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看護理論家とその業績


(第3版) (在庫なし)

編著:アン・マリナー・トメイ /マーサ・レイラ・アリグッド 
監訳:都留 伸子

  • 判型 B5
  • 頁 692
  • 発行 2004年09月
  • 定価 7,040円 (本体6,400円+税10%)
  • ISBN978-4-260-33339-9
看護の学問的確立に貢献した看護理論家たちを解説
看護が1つの学問領域かつ専門職として確立するのに貢献した代表的な看護理論家を取り上げて解説。第3版(原書第5版)では編著者にアリグッドが加わり,全章にわたり執筆者を一新。また新たに,コルカバのコンフォート理論,ミシェルの不確実性理論,英国生まれのローパー/ローガン/ティアニーの看護モデルを紹介。
書 評
  • 書評 (雑誌『看護教育』より)
    書評者:本郷 久美子(前三育学院短期大学助教授)

    ◆「看護」を確立するために貢献した理論家たちの業績を広く概観できる書

     本書はナイティンゲールから現代まで看護理論の構築に顕著な貢献をした理論家をとりあげ,理論家の経歴,主要概念と定義,前提,主要な主張,論理形式,看護界の受け入れ,今後の展開,論評などの項目について分かりやすく整理したテキスト...
    書評 (雑誌『看護教育』より)
    書評者:本郷 久美子(前三育学院短期大学助教授)

    ◆「看護」を確立するために貢献した理論家たちの業績を広く概観できる書

     本書はナイティンゲールから現代まで看護理論の構築に顕著な貢献をした理論家をとりあげ,理論家の経歴,主要概念と定義,前提,主要な主張,論理形式,看護界の受け入れ,今後の展開,論評などの項目について分かりやすく整理したテキスト,日本語版第3版である。これはいうなれば,看護理論書への導入書である。著者等は理論書を理論家の意図に沿って忠実に読みこなした上で述べており,出来上がった内容についても理論家本人に目を通してもらうという丁寧な作業を行っている。各章の終わりには一次資料と二次資料が最近のものまで網羅的に掲載されており,学びたい目的の理論について広く深く学ぶガイドを提供している。

    ◆これまでの日本語版と「日本語版第3版」の違い

     本書は版を重ねるごとに今日的視点から見直しが重ねられており,日本語版第3版はこれまでの版に比べ,主に次の7点が新しくなっている。1)看護理論「共感」の理論開発者M. R. Alligoodが著者として加入,2)全体を4部構成から5部構成に改編,「Ⅴ看護理論の将来」を新設,3)各理論のこれまでの複数執筆者に代わって一人の執筆者となり,執筆者を一新,4)ローバ他(看護の原理;生活レベルに基づく看護モデル),コルカバ(コンフォート理論),ミシェル(病気における不確実性)の3章を新設,5)各章に「クリティカル・シンキング―演習」を新設し,理論を研究や実践に活用するための示唆を提供,6)原著論稿へのガイドとして各章に文献情報を充実,7)理論家の検索に役立つウェブサイトを掲載。

     本書は日本語版であり,翻訳書である。しかし,訳本であることを忘れるほど読みやすく分かりやすい。それは,原著内容の精度の高いことと,訳者陣の力量のたまものであろう。本書は,看護専門職を目指している学生,すでに活躍している看護職者,研究や教育面において看護専門職の発展に取り組んでいる方々に是非手にとって読んでいただきたい書である。本書はわたしたちのあり方を豊かにしてくれる理論的基盤を提供する書である。

    (『看護教育』2005年1月号掲載)
  • 不毛な論議を超えて―看護理論が看護実践に活用される時代 (雑誌『看護管理』より)
    書評者:酒井 郁子(千葉大学大学院看護学研究科・看護システム管理学助教授)

     看護理論は実践に活用できるのか。この論議がこれまでどれほど繰り返されてきたことか。同じように実践と研究の乖離について,また大学教育と看護師の実践能力について,どれも根は同じと思われる不毛な論議を私たちは経験してきた。しかし,本書を読むと,看護理論はすでに看護職者の知識基盤として当たり前のようにその...
    不毛な論議を超えて―看護理論が看護実践に活用される時代 (雑誌『看護管理』より)
    書評者:酒井 郁子(千葉大学大学院看護学研究科・看護システム管理学助教授)

     看護理論は実践に活用できるのか。この論議がこれまでどれほど繰り返されてきたことか。同じように実践と研究の乖離について,また大学教育と看護師の実践能力について,どれも根は同じと思われる不毛な論議を私たちは経験してきた。しかし,本書を読むと,看護理論はすでに看護職者の知識基盤として当たり前のようにその実践を支えていることがよくわかる。

     第1章「看護理論入門:歴史・用語・分析」のなかで,その歴史が簡単に触れられている。それによると,カリキュラム時代,研究時代,大学院教育時代,理論時代を経て,現在は,理論に基づく看護実践での理論使用と継続的な理論開発の時代であると述べられている。これは米国の歴史認識であるが,日本はこのどこに位置づけられるだろうか。筆者にはいまだ研究時代という感じがしてならない。とすると,看護理論を普通に臨床実践に取り入れ,活用し,批判して洗練するという米国の「現在」に到達するまで,あと10年ほどかかるということか。看護理論の位置づけの理解としては,第2章「専門領域および専門職としての看護における理論の重要性」,第34章「看護理論のアートとサイエンスの現況」は必読である。

    ◆看護哲学の広がりと中範囲理論の継続的開発

     本書の特徴は,それぞれの理論家の業績を看護学の発展に位置づけて解説することで,今後の看護学の発展の方向性を示唆していることである。ついで,1990~2004年までに新たに開発された理論が追加されたことである。また,既存の理論についても加筆修正され,全体的に文献が最新のものになっている。じっくり読んでいると,看護理論とは継続して発展し続けるものであり,完成型として生まれ出てくるものではない,ということが実感できる。

     特に看護学の研究者が増えたことにより,中範囲理論の継続的開発と実践への批判的応用が続けられている様子がわかる。看護哲学が広がりをみせることで,看護学は学問であり,多様で複雑な事象を扱うために一つの理論では対応できないことが明確になってきている。これまで実践に活用しにくいといわれていた概念モデルも,中範囲理論が開発されることによって活用可能となり,専門職が活用する看護知識として,当然のように看護理論が扱われるようになった。つまり,不毛な論議を超えて,看護理論がある一定の立ち位置を見出したのである。

    ◆学習され利用され,看護実践の発展のために応用される理論

     看護理論を批判的に実践に応用するための,演習が各章に加えられたことも改訂の大きなポイントである。それぞれの理論をどう読むか,どう学ぶかということに大きなヒントを与えてくれる。これらもまた,学習され利用され,応用される看護理論のあり方を示している。

     最後に,筆者の所属する大学院で学ぶある看護管理者が述べたつぎの言葉を借りて本誌読者へのメッセージとしたい。「看護理論を学び,それをシステム作りに活用するといった一連の作業は苦しく,かつ楽しいものでした。看護管理の職務にあるものは看護理論を学ぶべきと痛切に感じました。看護職としての自分のアイデンティティを確かなものにするためにも不可欠です」。

    (『看護管理』2005年2月号掲載)
目 次
I 看護理論の発展
II 哲学
III 概念モデルと大理論
IV 理論と中範囲理論
V 看護理論の将来
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