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≪系統看護学講座 別巻≫

クリティカルケア看護学


著:道又 元裕/中田 諭/尾野 敏明/浅香 えみ子/野口 信子/北村 愛子/木下 佳子/足羽 孝子/佐藤 憲明/濱本 実也

  • 判型 B5
  • 頁 256
  • 発行 2008年09月
  • 定価 2,268円 (本体2,100円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00561-6
本書の特長
本書は、最新の知見に基づいて、クリティカルケア看護に必要な基本的知識を解説するとともに、より実践的な内容をも盛り込んだテキストです。
三次救急や術後など、生命の危機的状態にあるすべての患者へのアセスメントの方法とその実際、およびケアを網羅しています。
過大侵襲に対する生体反応をはじめ、主要な病態の特徴について解説しています。また、術後患者へのケアやクリティカルケア場面での看護技術など、実践的な内容を記しています。
看護と倫理・チーム医療体制・安全管理など、クリティカルケア看護を行ううえでの実践的なマネジメントの知識についても説明しています。
*「系統看護学講座」は2018年版より新デザインとなりました。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文
はしがき

 クリティカルケアは,生命の危機的状況にあるすべての患者への救命治療を意味している。クリティカルケア看護が提供される場としては,一般には高密度な医療を提供する集中治療室(ICU)が最も多い。それ以外では,第三次救急医療の救急室,さらに生命の危機的状況にある患者への救命治...
はしがき

 クリティカルケアは,生命の危機的状況にあるすべての患者への救命治療を意味している。クリティカルケア看護が提供される場としては,一般には高密度な医療を提供する集中治療室(ICU)が最も多い。それ以外では,第三次救急医療の救急室,さらに生命の危機的状況にある患者への救命治療を行う施設のすべてが該当する。一次・二次の重症度,緊急を要す救急患者までも対象とする救急看護とは,厳密には区別すべきものであると考える。しかし,現実的には看護の知識と技術そのものには,大きな違いがないのも事実である。
 医療は科学・技術の発展のあと押しを受けながら,さらに高度化しながら著しい進歩をとげている。このような趨勢のなかで,クリティカルケアにおける臨床現場でも,呼吸・循環・代謝管理を中心とした全身管理に対する治療・看護のスキルを,先端医療機器の開発・発展を伴って高密度に提供してきている。その結果,かつては不幸な転帰をたどっていた重症患者の救命率の増加に大きく寄与している。しかし,その一方では,治療・看護の技術の向上とあいまって,救命が可能なハードルも自然に高くなっていくことも当然のことであり,いわば終わりのない挑戦ともいえる。
 クリティカルケアを受ける患者は,過大な侵襲を受けたことによって,程度の差こそあれ,主要臓器をはじめ重度の急性機能障害に陥っている。その結果,生命を失うような事態に陥る危険性がきわめて高く,医療的介入なしに生命が維持できない状態にある。また,患者は生命を維持するために生体の代償機転が最大限に機能している一方で,新たな侵襲に対する抵抗力が低下している。あるいは,全身の諸臓器,組織・細胞が疾患または治療による影響を大きく受けており,多大な身体的・精神的苦痛を生じている。そのほか,昼夜の覚醒と睡眠の周期がくずれていたり,個人のプライバシーや選択の自由,情報の共有などが制限され,家族をはじめ一般社会から隔絶されていたりする。そして,家族も精神的危機状態に陥っている場合も少なくない。
 このような状況にある患者への援助技術は,生命を維持するためのモニタリングとアセスメント技術,重要臓器の循環と酸素化の維持,救急蘇生,二次障害を予防するための安全管理,感染予防,機械的物理的損傷の予防,廃用予防(循環と酸素代謝の促進),生活の質を維持するためのコミュニケーション,身体的苦痛の軽減,プライバシーの保障,生活リズムの調整,社会との交流の保障,家族への援助,そのほかすべてにわたり医療チームとの連携による実践が求められる。
 また,これらの援助技術は,患者の自然治癒力の促進,セルフケア能力の向上,ストレスに対する適応能力の向上,患者の日常生活の整備・調整,安全の保障を目標としている。
 したがって,クリティカルケア看護の実践にあたって,患者の状態に関連した健康問題の反応を,細胞レベルでアセスメントするためのより深い知識が求められる。
 本書は,最新知見に基づいたクリティカルケア看護に必要な基本的知識を解説するとともに,より実践的な内容も網羅したテキストとして編纂した。なお,救急疾患と看護ケアについては,系統看護学講座「救急看護学」にゆずり,むしろ外科的侵襲を受けた患者の病態と高密度な看護について頁を割いて解説した。本書が学生はもとより,急性期にある重症患者の看護の実践・教育・研究に携わる看護師に広く活用されれば幸いである。
 なお,日本看護協会専門看護師制度で特定されている一分野「クリティカルケア看護」は,2007年7月から「急性・重症患者看護」に名称変更されたが,本書ではすでに臨床や教育の現場にも浸透してきている「クリティカルケア看護」という名称を1つの学問体系名として採用した。

 2008年7月
 著者ら
目 次
第1章 クリティカルケア看護とは (道又元裕)
 A クリティカルケア看護の特性
 B クリティカルケアを必要とする患者・家族の特徴
第2章 クリティカルな患者のアセスメント (中田諭)
 A アセスメントの意義・目的
 B アセスメントの方法
 C 系統別アセスメントの実際
 D 小児のアセスメント
 E 高齢者のアセスメント
第3章 クリティカルな患者の主要病態の特徴とケア
   (道又元裕・尾野敏明・浅香えみ子・野口信子・北村愛子)
 A 過大侵襲を受けた患者の生体反応
 B 栄養障害と栄養管理
 C 呼吸障害とケア
 D 循環障害とケア
 E 脳・神経系障害とケア
 F 凝固・線溶系障害とケア
 G 多臓器障害とケア
 H 重症感染症とケア
 I 創傷とケア
 J 精神障害とケア(せん妄を中心に)
第4章 過大侵襲に伴う手術患者の特徴とケア (木下佳子・足羽孝子)
 A 外科的侵襲が生体に与える影響
 B 脳神経外科手術後の看護
 C 心臓血管外科手術後の看護
 D 肺切除術後の看護
 E 食道離断・再建術後の看護
 F 肝切除術後の看護
 G 肺移植術後の看護
第5章 クリティカルケア看護に必要な看護技術 (佐藤憲明・浅香えみ子・濱本実也・野口信子)
 A 心肺蘇生法
 B 呼吸管理
 C 体液・循環管理
 D 栄養・代謝管理
 E 体温管理
 F コミュニケーション
 G 感染予防対策
 H スキンケア
 I 口腔ケアとアイケアの技術
 J 体位変換・関節可動域訓練
 K 疼痛と緩和ケア
 L 廃用症候群の予防と早期リハビリテーション
 M 摂食・嚥下促進
 N 危機状態にある患者・家族へのケア
第6章 クリティカルケアの看護実践を支える枠組み (浅香えみ子・佐藤憲明・中田諭)
 A クリティカルケア看護と倫理
 B クリティカルケア看護とチーム医療
第7章 クリティカルケア看護の実践に必要なマネジメント (木下佳子)
 A クリティカルケア看護と看護管理
 B クリティカルケア看護と安全管理

索引