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がん疼痛緩和の薬がわかる本 第3版

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好評書として定着した本書が、取りあげる薬剤をさらに充実させた。がん疼痛緩和の薬の効用や副作用、アセスメント、選択・使用の考え方がわかりやすく解説され、症例が豊富にあげられているので、より理解が進む。がんの痛みの理解から、非オピオイド鎮痛薬、オピオイド、鎮痛補助薬まで取りあげた、臨床のエッセンス満載の1冊。
余宮 きのみ
発行 2019年06月判型:A5頁:292
ISBN 978-4-260-03895-9
定価 2,530円 (本体2,300円+税)
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第3版の序

 このたび、ありがたくも本書の第3版を執筆する機会を頂きました。第2版から3年の月日が経ち、この間にがん疼痛緩和についての薬、がん患者さんの疼痛治療の質を向上させる新たな薬剤が使用できるようになりました。また高齢化に伴い、薬物相互作用の問題もクローズアップされてきています。時代の流れとともに私たち医療者も前進する必要があります。
 本改訂では、新たな道具(薬)として使えるようになったヒドロモルフォン、メサドン、鎮痛補助薬としてのミロガバリン、ラコサミド、さらにナルデメジン、リナクロチドを含めた数多くの便秘治療薬を追加し、さらに薬物相互作用について詳述するなど、大幅な加筆修正を行いました。
 第3版も「難しいことを易しく理解できるように」「臨床現場で役立つ」という本書のコンセプトを大切にしながら執筆しました。
 本書を通じて、がん疼痛治療への理解が深まり、疼痛治療の道具である薬をよく理解して、患者さんのためにうまく使いこなせるようになれれば嬉しく思います。
 本書を手に取ってくださる方を通して、患者さんの満足する疼痛治療が実現することを心より願っております。

 2019年春
 余宮きのみ

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第1章 がんの痛みとがん疼痛治療の基本がわかる
 がんの痛みがわかる
  痛みとは
  3種類の痛み
  がんの進行とともに痛みは変化する
  痛みの心理面への影響
 痛みの評価ができる
  評価のポイントは問診
  問診で確認する情報
  大切なのは継続的なアセスメント
  痛みについての質問が負担な患者への極意
  画像診断にも目を向ける
 がん疼痛緩和の基本は薬物療法
  がん疼痛治療の夜明け
  WHO方式の成功の秘密
  WHO三段階除痛ラダーをのぼる

第2章 非オピオイド鎮痛薬がわかる
 非オピオイド鎮痛薬
  NSAIDsとアセトアミノフェン
 NSAIDs
  NSAIDsの副作用
  NSAIDsの選択にひと工夫
 アセトアミノフェン
  アセトアミノフェンの有用性
  使用にあたっての注意点

第3章 オピオイドがわかる
 オピオイド
  オピオイドとは
  オピオイドの分類
  オピオイドによる依存、耐性
  オピオイドを飲みたがらない場合の対処
  オピオイドの副作用
 オピオイドの使用にあたって
  どんなときにオピオイドを開始するか
  生活支援
  レスキュー薬
  タイトレーション
  医師への伝え方
 弱オピオイド─WHO三段階除痛ラダー第二段階のオピオイド
  共通点は有効限界があること
  弱オピオイドの出番
  強オピオイドへ変更するとき
 コデインリン酸塩
  コデインの概要
  コデインの魅力
  コデインを服用している患者のケア
  強オピオイドへ変更するとき
 トラマドール
  トラマドールの概要
  トラマドールの魅力
  トラマドールを服用している患者のケア
  相互作用
 強オピオイド─WHO三段階除痛ラダー第三段階のオピオイド
  強オピオイドの強み
  強オピオイド製剤の種類と選択
 モルヒネ
  モルヒネの概要
  豊富な剤形が魅力
  モルヒネ製剤の種類
  モルヒネを服用している患者のケア
 ヒドロモルフォン
  ヒドロモルフォンの概要
  ヒドロモルフォンの魅力
  ヒドロモルフォン製剤の種類
 オキシコドン
  オキシコドンの概要
  オキシコドンの魅力
  オキシコドン製剤の種類
  相互作用
 フェンタニル
  フェンタニルの概要
  フェンタニルの魅力
  フェンタニル製剤の種類
  フェンタニル注射剤
  フェンタニル貼付剤
  フェンタニル口腔粘膜吸収剤―突出痛治療薬
  相互作用
 タペンタドール
  タペンタドールの概要
  タペンタドールの魅力
  タペンタドールを使用している患者のケア
  副作用対策
  開始後のケア
  相互作用は少ない
 メサドン
  メサドンの概要
  メサドンの魅力
  メサドンの導入
  メサドン使用中
  メサドンが飲めなくなったら
 腎障害の影響
  腎障害下でオピオイドを使用するとき
  オピオイド使用中に腎機能が悪化したとき
  腎障害下でモルヒネを使用するときのケア
  クレアチニン値の落とし穴
 肝障害の影響
  肝血流をチェックする
  投与量と増量間隔
 オピオイドスイッチング
  換算の方法
  オピオイドスイッチングをしてもうまくいかない場合
 投与経路の変更
  投与経路の選択
  非経口投与は副作用が少ない
  先行オピオイドの減量・中止のタイミング
  持続注射のポンプ
  PCAシステム

第4章 鎮痛補助薬がわかる
 鎮痛補助薬
  鎮痛補助薬とは
  鎮痛補助薬の出番は
  どの鎮痛補助薬を選択するか
  使用のコツはアセスメント
  鎮痛補助薬使用にあたってのケア
  効果判定―どれくらいで効いてくるのか?
  鎮痛補助薬はなぜ効くのか
 抗けいれん薬
  抗けいれん薬の使用方法
  ミロガバリン(タリージェ®)、プレガバリン(リリカ®
  クロナゼパム(ランドセン®、リボトリール®
  バルプロ酸ナトリウム(デパケン®、バレリン®
  カルバマゼピン(テグレトール®
  ラコサミド(ビムパット®注)
  ミダゾラム(ドルミカム®
 筋弛緩薬
  バクロフェン(ギャバロン®、リオレサール®
 抗うつ薬
  鎮痛補助薬としての抗うつ薬
  三環系抗うつ薬―ノルトリプチリン、イミプラミン、アミトリプチリン、
     クロミプラミン
  デュロキセチン(サインバルタ®
 NMDA受容体拮抗薬
  ケタミン〔ケタラール®静注用(“1%ケタラール” 10mg/mL)、
     ケタラール®筋注用(“5%ケタラール” 50mg/mL)〕
  イフェンプロジル(セロクラール®
 抗不整脈薬
  リドカイン(2%キシロカイン®注射)
  メキシレチン(メキシチール®
 コルチコステロイド
  ステロイドの種類
  ステロイドの使用方法
  早期から出現する副作用
  長期投与による副作用

索引

NOTE
 心因性疼痛
 「痛い」の本当の意味を探る
 痛む部位の変化を見極める
 NSAIDsの作用を理解しよう
 COX-2阻害薬について
 食事中の苦痛にアセトアミノフェンで対応する
 アセトアミノフェンによる肝障害
 作動薬と拮抗薬
 オピオイドの鎮痛作用
 「麻薬」という言葉がもつ力
 実は誰もがオピオイドにお世話になっている
 予防的な制吐薬への考え方
 ナルデメジンの予防的投与
 制吐薬の副作用を知っておこう
 ペンタゾシンとブプレノルフィン
 注意転換で痛みが変わる
 レスキュー薬は空腹でも服薬してよい
 胸水・腹水の影響をどうとらえるか
 コデイン、トラマドール特有の事情
 トラムセット®配合錠
 作用時間の違いによる選択
 ヒドロモルフォン注は持続皮下投与で安心してタイトレーションできる
 フェンタニル貼付剤をいきなり使用する場合のケア
 鎮痛効果の実感に合わせて調整する
 衰弱による嚥下障害の場合はどうする?
 フェンタニル口腔粘膜吸収剤の薬物依存
 きちんと有効用量までタイトレーションする
 効果不十分だった場合に、すぐタイトレーションするかどうか?
 フェンタニル口腔粘膜吸収剤と速放性製剤の使い分けの説明方法
 舌下錠の使用では唾液の多い患者は要注意
 溶けにくい可能性を念頭において説明しておく
 フェンタニル口腔粘膜吸収剤が毎日4回以上必要になる場合
 バッカル錠と舌下錠は1:1での交換はしない
 タペンタドールの最高用量
 タペンタドールの神経障害性疼痛に対する効果
 便利な換算表
 持続皮下注
 持続静注
 鎮痛補助薬をメカニズムから整理すると
 ミロガバリンの特徴
 ステロイドはなぜ痛みに効くのか

CASE
 痛みのきっかけから、突出痛の予見可能性を把握してケアにつなげる
 NSAIDsによるせん妄
 痛みの評価によって鎮痛薬をやめられた
 剤形の選択により服薬を促すことができた
 痛みが強くなる時間帯で薬剤を選択した症例
 胸壁浸潤により夜間だけ痛みが出現する患者
 経口ヒドロモルフォンの利点を実感した症例
 オキシコドンとの薬物相互作用が疑われた症例
 嚥下障害や腸閉塞がある患者では例外的な使用もありうる
 眠気を回避し、高いQOLを保てた
 薬価―即効性が重要な場合には、安価になることも
 腎障害下の患者にとって望ましい選択とは
 肝血流が低下する要因を把握する重要性を感じた症例
 痛みやレスキュー薬使用の状況によって投与量を決める
 症状の原因検索の重要性を痛感した症例
 経口剤から注射剤へと変更した症例
 12時間徐放性経口剤から貼付剤へと変更した症例
 24時間徐放性経口剤から貼付剤へと変更した症例
 注射剤から徐放性の経口剤へと変更した症例
 注射剤から貼付剤へと変更した症例
 貼付剤から注射剤へと変更した症例
 鎮痛補助薬でアロディニアが軽減した症例
 プレガバリンの副作用がでたが、減量し有効だった症例
 クロナゼパムが有効だった症例
 バルプロ酸ナトリウムが有効だった症例
 突出痛に対してバクロフェンが有効だった症例
 デュロキセチンによる食欲不振が持続した症例
 ケタミン注射で迅速な鎮痛を得た難治性疼痛
 漸減法と漸増法の症例

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看護師ができること,やるべきことがわかる実践書
書評者: 神山 智秋 (ベルランド総合病院・がん性疼痛看護認定看護師)
 著者は,学生のころから緩和ケア医を志し,リハビリテーション科を含むさまざまな診療科で研鑽を積み,緩和ケア医となっています。また,長年緩和ケア医として従事し,その経験から緩和ケア関連学会でも重役を担い活躍しています。そして,日々患者と向き合って得た経験と知識を生かし,専門書の執筆や全国で緩和ケア関連の講演を行っており,その講演は看護師の人気が大変高いです。

 その著者による本書『がん疼痛緩和の薬がわかる本』は,さまざまな薬剤の登場とともに初版から第2版へと改訂されてきました。そして,その後も新たなオピオイド(ヒドロモルフォン)が発売され,「今あるオピオイドでいいんじゃないの?」「今までのオピオイドとどう使い分けたらよいの?」と混乱していた医療者にとって待望の第3版が今般,発行されました。

 この本では,非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsなど)とオピオイド,そして,それらと併用することで鎮痛効果を高める場合がある鎮痛補助薬など,「がん自体による痛み」に使用される全ての薬剤について書かれています。中でもオピオイド,モルヒネから最近使用できるようになったヒドロモルフォンまで,それらの概要や魅力,注意点などが具体例とともに記されています。薬剤の比較やメカニズムをわかりやすく図や表にまとめており,具体的な処方例だけでなく,オピオイド副作用を予防,対処する薬剤,そして今,問題視されている薬物相互作用についても網羅されています。看護師の私たちが読んでも十分に理解できる言葉で記述されており,イメージしやすい内容になっています。また,「医師がどのような情報を必要としているのか」という看護師が知りたい点も記されてあり,読んだその日から生かせる内容です。

 私は,がん疼痛看護を専門とする認定看護師として,日々医療用麻薬を取り扱い,どうすれば患者の痛みが軽減するのかを考えながら看護を実践し,また,看護師に疼痛看護について伝える立場です。この本を通して医師の視点や考え方を知り,著者のアプローチ方法と自分の方法を比較したりしながら活動しています。この本を読み進めると,著者が日頃からいかに看護師を観察し,看護の仕事を理解しているかがわかります。「医師の指示はなくとも看護師が鎮痛できることは多くあります」「そんなときこそ看護師の出番です」とがん疼痛をマネジメントする上で「看護師の役割」がいかに大切かを伝え,「生活のなかの痛みの原因について考える」「どうすれば,痛みを生じさせずに生活できるか」と,どうやって看護に生かすのかまで導き,「看護師ができること」「看護師がやるべきこと」を詳細に記しています。「看護師だからこそ」という大切な視点を他職種に気付かされ,正直「悔しい」とさえ感じます。

 がん患者の痛みとその対処法を理解することで,その日から実践する看護が変わります。この本は,「がんの痛みで苦しむ患者」の看護を実践している看護師に向けた著者からのエールであり,ニードであると思います。がん患者と向き合う看護師にお薦めしたい一冊です。
著者の優しさで,がん疼痛治療を易しく理解!
書評者: 伊勢 雄也 (日医大病院薬剤部長)
 ヒドロモルフォンやメサドンなど,がん疼痛に対するオピオイド製剤が数年の間に相次いで登場し,個々の患者の疼痛や病態に適応した治療が行えるようになりました。また,オピオイド製剤以外にもナルデメジンといった副作用対策の薬剤も発売され,緩和医療分野における薬物治療は新しい時代に突入したといっても過言ではありません。しかし,これらの薬剤は痛みに苦しむがん患者にとって有用である一方,使い方を間違えれば重篤な副作用を発現する可能性があります。例えば,メサドンはQT延長などの致死的な不整脈を発現する可能性があり,使用の際には定期的に副作用をモニターしなければなりません。また,ナルデメジンも下痢などの消化器症状に十分注意しなければなりません。そのため,緩和医療の分野でも知識を日々アップデートしていくことが必要です。

 本書は「難しいことを易しく理解できるように」「臨床現場で役立つ」というコンセプトのもと記載されており,緩和ケアをこれから学ぼうと思っている薬剤師の方々や学生でも,個々のがん疼痛治療薬の有効性や副作用を短時間で学べるよう,たくさんの工夫がなされています。

 本文を読めばがん疼痛やその治療薬の知識を習得でき,それだけでなく,「NOTE」を読めばそれに関連した現場ですぐ使える「豆知識」も学べます。例えば,p.89のNOTE「レスキュー薬は空腹でも服薬してよい」では,何か食べてから服薬しないと胃に悪い,と患者は思い込んでいることが意外と多い,と記載されています。通常,薬剤師は「レスキュー薬は痛いときに服用してください」と食事のことは情報提供せずに患者に指導しますが,今後は食事のことなど,細部にも気を配って指導しなければいけないと思いました。

 また,実際の症例が「CASE」の項目に記載されているので,各症例における薬剤の実際の使い方,よかった点や難渋した点なども同時に学ぶことができます。p.134のCASEでは,現在は武器(薬)の数が以前より多くなったため,細やかな調整が可能となっていることをあらためて学ぶことができました。

 このように,がん疼痛治療を易しく理解できるだけでなく,著者の読者に対する優しさ,愛情がさまざまな箇所に散りばめられており,明日から臨床現場で使える知識がふんだんに盛り込まれた書籍となっています。また,文字の大きさや行間,カラー刷り,イラストなど細かいところまで配慮されており,とても読みやすい工夫がなされています。ぜひ一読をお薦めしたい一冊です。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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