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IPMN/MCN 国際診療ガイドライン [日本語版・解説]


(在庫なし)

著:国際膵臓学会ワーキンググループ 
訳・解説:田中 雅夫

  • 判型 B5
  • 頁 84
  • 発行 2006年07月
  • 定価 5,060円 (本体4,600円+税10%)
  • ISBN978-4-260-00232-5
ホットなディスカッションが国際的コンセンサスのもとに診療ガイドラインに結実。決定版「日本語版・解説書」
膵疾患の臨床において、最もトピカルなIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)とMCN(粘液性嚢胞腫瘍)の診療ガイドラインを、国際膵臓学会ワーキンググループが世界的なコンセンサスのもとに策定。同ワーキンググループの代表であり、日本膵臓学会理事長である訳者が、広く臨床の現場で活用できるよう、多くの症例と懇切丁寧な解説を加えて日本語版を冊子化。
書 評
  • IPMN/MCNを知る最良の書
    書評者:山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科部長)

     IPMN(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms)は,1982年にわが国の大橋,高木らが世界に先駆けて提唱した“粘液産生膵癌”(後に粘液産生膵腫瘍)とほぼ同一の疾患概念である。一方,MCN(Mucinous Cystic Neoplasms)は,従来から膵...
    IPMN/MCNを知る最良の書
    書評者:山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科部長)

     IPMN(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms)は,1982年にわが国の大橋,高木らが世界に先駆けて提唱した“粘液産生膵癌”(後に粘液産生膵腫瘍)とほぼ同一の疾患概念である。一方,MCN(Mucinous Cystic Neoplasms)は,従来から膵嚢胞腺腫・腺癌と呼ばれていたものであり,両者の疾患概念は一時その異同をめぐって混乱をきたしていたが,現在では異なった疾患と理解されている。これらはこれまで非常に稀なものとされてきたが,最近では日常臨床において少なからず遭遇し,その取り扱いの理解は研究者,消化器内科医・消化器外科医のみならず一般臨床医や研修医にとっても重要となっている。

     さて,この本は“International Consensus Guidelines for Management of Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms and Mucinous Cystic Neoplasms of the Pancreas”として,2006年の春にPancreatology誌上に報告された論文の日本語版解説書である。その論文があっという間に,わかりやすい日本語の解説文に多数の新たな写真が加えられた一冊のすばらしい本に化けてしまった。さすが田中雅夫教授,見事と言う他はない。

     9名からなる国際診療ガイドラインワーキングチームの一員にさせていただいた私の目に焼きついているのは,ガイドライン作成過程での田中教授の凄まじい働きぶりと,要領を得た纏めぶりである。中でも最も困難であった,疾患概念の異なる諸外国との症例や画像診断法の相違からくる侃々諤々の議論のすれ違いを,田中教授はリーダーとして纏め役に徹し,矢継ぎ早にワーキングチームのメンバーにメール攻勢をかけて実に見事に海外と国内の意見調整をされ,短時間で完成にまで持っていかれたのであった。本書の発刊に到る一連のこれらのお仕事は,正に田中教授なくしてはなしえなかったものであり,ただただ先生に心から感謝申し上げたいと思う。

     さて本書の構成は,本ガイドラインの日本語解説文とPancreatologyに掲載されたオリジナル論文からなっている。日本語の解説文には,原文にはない本ガイドラインの作成の経緯や作業過程も詳しく述べられており特に興味深い。さらにこの本の根幹である,(1) 定義と分類,(2) 術前診断,(3) 切除術の適応,(4) 切除術式,(5) 病理組織,(6) 追跡経過観察法,の大きな6項目とその中をさらに細分化した18個の設問と回答が日本語訳とともに新たな写真などを加えて紹介されている。設問はIPMN/MCNの日常臨床上での具体的な疑問から作成されたもので,回答はIPMN/MCNに対する数多くの文献(それでも作成過程で随分削られたが)と国内外の専門家の意見からなる。読み方としては冒頭から通読されるのもいいが,表や写真,とくに日本語版独自の綺麗な写真を最初に見て疾患概念や現時点での問題点をまず理解し,その後で自分の疑問点に対する回答を拾い読みする形で読まれてもいいと思う。

     本書はIPMN/MCNに対する現時点での最高のガイドラインであり,その解説書である。IPMN/MCNの病態を理解するにはこの本をおいてないと言える。また,“著者からのメッセージ”にあるように,紹介されている多くの参考文献により,本書はIPMN/MCNに関する研究や,論文を発表する際の座右の書としてなくてはならないものとなっていると信ずる。
  • 消化器病の診療に携わるすべての医師に
    書評者:松野 正紀(東北厚生年金病院長)

    ◆粘液産生膵腫瘍

     癌研究会附属病院の大橋計彦らが,十二指腸乳頭の特異な所見を伴った粘液産生膵腫瘍を,世界に先駆けて報告してからはや四半世紀が経過した。この間,数多くの報告がわが国および諸外国からなされ,この疾患が膵臓病の中で重要な位置を占めるようになった。何故重要なのかというと,発生頻度はそ...
    消化器病の診療に携わるすべての医師に
    書評者:松野 正紀(東北厚生年金病院長)

    ◆粘液産生膵腫瘍

     癌研究会附属病院の大橋計彦らが,十二指腸乳頭の特異な所見を伴った粘液産生膵腫瘍を,世界に先駆けて報告してからはや四半世紀が経過した。この間,数多くの報告がわが国および諸外国からなされ,この疾患が膵臓病の中で重要な位置を占めるようになった。何故重要なのかというと,発生頻度はそれほど高くはないが,経過とともにがん化する傾向が強いからである。

     わが国の高齢者の剖検膵では,半数以上に微小なものも含めて嚢胞性病変が認められる。このような状況の中で,嚢胞性疾患の鑑別診断が治療上重要になってきた。世界保健機関(WHO)が,粘液を産生する嚢胞性膵腫瘍を膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と粘液性嚢胞腫瘍(MCN)の2群に分類したのが10年前であった。それ以後,本疾患に対する理解が急速に深まった。

    ◆診療ガイドラインに関する国際シンポジウム

     2004年に第11回国際膵臓学会が仙台で開催された際,「IPMN/MCNの診療ガイドライン」のシンポジウムが持たれた。最初にわが国から発信され,その病態解明についてはわが国が世界をリードしている本疾患のガイドライン作成の討議が日本で行われたのはきわめて当然のことであった。

     シンポジウムの司会と意見の取りまとめ役を担当したのが本書の訳・解説者の田中雅夫教授であった。それは世界各国の第一人者を集めてのコンセンサスミーティングとなった。その時の国際膵臓学会の成功はひとえに「国際診療ガイドライン」のシンポジウムの充実によるところが大きく,田中雅夫教授の事前の意見調整のすばらしい手腕と見事な司会振りは今でも語り草になっている。その後,広く国際的合意を得て英文で学会誌『Pancreatology』に掲載されたものが「International Consensus Guidelines for Management of Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms and Mucinous Cystic Neoplasms of the Pancreas」である。本書はその日本語版解説書である。

    ◆診断と外科治療のキーポイントを示す

     消化器病の診療でしばしば遭遇する嚢胞性膵疾患では,鑑別診断と切除が必要かどうか,切除範囲はどこまでかの判断に多くの医師が悩まされる。英文のガイドラインを読みやすく翻訳するとともに,ガイドラインで使用できなかった画像を随所に挿入しながら,診療のポイントをわかりやすく解説しているのが本書の特徴である。新たに挿入された病理組織像や画像は,多数の中から厳選された典型的なもので,それだけでも一見の価値がある。本邦で最も多くのIPMN/MCN症例を経験している著者の解説だけに説得力がある。

     膵疾患を専門とする医師だけでなく,広く消化器病の診療に携わる方々に本書の一読をお薦めしたい。
  • IPMN/MCNの共通認識をもって臨床研究・討論を行うために
    書評者:真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター長)

     International Consensus Guidelines for Management of Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms(IPMN)and Mucinous Cystic Neoplasms(MCN)of the Pancreas(...
    IPMN/MCNの共通認識をもって臨床研究・討論を行うために
    書評者:真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター長)

     International Consensus Guidelines for Management of Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms(IPMN)and Mucinous Cystic Neoplasms(MCN)of the Pancreas(Pancreatology 6: 17-32, 2006)の日本語翻訳版が出版された。粘液産生膵癌として本邦から発信され,その後,粘液産生膵腫瘍,“いわゆる”粘液産生膵腫瘍,膵管内乳頭腫瘍,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)など,さまざまな用語で呼ばれた疾患が「IPMN」として世界的に共通の疾患名で呼称されるようになり,また「MCN」が「IPMN」とは違う疾患群であることがきちんと整理された意義は極めて大きい。さらに本書では,英文からは読み取り難い微妙なニュアンスを見事に日本語で表現し,理解を深めるために画像を追加した絶妙な構成には,国内委員として参加させていただいた者として,あらためて訳者の田中教授に敬意を表する次第である。

     本書の特徴は,設問に対して回答する形式を採用しているため,飽きることなく熟読しやすい。また,途中で疑問が浮かび,読み返しが必要な場合にも,読みたい部分を設問から探すことができる。さらに,後半には英文報告がそのまま掲載されているため,英語による表記や表現の勉強にも非常に役に立つ。

     現在まで,種々の疾患に対する診療ガイドラインが作成されてきているが,その多くは日本国内のものであり,国際的なガイドラインは少ない。その理由は,国内だけでも意見を集約することが難しいのに,診療状況や意見の異なる海外の医師たちと英語で討論し,集約しまとめる作業は困難を極めるからである。その大変さは想像に難くなく「よくここまでまとめあげられた」と感心する次第である。その苦労の一端は,「著者からのメッセージ」と「はじめに」の頁で読み取ることができる。

     ガイドラインの利点は,共通の用語で討論できるようになること,その時点までに明らかになっていることと今後に検討が必要な事項が共通に認識できることである。

     もちろんガイドラインとは,その後の理解が進むにつれて改訂が繰り返されるものである。その中での記念すべき第1号をたくさんの人に読んでいただき,共通の認識において今後の臨床研究,討論を行いたいと切に願う。特に,本邦において多数の知見を蓄積してきた疾患でもあり,日本語での出版が熱望されていたものである。

     必ず役に立つと考え,ここに推薦する。
目 次
 著者からのメッセージ
 はじめに
1. 定義と分類に関する設問
2. 術前診断に関する設問
3. 切除術の適応に関する設問
4. 切除術式に関する設問
5. 組織学的設問
6. 追跡経過観察法に関する設問
 参考文献

 Acknowledgements
 Abstract
Introduction
1. Definition and Classification
2. Preoperative Evaluation
3. Indication for Resection
4. Method of Resection
5. Histological Questions
6. Method of Follow-up
 References

あとがき
索引
商品写真