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固定チームナーシング 第4版
責任と継続性のある看護のために

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固定チームナーシングの考え方とその実際を解説した好評書の最新版。今日の医療動向を背景に、グループ病院(介護施設を含む)での一斉導入や地域包括ケア病棟の取り組み例などを追加。多職種カンファレンスや、人材育成(チームリーダー・日々リーダー、新人ナース)ついての項目を大幅拡充。固定チームナーシングで1人ひとりが力を発揮するためのヒントが満載。

西元 勝子 / 杉野 元子 / 北神 洋子
発行 2019年11月判型:B5頁:288
ISBN 978-4-260-03949-9
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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第4版 序文

 北海道の中標津空港から根室市に入り,市立根室病院(135床)看護部で,筆者らはボランティアで研修のお手伝いをした。根室港から近くは3.7kmのところに北方領土の島々が連なり,市立根室病院はたびたび,ロシアの人々の治療や入院を引き受けていると聞いた。地域包括ケアシステムの時代,おおらかな道東の医療チームは,必要としている人々に当たり前のこととして医療やケアを提供している。
 9月初めのこの地方は,緑が続く牧草地とカラ松の防風林が大地を区切り,一直線に伸びる道と川の流れが絵画のようである。しかし,冬は一面の銀世界に変わる厳しい現実のある僻地でもある。北海道地方会のある札幌まで,車で5時間かけて参加している市立根室病院看護部の人たちの努力に応えて,今回の研修の手伝いを申し出たのである。
 4年前から固定チームナーシングを導入している看護部の研修は,10時に始まり13時に終わるプログラムで,対象は約30名の師長・主任・チームリーダーたちであった。明るく前向きな看護チームは,やってみてダメなら次の手を考える柔軟さや,「まっいいか」のゆとりをもったやさしくたくましい看護師たちの集団であった。

 1999(平成11)年に出版した『固定チームナーシング──責任と継続性のある看護のために 初版』から,このたびの第4版の発行でちょうど20年になる。1994(平成6)年に神戸でスタートした全国研究集会の,2019(令和元)年の資料集を編集していてあらためて実感したのは,多様な領域のさまざまな取り組みが,将来の看護職の活動領域の拡大を示しているように感じられたことだった。いずれも対象者の健康と生活を中心に展開され,多職種と連携・協働した看護の広がりを実践事例として率直に報告してあるのが頼もしい。
 この第4版では「第4章 固定チームナーシングの取り組み」で紹介する実践事例をすべて更新している。全国各地の規模や機能の異なる病院や施設の実践報告は,地域包括ケアシステム・多職種協働の今だからこそ,自部署の新たな看護のあり方,活動の仕方を考えるのに役に立つはずである。いつの時代にも,時代の求める看護と決して変わらない看護を見極めながら仕事をしていきたい。
 とはいえ,対象者の健康と生活を守ることが看護の役割と意識していても,急性期医療の現場では医療が優先されることが多く,対象者の求める安寧が後回しにされたり,忘れられたりする現場に接すると,看護の未来が気がかりになる。

 さらに,急激な少子化と超高齢化の中で看護職に求められるのは,高齢者や慢性疾患患者を対象にした,多様な医療と個別的な生活者のニーズに応えられる看護である。筆者らのうち2人は,後期高齢者の仲間入りをして入院や外来通院の機会が多くなった。この間に痛感するのは,医師は入院中から退院後の外来まで主治医として患者とかかわることが多い。しかし,受持ちナースに継続したケアを望んでも,交代勤務と輪番制の夜勤体制という勤務状況などからむずかしい現実がある。
 このような看護職と対象者との関係を,ナースが責任をもち,やりがいにつながる継続性のある看護に変えることを求めて考案したのが固定チームナーシングである。この本のサブタイトルでもある「責任と継続性のある看護を求めて」は,初版のときからの筆者らの看護理念であり祈念である。
 この看護職の永遠の課題である「責任と継続性のあるケア」の実践とやりがいをもち看護・介護の仕事を続けるために,課題を明確にして問題解決の糸口を提案していきたいと,筆者らは2019年8月に研究チームを結成し,固定チームナーシングを実施している病院や施設の看護職と介護職の勤務体制の実態を調査する取り組みを始めている。

 固定チームナーシング研究会はこれまで,全国研究集会と独立した13の地方会をそれぞれ年1回開催してきたが,2019年2月,全国を8つのブロックに分け組織化した全国8ブロック制を導入した。この組織は,①北海道・東北地方会,②関東地方会,③長野地方会,④北陸地方会,⑤中部地方会,⑥近畿地方会(奈良セミナー含む),⑦中四国地方会(鳥取地方会・島根地方会を含む),⑧九州地方会(長崎・鹿児島地方会を含む)の8ブロックのそれぞれに,ブロックリーダー・サブリーダーをおいて活動していく。
 ブロック制の目的は,①各ブロック内での推進活動,②研究会(全国・地方会)への参加推進,③固定チームナーシング認定指導者の育成と活動推進,④固定チームナーシング体制の質向上と広報・小集団活動・成果発表を各種学会で発表,⑤固定チームナーシング研究会への提言・提案,⑥全国・地方会の運営支援の6項目である。2019年10月5日,全国研究集会の前日に固定チームナーシング認定指導者交流会と合わせて,ブロックリーダー・サブリーダー会を開催した。
 また,2011(平成23)年に始まった固定チームナーシング認定指導者登録制度(→225ページ)は,今年4期生を迎え,40名の参加者はすでに宿泊研修と1日研修の集合研修を終え,自部署で実践を重ねている。認定指導者育成の目的は,①固定チームナーシングの3つの目的を具現化して,医療・看護・介護の現場に導入できる人材の育成,②自部署自病院・近隣の病院や施設・地方会などで,固定チームナーシングの理念を伝える指導者の役割がとれる人材の育成,である。認定指導者を固定チームナーシングの後継者に育てることが,筆者らの願いである。

 この第4版から筆者メンバーに新たに固定チームナーシング研究会副会長の北神洋子が加わり,今までとは異なる広がりのある視点で,多様な医療・福祉・介護現場の現状,固定チームナーシングの活用状況を具体的に紹介している。北神は看護学生時代に,西元が師長だった小児病棟に小児看護の実習に来て,固定チームナーシングと出会い,新人ナースとしてこの小児病棟に就職し,7年間スタッフとして勤務した。その経験を活かし,IMS グループの総看護部長に就任したとき,自身のめざす看護と人材育成を実現するために,固定チームナーシングを同グループの病院看護部や介護施設に導入した。この実践の詳細は,第4章のなかの「IMSグループの一斉導入と人材育成」(→136ページ)を参照してほしい。
 「第5章 固定チームナーシング定着と人材育成のために」では,人材育成について多くのページを割いた。固定チームナーシングにおける受持ちナースの教育を,新人ナースの入職時から導入する方法も紹介している。また,継続ケアの必要な対象者に固定チームナーシングのチーム力を活かし,小集団活動の基本を意識して運営していくには,師長・副師長(主任)だけでなく,チームリーダー・日々リーダー・受持ちナース,看護補助者らの育成が重要課題である。これからの看護・介護チームに役に立つ人材育成のモデル事例も豊富に紹介しているので,ぜひ参考にしていただきたい。

 第4版の編集にあたり,医学書院の染谷美有紀さんとフリー編集者の歌川敦子さんには第3版に引き続き担当してもらい,複雑な看護・介護と多職種協働の現場・現状をモデル事例として,わかりやすく表現してもらい感謝している。
 表紙は,筆者の1人,杉野元子のとらえた多職種協働の地域包括ケアのイメージである。

 2019年10月
 西元勝子・杉野元子・北神洋子

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第4版序文
第3版序文
第2版序文
初版序文

第1章 社会の求める看護を提供するために
 1 固定チームナーシングのめざすもの
  どうしたら自分のやりたい看護ができるか
  正確なデータで状況を分析する
  患者およびスタッフの双方に責任をもつということ
  解決の鍵となるコミュニケーション
  固定チームナーシングの誕生
  基本は小集団活動
  小集団活動のポイント
  固定チームナーシングの目的
 2 組織の変革とナースのリーダーシップ
  組織の変革は教育戦略から
  新しい看護方式採用への抵抗感にどう対処するか
  師長のリーダーシップ
  師長のピアグループ・スーパービジョン
  副師長(主任)の組織図での位置づけ

第2章 固定チームナーシング導入準備
 1 看護方針を明確にする
  理念を実践に移す
  固定チームナーシングの5つの定義
 2 看護チームの現状把握と分析
  まずは正確なデータを
  現状分析は看護過程の手法で
 3 固定チームナーシングにおけるチームリーダーの役割行動を支援する
  チームリーダーの役割と業務
  チームリーダーに必要な情報収集
  業務マニュアルの整備と活用法
  仕事の優先順位の決め方
  看護方式とリーダーの育成
 4 チームワークシートの有効活用
  チームワークシートがなぜ必要なのか
  チームワークシートの条件
  チームワークシート活用の効果
  チームワークシート作成のポイント
  チームワークシートの使用基準を決める
 5 スタッフへの動機づけと医療チームへのはたらきかけ
  固定チームナーシングを導入するために
  動機づけの方法
  動機づけの例
  導入過程でチェックしたい課題とポイント

第3章 固定チームナーシングの実際
 1 患者グループの分け方
  課題別固定チームの編成(小集団活動)
 2 看護チームの分け方
  看護チームを分ける
  病棟・部署の組織図をつくる
 3 チームローテーションの方法を決める
  ローテーションは1年間を目途に
 4 役割の自覚を促す
  期待する役割を言葉で伝える
  自覚を促す師長の役割
  副師長(主任)になったら
 5 役割や業務内容を成文化する
 6 共同業務
  共同業務の実際
 7 勤務表の作成
 8 チーム目標の設定と年間計画の立て方
 9 チーム間の応援体制
  応援体制をつくる
  応援体制のポイント
 10 看護チーム活動とカンファレンス
  カンファレンスに参加する意識づくり
  情報共有の手段としてカンファレンスを運営
  カンファレンスの内容を充実させるために
  いつでもどこでも2人からカンファレンス
  業務調整のカンファレンス(ショートカンファレンス)
  ケースカンファレンスを定例化する
 11 地域包括ケアシステムでのカンファレンス
  多職種カンファレンス
  ビジュアル・カンファレンスの活用
 12 固定チームナーシングの評価
  固定チームナーシングチェックリストの活用

第4章 固定チームナーシングの取り組み
 1 一斉導入
  IMSグループの一斉導入と人材育成――IMSグループ本部看護部
  一斉導入後の再構築――イムス札幌内科リハビリテーション病院
  慢性期病院の一斉導入――愛全会愛全病院
  介護施設の一斉導入――IMSグループ クローバーのさと カウピリ板橋
 2 急性期病棟
  自治医科大学附属病院
  JA愛知厚生連江南厚生病院
  石巻赤十字病院
 3 外来
  市立宇和島病院
  鳥取県立中央病院
 4 救急・ICU
  大津赤十字病院
  JCHO 徳山中央病院
 5 手術室
  イムス東京葛飾総合病院
 6 周産期母性科病棟
  名古屋市立大学病院
  獨協医科大学病院
 7 小児病棟
  自治医科大学とちぎ子ども医療センター
  関西医科大学附属病院小児医療センター
 8 地域包括ケア病棟
  行徳総合病院
  芳珠記念病院
 9 回復期リハビリテーション病棟
  愛全会愛全病院
 10 医療療養病棟
  島根県済生会江津総合病院
  JA長野厚生連北信総合病院
 11 精神科病棟
  栗山会飯田病院
 12 人工透析室
  聖フランシスコ病院
 13 緩和ケア病棟
  JA愛知厚生連江南厚生病院
 14 重症心身障害者病棟
  国立病院機構松江医療センター
 15 訪問看護ステーション
  飯田市訪問看護ステーション

第5章 固定チームナーシング定着と人材育成のために
 1 看護部のフォローやバックアップ
  情報共有,情報供給
  院内・外へのはたらきかけ
 2 リーダー会,チーム会運営,院内交流
 3 中間評価
  中間評価の目的
 4 固定チームナーシングと人材育成
  固定チームナーシングラダー
 5 人材育成:新人ナース
  教育の目的・目標と方法
  新人ペア受持ち方式
  一般外科病棟のペア受持ち方式・経験録活用
  ICU・NICU・整形外科病棟のペア受持ち方式・経験録活用
 6 人材育成:日々リーダー,チームリーダー
  日々リーダーの育成
  急性期内科病棟における日々リーダーの育成
  チームリーダーの育成
  教育担当者としてのかかわり
 7 人材育成:看護補助者
  看護補助者(助手)研修
 8 リーダーシップの育成
  キャリアを考え時期を選んでリーダーに
  初めてチームリーダーになった人に
  スタッフを育成する師長のリーダーシップ
 9 チーム会・リーダー会を軌道にのせる

補章 入退院支援システムの導入と固定チームナーシングの小集団活動を活用した
     多職種協働

索引

COLUMN
 ・ナースの自立
 ・説得のリーダーシップ
 ・人間関係はストロークの交換から
 ・マネジメントとリーダーシップの両方が必要
 ・変化について
 ・動機づけるとは
 ・小児病棟(小児の混合科)における食の援助
 ・チームの活性化を図るポイント――副師長の役割を中心に
 ・シェアド・リーダーシップ
 ・パス・ゴール理論
 ・変革期のリーダーシップ
 ・小集団活動(チーム活動とグループ活動)を成功させる
 ・デスカンファレンス
 ・退院支援・退院調整カンファレンスの進め方
 ・退院後の電話訪問
 ・タイムライン time line
 ・固定チームナーシング導入の進め方
 ・リーダーシップ研修
 ・チーム会の上手な進め方
 ・固定チームナーシング認定指導者登録制度
 ・固定チームナーシングを維持するための動機づけ
 ・リーダーシップは学習できる
 ・新チームスタート前のリーダー研修
 ・師長・副師長・チームリーダー参加のディスカッションメニュー
 ・全部署合同チームリーダー会

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世代を越え,COVID-19の下で真価を発揮する固定チームナーシング
書評者: 代田 とみ子 (飯田市立病院看護部長)
 看護提供方式である固定チームナーシングは,患者・家族に対して「継続して責任の持てる看護を提供する」ことを第一の目的として,四半世紀にわたって進化し続けている。第4版の序文で,著者らは「いつの時代にも,時代の求める看護と決して変わらない看護を見極めながら仕事をしていきたい」と記している。

 固定チームナーシングは単に組織目標を達成するためのシステムではない。当院は1986年からこの方式を取り入れた。当時の看護部長は,初版が出版される以前に,提案者である西元勝子氏と出会い,この方式が紹介された書籍『看護チームの育成と運営―継続性のある看護をめざして』(医学書院,1985)に触発されたと聞く。

 当時から大方の病院では1病棟当たりの病床数が多かったため,特に新任者は病棟患者全員を把握し,安全な医療を提供することは,困難を極めていた。この看護提供方式では,高度急性期から回復期に至るまで,看護単位における患者グループ分けの工夫と看護チームの組織化が示されている。現在はPFM(Patient Flow Management)が導入され,在院日数の短縮が加速している。高齢者や合併症を持つ患者の退院支援は容易ではないが,患者グループの特徴や看護問題を捉えた看護チームが24時間を通して担当することで,早期の退院支援から,安全で責任を持った看護の実践が可能となる。

 当院看護部では,1998年に前述の看護部長が長野地方会を立ち上げ,次に続く看護部長は師長会を応用した小集団活動に力を注いだ。この34年間,人材育成や目標管理,実践課題の解決,多様な働き方を認めながらメンバーとしての役割を果たすことなど,時代に適応した看護サービスとリンクさせつつ,固定チームナーシングの定着を図ってきた。そして今,COVID-19という有事に対応している看護部長として,第4版を手元にその真価にあらためて注目している。

 危機的状況に直面し,全国の看護管理者は,職員を守りそして施設の役割を果たすために,日々心を痛めていると推察する。勿論私もその一人である。有事だからといって,普段と全く異なる体制が整えられるわけではない。

 当院では,感染症指定医療機関として受入れのための病棟を再編成した。任命された師長は新メンバーと病棟目標を作り,職員の実践能力や状況を踏まえたチーム編成,病棟内の動線とPPC(progressive patient care)を基盤に患者のグループ分けを行った。病院の緊急事態を受け,短期間に部署を再構築し,配置された職員は,平時から身につけた役割を発揮しながら看護を実践している。

 COVID-19の下で看護の責務を果たすため,看護提供方式の重要性をあらためて熟慮したところ,看護管理者としてこの優れた可能性を持つ固定チームナーシングを継続させていきたいと考えている。

 最後に,第4版は固定チームナーシングの導入から実際,さまざまな施設での取り組みの例,さらに定着と人材育成について整理されている。自施設の看護サービスの在り方に悩み,看護提供方式に疑問を感じている看護管理者の方に,ぜひ手に取ってほしい1冊である。
多くの課題が山積する今だからこそ活用したい固定チームナーシング(雑誌『看護管理』より)
書評者: 小澤 知子 (東京医療保健大学医療保健学部看護学科准教授)
 固定チームナーシングは看護提供方式の1つです。その特徴は,チームという小集団をリソースとして,施設の理念・目標から看護部そして病棟の目標,さらにはチームの目標へと連関させながらPDCAサイクルを繰り返していくところです。このシステムは,看護実践者としての思考過程,そして看護管理者としてのマネジメントシステムと非常に似ており,とてもなじみがあります。

 本書の冒頭では,初版(1999年)からこのたびの第4版までの序文が掲載されており,20年という時の中で,時代に応じて進化してきた固定チームナーシングへの著者の熱い思いに触れることができます。

◆看護実践力を高めるヒント

 まず前半では,固定チームナーシングは,小集団活動を主軸に目標を設定し,各自がチームの一員となり,それぞれの役割を果たす中で,人を活かし,共に成長し,組織全体の看護実践力を高めていくシステムであることが解説されています。

 特に,「ナースのリーダーシップ」をキーワードとして,現場の変革過程を示している項からは,導入に伴う迷いへの対応方法,スタッフへの支援や動機づけの方法を,また,固定チームナーシングで活用するチームワークシートを紹介する項からは,病棟運営に関する示唆を得ることができると思います。

 また,所々で掲載されているコラムからは,固定チームナーシングのベースとなる理論や事例に対する考え方とその根拠を知ることができ,活用のヒントを得ることができます。

 現在は,医療制度改革や働き方改革などの社会的ニーズ,ならびに,臨床現場の課題が山積しています。このような課題に対応する固定チームナーシングという道具を活用するためには,「5つの定義」を原則としながらも,状況に応じて使い方を工夫することで,期待する成果を得ることができると述べています。導入期は型を真似ることから開始しつつ,試行錯誤しながらやがて自部署に合った形に発展させていくことができる柔軟性と可能性を感じます。

◆多様なマネジメントのモデル

 本書の後半では,固定チームナーシングを導入している施設・病棟のベストプラクティスが掲載されています。病院,介護施設,訪問看護ステーションなど多様な場における実際の展開事例,また,看護組織だけにとどまらず多職種連携において小集団活動を活用した事例は,現場の実状に合わせて工夫したマネジメントのモデルとして,非常に参考になります。

 本書は,固定チームナーシングを既に導入している施設では,運営の振り返りや評価に使用でき,また,導入していない施設においては,病棟マネジメントにおける新たな気づきを得ることができると思います。ぜひ,マネジャーやリーダーに読んでいただきたい1冊です。

(『看護管理』2020年10月号掲載)

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