強まっていくことが懸念される。この傾向に少しでも歯止めをかけることができるものがあるとすれば,それは結核診療に日常携わっていない呼吸器診療医が,本書のようなガイドラインで知識を深めること以外にはないのではなかろうか。1人でも多くの呼吸器臨床医がこのガイドラインを座右の書に加えることを願ってやまない。ツベルクリン反応の意味と解釈について正しく理解するだけでも,日常診療がひと味もふた味も向上するのではないだろうか。

◆全身性疾患としての結核・非結核性抗酸菌症

 このガイドラインを一読する方は,結核は全身のどの臓器にも起こりうる感染症であることを改めて認識するだろう。そして,肺外結核の診断は,結核かもしれないという意識が念頭にないとますます困難になるということにも気づくに違いない。非結核性抗酸菌症も決して肺だけの疾患ではないことを初めて知る方も少なくないのではないだろうか。各科臨床医の皆さんにもぜひ結核や非結核性抗酸菌症について知識をもっていただきたいのは勿論であるが,まずは呼吸器診療医が肺疾患としての結核・肺非結核性抗酸菌症だけではなく,肺外病変について各科臨床医に正しくアドバイスできるだけの力量を持ちたいものである。

 監訳者であり私の恩師でもある泉孝英京都大学名誉教授の本来のご専門は間質性肺疾患であり,本書の姉妹編にあたる「米国胸部学会ガイドライン 間質性肺疾患診療ガイドライン」の共同監訳者でもある。先生は現在の京都大学呼吸器内科の前身である胸部疾患研究所がまだ結核研究所であった頃には結核診療に従事されていて,結核にも造詣が深い。欧米の知見をいち早く取り入れて持ち前の自由闊達な発想で意見されるので,先生のお考えは学会ではなかなか受け容れられなかったと聞いている。そんな先生の主張されてきたことが標準化されつつあるのを目の当たりにすると,今更ながら泉先生の先見の明に深く敬服するのである。

最新のガイドラインを追加
書評者: 田中 善紹 (京都市結核診査協議会委員/田中医院院長)
 結核は昔を懐かしんで語る病気でもなく,また,現在臨床の場でめったに遭遇しない病気でもない。結核では,ごく普通の人がごく普通の病気であるカゼ症状を呈して来院してくることが多く,一般臨床家としてはたえず結核という病気を頭の中に入れて診療をしていなければならない。

 本書は呼吸器専門家だけでなく,結核についてまとまって勉強する機会が少ない一般臨床医や研修医諸兄にとっても格好のテキストである。是非,診療所の机の上に常備しておきたい。

◆新たな「結核の治療」(2003)のガイドラインを追加

 本書は2002年4月に刊行された「〈米国胸部学会ガイドライン〉結核・非結核性抗酸菌症診療ガイドライン」の改訂版である。2003年6月にATSから新たな「結核治療」のガイドラインが公表されたのに伴い,二章「結核の治療」の部分を置き換えた形で加えられた。治療のガイドライン2003年版は59頁と1994年版の15頁と比べて約4倍で,内容はきわめて詳細なものとなっている。基礎疾患を有する患者への対応,治療薬の選択,肺外結核への対応などについても追加されたので,本書のみで日常の結核診療において必要かつ十分な知識を得ることができる。

◆わが国での結核診療への再認識に役立つ

 監訳の泉名誉教授も冒頭で述べておられる通り,現在の米国における結核対策はHIV感染者や外国からの移民が中心である。わが国においても同様な傾向が今後出てくる可能性が高く,また,路上生活者など医療や保健の監視のとどかないところでの結核発生が最近目に付くようになってきている。

 おりしも,結核予防法の一部を改正する法案が2005年4月1日から施行される。改正の主な点は,(1)結核の予防・早期発見のための対策の充実強化,(2)直接服薬確認療法(DOTS)の推進などであり,まさにタイムリーな本の発行と言えよう。

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