神経内科学 第3版

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理学療法士、作業療法士養成学校向けの教科書として版を重ねる好評書。専門基礎分野のカリキュラムに沿って、神経内科学に関する知識を体系的に学ぶことができる。神経系の再生と可塑性、高次脳機能障害、脳血管障害などの項目を大幅に見直している。フルカラー化により、さらに見やすく、使いやすくなっている。
シリーズ 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野
シリーズ監修 奈良 勲 / 鎌倉 矩子
編集 川平 和美
発行 2009年03月判型:B5頁:416
ISBN 978-4-260-00732-0
定価 6,160円 (本体5,600円+税)
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第3版 序

 本書はリハビリテーション医療の対象となる神経疾患の病態と診断,治療についての知識を提供し,さらに個々の障害に対する評価法と基本的なリハビリテーション治療への理解を深めることを目標にしている.
 今回の改訂にあたって,脳卒中への急性期治療の進歩に対応したリハビリテーションの考え方,外傷性脳損傷に多い注意障害と遂行機能障害,てんかんなどの補足を行った.さらに,最近の医学や神経科学の研究成果を追加すること,PT・OTを目指す学生諸氏が学習すべきポイントの明確化に努めている.
 近年の遺伝子レベルでの疾病の解明が診断と治療に応用され,個々の神経細胞の研究から,その機能的結合体である中枢神経系の情報処理が明らかになりつつある.さらには,幹細胞の応用を含む移植医療の発展が神経科学の枠を超えて,医療全体に大きな影響を与えつつある.
 医療の高度化,専門化のなかで,医療スタッフに求められる知識は著しく増加し,リハビリテーション医療にかかわるスタッフもその例外ではない.リハビリテーション関連スタッフはこのような最先端の知識はもちろんのこと,社会福祉までに関する幅広い知識が求められる.
 初版の序文にもふれたが,リハビリテーション関連のスタッフが修得すべき知識に関しては,どこまでが医師の領域で,どこまでがPTあるいはOTの領域であるかを,明確に区分することは困難である.あえて区分するのであれば,PTあるいはOTが主に受け持つ領域は病因,病態よりも疾病がもたらす機能障害や能力障害とそれらに対するリハビリテーション治療であろうと考えられる.しかしながら,それらの治療を安全に実施するにためには,疾病の病因,病態の理解も必要であると考えられるし,何よりチーム医療における職種間の情報交換,たとえばリハビリテーションカンファレンスなどの際に医学的知識が不可欠なものとなることは疑いようがない.
 さて,昨今の医療崩壊はこれまでの医療改革の結果であるともいえるが,WHOが世界一と評価した日本の医療制度を後退させ,患者や障害者に負担を強いているのが事実である.リハビリテーションにかかわるスタッフは,多忙ななかにあってもリハビリテーション医療が目指してきた本来の目標を念頭に置いて,積極的な姿勢で障害に対応できるようになっていただきたい.
 最後に,貴重な資料を提供いただいた鹿児島大学医学部脳神経外科・倉津純一教授,同第一内科・鄭 忠和教授,豊島病院・粟 博志先生,泉川病院・松田幸久先生,他に深謝いたします.

 2009年3月
 川平 和美

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 序説 PT・OTと神経内科学のかかわり

I.序論
 1 障害とリハビリテーションプログラム
 2 中枢神経系の解剖と機能

II.神経学的診断法
 3 神経学的診断と評価
 4 神経学的検査法

III.神経症候学
 5 意識障害,脳死,植物状態
 6 頭痛,めまい,失神
 7 運動麻痺,錐体路徴候,筋萎縮
 8 錐体外路徴候,不随意運動
 9 運動失調
 10 感覚障害
 11 高次脳機能障害:失語症
 12 高次脳機能障害:失認
 13 高次脳機能障害:失行
 14 高次脳機能障害:記憶障害,認知症
 15 高次脳機能障害:注意障害
 16 高次脳機能障害:遂行(実行)機能障害
 17 構音障害
 18 嚥下障害
 19 脳神経外科領域の疾患

IV.神経疾患各論
 20 脳血管障害
 21 認知症
 22 脳腫瘍
 23 外傷性脳損傷(軸索障害を含む)
 24 脊髄疾患
 25 変性疾患(錐体外路系を除く),脱髄疾患
 26 錐体外路の変性疾患
 27 末梢神経障害
 28 てんかん
 29 筋疾患
 30 感染性疾患
 31 中毒性疾患,栄養欠乏による神経疾患
 32 小児神経疾患

V.神経疾患に多い合併症
 33 廃用症候群と誤用症候群,合併症
 34 排尿障害
 35 性機能障害

VI.付録
 資料1 評価法の一覧
 資料2 セルフアセスメント
 索引

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