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≪標準医療薬学≫

薬理学


編集:辻本 豪三/小池 勝夫

  • 判型 B5
  • 頁 584
  • 発行 2009年06月
  • 定価 8,250円 (本体7,500円+税10%)
  • ISBN978-4-260-00704-7
薬学生テキストの新・スタンダード
薬物がどのようなしくみで生体に作用するかを系統的に理解できる教科書。薬理作用・作用機序の解説では、細胞、分子レベルまで解明されている最新の情報まで解説。臨床に役立つよう商品名‐一般名対照表のほか、演習問題と解説も掲載し、共用試験の準備にも最適。
*「標準医療薬学」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文


 近年,医療技術の高度化,医療現場における薬剤師の役割,さらには薬学教育の内容に大きな変化があり,2006年度に薬剤師養成の薬学教育は6年制に移行した.特に教育の内容面では,薬物に関係する医療事故の防止など,医療現場で薬剤師に求められる役割は重くなってきていることから,医療現...


 近年,医療技術の高度化,医療現場における薬剤師の役割,さらには薬学教育の内容に大きな変化があり,2006年度に薬剤師養成の薬学教育は6年制に移行した.特に教育の内容面では,薬物に関係する医療事故の防止など,医療現場で薬剤師に求められる役割は重くなってきていることから,医療現場で活躍する薬剤師を育てる医療薬学が重視されている.このような薬剤師教育の変化の中,本書は医療薬学を学ぶ学生のための薬理学の教科書がどのような形であるべきかという問題に対する1つの回答である.薬学教育課程における最低限の要求を基盤とし,薬理学の系統的な知識と考え方と,さらに最新のゲノム科学の登場により進化し続ける薬理学について理解を深めるような編集とした.また,医療薬学では病気と薬物の知識が必要となる.
 教育課程における最低限の要求の追求はかなり困難な問題である.記載を基本的事項に絞り,専門的になりすぎないと同時に,進歩の速い各分野での最も新しい定説は速やかに取り入れなければならないからである.この相反する条件を満たすために,執筆者には薬理学の教育経験のある専門家であり,優れた研究者である先生方を選び,その専門領域よりもかなり範囲を広げて執筆をお願いした.また同時に,専門的な内容を査読することによって,最先端の内容を含みつつ,さらに学生目線の内容となったと考える.
 本書の編集方針は小池勝夫・元東邦大学薬学部薬理学教授と協議したものであり,小池先生には本書の基本概念を創る際,貴重なご意見の数々を賜った.本書編纂の過程で,2008年8月,小池先生が急逝された.誠に痛惜の念に堪えない.病床にあっても,その生来の責任感から本書校正に多大な労を執られ,執筆を完成されたと聞き及んでいる.本書の上梓は,先生のこれからの薬学における薬理学教育にかける夢の1つが具体化されたもので,尽力された小池勝夫先生に心より畏敬と感謝の念を捧げるとともに,1人でも多くの人が本書を介してそのスピリットを受け継がれてゆくことを祈念している.

 2009年4月
 辻本豪三
書 評
  • 薬物治療の基礎としての薬理学を総論と各論に分け丁寧に説明
    書評者:南 雅文(北大大学院薬学研究院教授・薬理学)

    ◆総論:受容体理論からゲノム薬理学まで,6年制薬学教育に必須の薬理学

     薬理学とは「“薬”という化合物と標的生体分子との相互作用」を研究する学問であり,リガンドと受容体,阻害薬と酵素の相互作用の理論,とりわけ,多くの治療薬の標的となっている受容体の理論は薬理学の根本である。

     本書では,...
    薬物治療の基礎としての薬理学を総論と各論に分け丁寧に説明
    書評者:南 雅文(北大大学院薬学研究院教授・薬理学)

    ◆総論:受容体理論からゲノム薬理学まで,6年制薬学教育に必須の薬理学

     薬理学とは「“薬”という化合物と標的生体分子との相互作用」を研究する学問であり,リガンドと受容体,阻害薬と酵素の相互作用の理論,とりわけ,多くの治療薬の標的となっている受容体の理論は薬理学の根本である。

     本書では,第2章「薬物の作用機構」,特に「細胞膜シグナリングと薬物治療」の項に,その理論とシルド・プロットやスキャッチャード・プロットなどの実際の解析法について,必要なことがすべて,かつ,驚くほどコンパクトにまとめられている。

     それに続く第3章では,薬物動態学と薬物代謝学について,非常にわかりやすい図表とともに丁寧に解説されている。これらは,個々の患者に至適な薬物治療をめざすこれからの医療にとって非常に重要な分野であり,その内容の充実は,医療薬学を学ぶ学生のための教科書にふさわしい。また,医療薬学において,ますます重要となるゲノム薬理学やトキシコゲノミクスについても,わが国における第一人者が,初習者にも理解できるよう適切な図を織り交ぜながら解説している。薬学6年制教育では,問題解決能力のある薬剤師の養成が求められているが,「総論」には,そのために必要な薬理学の基礎と応用,すなわち基盤となる受容体理論から,これからの臨床薬理学において重要な位置を占めるゲノム薬理学まで,6年制薬学教育に必須となる内容が盛り込まれている。

    ◆各論:標準的な治療薬について詳しく解説し,CBT対策にも最適

     各論では,代表的・標準的な治療薬に関して,関連臓器・器官の生理や各疾患の病態をまず解説することにより,その後に続く,薬物の薬理作用・作用機序,適応,副作用が理解しやすいよう工夫されており,最新の研究成果を反映した記述も随所にみられる。CBTでの出題も予想される薬物の化学構造についても非常に見やすい図で示されている。また,学習内容を定着させるための付録:演習問題が豊富であり,わかりやすい解説とともに参照すべきページが記されているのも親切である。

     巻末には欧文・和文索引に加え,薬剤の商品名と一般名の対照表が添付されており,病院や薬局での実務実習や,将来,薬剤師として現場に出た際に有用である。各論は,それぞれの分野における一線級の研究者によって分担執筆されているが,編集者の配慮が細かいところまで行き届き,全体として非常によく統一されており,学習者にとって読み進めやすいものとなっている。

    ◆学習意欲と習熟度を高める

     良い教科書との出会いは,学ぶ意欲と習熟度を著しく向上させる。本書は,そのような一冊であり,医療現場で活躍する薬剤師の養成のみならず,創薬研究者としてアカデミックな分野や企業での活躍をめざす薬学生にとっても最適の教科書である。
目 次
I 総論
 第1章 薬理学の歴史的発展とその役割
 第2章 薬物の作用機構
 第3章 薬物動態学と臨床薬理学
 第4章 毒科学とゲノムサイエンス(トキシコゲノミクス)
 第5章 ゲノム生物情報学に基づく新たな薬理学
 第6章 医薬品開発と薬理学

II 各論
 第1章 末梢神経系
 第2章 循環器
 第3章 抗炎症薬,解熱鎮痛薬,抗アレルギー薬,痛風治療薬
 第4章 免疫
 第5章 中枢神経
 第6章 呼吸器
 第7章 消化器
 第8章 腎・泌尿器系
 第9章 血液
 第10章 感覚器(眼科用薬)
 第11章 内分泌・代謝
 第12章 化学療法薬と抗感染症薬
 第13章 抗悪性腫瘍薬
 第14章 その他(子宮作用薬,皮膚作用薬,ビタミン)
 第15章 診断薬

演習問題
薬剤商品名-一般名一覧
索引