はじめよう在宅医療21

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在宅主治医は介護保険の下,高齢者医療の担い手として大きな役割を持つ。在宅主治医を軸として展開される在宅医療について,共通の理解・認識を形成し,その標準化をはかるために,本書では基本技能を21項目にまとめ平易に解説した。医師が過大な負担を感じることなく在宅医療の現場に関わるための手引書。
シリーズ 総合診療ブックス
監修 渡辺 武
編集 英 裕雄 / 山中 崇 / 川畑 雅照
発行 2001年05月判型:A5頁:244
ISBN 978-4-260-13877-2
定価 4,400円 (本体4,000円+税)
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在宅医療ベストプラクティス 
はじめよう在宅医療21 
在宅医療における栄養管理 
在宅における病状・問題のマネージメント 
在宅における緩和ケア 
在宅医療のネットワーク 
在宅医療における薬剤の問題点

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在宅医療を「本質を踏まえて」はじめよう
書評者: 佐藤 智 (日本在宅医学会長)
 この本の最初の「監修のことば」に,「QOLの向上とともに如何にして死を迎えるかというQOD(quality of death)の領域に至るまで関係する人々の心の持ちようが問われています」と書かれてあります。
 感動をもってここを読ませていただきました。私は30年前から在宅医療に携わってきましたので,多くの本を読み,自らも書いてきましたが,QODを正面から取り上げようとされた著書は初めてです。
 現在は,在宅医療の技術,知識が問われていますし,それに対する情報も膨大になりつつあります。それらを吸収することは並大抵ではありません。

◆医療は在宅医療が基本

 本書は,それぞれの専門分野で27人のドクターが工夫して,具体例を出しわかりやすく書かれています。在宅栄養,在宅酸素,在宅人工呼吸療法など,現在行なわれいるものがやさしく説明されており,通読するだけでなく,座右において折りに触れて開いてみると役立つことが多いと思います。
 病院医療と在宅医療の大きな違いは,患者さんのお宅で1人で対決しなければならないということです。不勉強であればただちに患者さんに跳ね返ります。また「密室化」しますので,audit(評価)されることが病院のようにはありません。しかし,歴史的には,医療は在宅医療が基本で,患者・家族と医師の信頼関係の中で相互にauditしていたと思います。
 日本のように病院信仰が強くなり,病院一辺倒の国は他にはありません。これからの日本の医療は,本書に書かれたような技術を駆使しながら,患者さん方との間に信頼関係を築いていきたいものです。
 残念ながら本書には,QODの具体的な記載はありませんが,次版には在宅医療の本質に迫るQODが加わることを切に願っております。
コンパクトにまとめられた今日の在宅医療の姿
書評者: 三瀬 順一 (自治医大・地域医療学)
◆思わず膝を打つ豊富な経験の内容

 この本は,今日の在宅医療の姿をもれなく示す,しかもコンパクトな1冊である。さらに,近未来を予測する内容をも含んでいる。在宅主治医のために必要な知識,技能,態度,倫理,経済などを盛り込んだ書籍を,私が分担執筆して以来数年での,この分野の確実な進歩がうかがえる。各章に盛り込まれた,豊富な経験に基づく知識,技能,考え方は,少しでもこの世界に足を踏み入れた者なら,「そうそう」と,思わず膝を打つことばかりである。
 「1.誰でもできる在宅医療」における著者の足跡は,これから在宅をめざす人々を大いに励ます。「2.在宅におけるコミュニケーション技法」は,ともすれば技術に走りがちな在宅医療への警告と,あたたかな医療へのヒントを含んでいる。在宅における患者-医師関係という切り口も新鮮である。
 各論の「3.経口摂取と嚥下・口腔ケア」,「4.在宅での栄養療法」などと続く各章は,どれも手抜きがなく,必要にして十分な内容を持っていて,短い総説として読むのに最適である。
 後半の訪問看護ステーションや介護保険の項は,内容は申し分ないが,本で読むより直接足を運んで関係者と話すほうが実践的なので,あえてコンパクトなこの本に入れなくてもよかったのでは?と思う。「17.医療と福祉のネットワークをこうして作る」にしても,実際は各地の資源と関係者の考え方や経済動向に左右されることが多い。ことに社会資源の乏しい地域で在宅医療を実践している医師には違和感があるかもしれない。

◆確実に増加する在宅医療従事者

 今後,在宅医療を始める医療従事者は確実に増えるだろう。もし,理事者や事務長が味方になってくれないなら,この本を示して,「こんなふうにやりたい!」と言えばよい。その内容の豊かさと患者さんに寄り添うスタンスに驚嘆して,きっと彼らも応援団になってくれるに違いない。

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