腹腔鏡下胃切除術
一目でわかる術野展開とテクニック
腹腔鏡写真(近接)とイラスト(遠景)で術野展開を立体的にビジュアライズ!
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患者さんに優しい手術として急速に普及し、適応を拡大している腹腔鏡下胃切除術。その郭清と再建の手技をメインに、テクニックの習得・向上、術野展開のリファインのために特化して解説。デュアルな画像構成でアプローチの過程を立体的にビジュアライズ。ビギナーからベテランまで、本書によってベストテクニックを極めてください。
編著 | 関東腹腔鏡下胃切除研究会 |
---|---|
発行 | 2006年02月判型:B5頁:216 |
ISBN | 978-4-260-00218-9 |
定価 | 9,460円 (本体8,600円+税) |
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I. 郭清手技
腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(患者右側から)
腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(患者左側から)
神経温存幽門側胃切除術
腹腔鏡下幽門保存胃切除術
腹腔鏡下噴門側胃切除術
腹腔鏡下胃全摘術
II. 再建手技
腹腔鏡下幽門側胃切除後再建(B-I器械)
腹腔鏡下幽門側胃切除後再建(Roux-en-Y)
幽門保存胃切除後の吻合
腹腔鏡下噴門側胃切除後再建
胃全摘術後の再建法
III. トレーニング
いかにして腹腔鏡下胃切除術を習得するか?
ブタの解剖
索引
腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(患者右側から)
腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(患者左側から)
神経温存幽門側胃切除術
腹腔鏡下幽門保存胃切除術
腹腔鏡下噴門側胃切除術
腹腔鏡下胃全摘術
II. 再建手技
腹腔鏡下幽門側胃切除後再建(B-I器械)
腹腔鏡下幽門側胃切除後再建(Roux-en-Y)
幽門保存胃切除後の吻合
腹腔鏡下噴門側胃切除後再建
胃全摘術後の再建法
III. トレーニング
いかにして腹腔鏡下胃切除術を習得するか?
ブタの解剖
索引
書評
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かゆいところに手が届く 術野展開・テクニックを収載
書評者: 阪 眞・笹子 三津留 (国立がんセンター中央病院・外科)
腹腔鏡が胃癌手術に導入されたのは90年代中頃である。当時,頭も腕も柔らかい30歳代であった著者たちが,この新技術の発展に取り組み10年以上が経過した。現在40歳代となり,知識も技術も脂ののりきった気鋭の外科医たちがこの本を書いている。本を開くやいなや,関東腹腔鏡下胃切除研究会における熱いディスカッションさながらに,新たな分野を開拓していこうとする熱意と興奮が伝わってくる。
ページを開いてみてまず目を見張るのは,そのカラー写真の美しさである。腹腔鏡下手術では,術者と助手が同一の焦点をもった拡大視野を共有できる。小血管や自律神経の走行が詳細に観察されるので,出血量を減らし,神経を温存することが容易となる。本を開くとこれら神経の線維,小血管の一本一本が,総天然色で目に飛び込んでくる。膵上縁のリンパ節を含む脂肪組織をどの範囲で,どのくらい総肝動脈周囲の神経線維を残して剥離するのかといった,文章や絵では表現が難しいことも,写真であれば一目瞭然である。また腹腔鏡手術の際,スコピストがどのような視野を作るかがきわめて重要である。これらのカラー写真はスコピストの育成にも威力を発揮する。これらの写真の視野を全く模倣すればいいからである。モニターの横に書架を併置し,手術の進行にあわせてページをめくり,写真と同様の視野を作れば,初心者でもベテランスコピストのような働きができるのではないか。
加えて併記されたイラストがすばらしい。腹腔鏡手術は術者と助手の2人で行う手術である。手術の良否は,限られた4本の手をいかに効率よく使い,よく展開された場を得られるかにかかっている。これらイラストには,術者と助手の両手が,何を持ち,どのように展開しているかが詳しく描かれている。膵上縁郭清の際,膵,胃および肝の展開は苦労する場所であるが,この本は種々の展開方法を例示してくれている。
かゆいところに手が届くという言葉があるが,各章の最後にあるコラムがまさにそれである。実際に腹腔鏡手術を執刀している者にしかわからない諸問題について,筆者らの試行錯誤が具体的に,ときに失敗談も含めて詳細に語られている。術式や患者の体格に合わせたポートの位置,鉗子などの器械へのこだわり,超音波凝固切開装置のミストからカメラレンズを守る方法など,非常に参考になる。
ただし,どんな優れた手術書でも,それだけで手術はできない。手順は示せても,リズムが伝わらないからだ。どんな手術でもテンポよく進む部分と,じっくり時間をかけて耐えなければならない部分があり,全体のリズムを作っている。腹腔鏡手術では,大網の処理などはテンポよく進むが,ひとたび出血すると時間をかけて忍耐強く対処しなければならず,そのリズムは開腹手術と異なる。このような,手術のリズムや精神面などは,実際に先達の手術を見学しなければわからない。さすがに本書も,そこまではカバーできなかったようである。
この本は,術者のみならず,助手,カメラ持ちにもぜひ,熟読してもらいたい。そして,読後には実際の手術を見て,学ぼうではないか。
書評者: 阪 眞・笹子 三津留 (国立がんセンター中央病院・外科)
腹腔鏡が胃癌手術に導入されたのは90年代中頃である。当時,頭も腕も柔らかい30歳代であった著者たちが,この新技術の発展に取り組み10年以上が経過した。現在40歳代となり,知識も技術も脂ののりきった気鋭の外科医たちがこの本を書いている。本を開くやいなや,関東腹腔鏡下胃切除研究会における熱いディスカッションさながらに,新たな分野を開拓していこうとする熱意と興奮が伝わってくる。
ページを開いてみてまず目を見張るのは,そのカラー写真の美しさである。腹腔鏡下手術では,術者と助手が同一の焦点をもった拡大視野を共有できる。小血管や自律神経の走行が詳細に観察されるので,出血量を減らし,神経を温存することが容易となる。本を開くとこれら神経の線維,小血管の一本一本が,総天然色で目に飛び込んでくる。膵上縁のリンパ節を含む脂肪組織をどの範囲で,どのくらい総肝動脈周囲の神経線維を残して剥離するのかといった,文章や絵では表現が難しいことも,写真であれば一目瞭然である。また腹腔鏡手術の際,スコピストがどのような視野を作るかがきわめて重要である。これらのカラー写真はスコピストの育成にも威力を発揮する。これらの写真の視野を全く模倣すればいいからである。モニターの横に書架を併置し,手術の進行にあわせてページをめくり,写真と同様の視野を作れば,初心者でもベテランスコピストのような働きができるのではないか。
加えて併記されたイラストがすばらしい。腹腔鏡手術は術者と助手の2人で行う手術である。手術の良否は,限られた4本の手をいかに効率よく使い,よく展開された場を得られるかにかかっている。これらイラストには,術者と助手の両手が,何を持ち,どのように展開しているかが詳しく描かれている。膵上縁郭清の際,膵,胃および肝の展開は苦労する場所であるが,この本は種々の展開方法を例示してくれている。
かゆいところに手が届くという言葉があるが,各章の最後にあるコラムがまさにそれである。実際に腹腔鏡手術を執刀している者にしかわからない諸問題について,筆者らの試行錯誤が具体的に,ときに失敗談も含めて詳細に語られている。術式や患者の体格に合わせたポートの位置,鉗子などの器械へのこだわり,超音波凝固切開装置のミストからカメラレンズを守る方法など,非常に参考になる。
ただし,どんな優れた手術書でも,それだけで手術はできない。手順は示せても,リズムが伝わらないからだ。どんな手術でもテンポよく進む部分と,じっくり時間をかけて耐えなければならない部分があり,全体のリズムを作っている。腹腔鏡手術では,大網の処理などはテンポよく進むが,ひとたび出血すると時間をかけて忍耐強く対処しなければならず,そのリズムは開腹手術と異なる。このような,手術のリズムや精神面などは,実際に先達の手術を見学しなければわからない。さすがに本書も,そこまではカバーできなかったようである。
この本は,術者のみならず,助手,カメラ持ちにもぜひ,熟読してもらいたい。そして,読後には実際の手術を見て,学ぼうではないか。
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