定位脳手術入門 [DVD付]

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パーキンソン病や本態性・症候性振戦など、不随意運動の治療に用いられる定位脳手術は年間の脳神経外科領域における手術数の約1割を占めている。近年、同手術件数の厚生労働省への報告が義務づけられ、また、術式が簡易化されてきたこと、癌性疼痛など慢性難治性疼痛の治療にも用いられるようになってきたことなどから、今後、手術への関心が高まるのは必至である。本書は、「脳神経外科」誌31巻12号~32巻10号掲載の連載「定位脳手術入門」に、脳腫瘍、難治性疼痛に関連した項目を新設、DVD付録を加え、手術手技だけでなく臨床経過をビジュアルに提示する。
編集 板倉 徹
発行 2005年10月判型:B5頁:144
ISBN 978-4-260-00136-6
定価 6,050円 (本体5,500円+税)
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  • 目次
  • 書評

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定位脳手術概要
定位脳手術のための解剖学
定位脳手術のための生理学
マイクロレコーディング
視床手術(破壊術)
視床手術(刺激術)
淡蒼球手術(破壊術)
パーキンソン病に対する淡蒼球刺激術
視床下核刺激術
細胞移植療法
パーキンソン病における患者選択
難治性疼痛
脳腫瘍に対する定位脳手術
索引

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脳神経外科医必携の定位脳手術の入門書
書評者: 田中 達也 (旭川医大教授・脳神経外科学/日本てんかん学会理事長)
 1973年に,パリの国立科学研究所でマントヒヒを用いた定位脳手術の研究を始めた時,年代物の実験用定位脳手術装置が,Horsley-Clarke Apparatusであると聞き,感激したことを覚えている。パーキンソン病に対する定位脳手術は,この実験用定位脳手術装置を人間用に改良したSpiegel and Wycisにより1947年に開始された。しかし1967年にL-DOPAが臨床応用されると,その劇的な効果の前に手術を受ける患者は激減したが,L-DOPAの長期使用による,wearing-off現象や不随意運動などの副作用が問題となってきた。

 1980年代に後腹側淡蒼球破壊術が,1990年代にDBSが開発され,2000年4月より本邦でもDBSの保険適用が認められた。わが国でも,多くの施設で,定位脳手術がおこなわれるようになってきた。このたび,板倉徹先生編集による定位脳手術の入門書『定位脳手術入門 DVD付』が刊行されたのは,実に時の要求に応えたものと言える。

 本書は,これから定位脳手術を始めようとする脳神経外科医にとっては,必携の入門書である。初めに定位脳手術のために必要でしかも基本的な解剖学と生理学をマイクロレコーディングの手技も含めて,詳細に説明されている。疾患各論では,各分野の第一線で最も活躍されている研究者が,初心者によくわかるように,詳細かつ丁寧に構成を心がけている。しかも,付録のDVDには,手術手技の実際はもとより,手術前後の変化も含めて詳細に解説されている。このため,初心者はもちろんのことであるが,実際に定位脳手術を行っている脳神経外科医にとっても,自分の手術手技や手術のターゲットについて,リフレッシュするための座右の書の1つになるものと思われる。近年,難治性てんかんの症例でも,視床下核,視床前核,てんかん焦点部の電気刺激が,less invasiveな治療法として,国際的にも注目されている。本書が,定位脳手術を必要とする多くの患者さんを救うために,多くの研究者の愛読書となるものと期待している。

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