心電図道場

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心電図を読めるようになりたければ、心電図を読むしかない。そのとき各誘導と波形の意味を考えながら読み進めば、いつしか名探偵のように、波形の向こうにある問題が推理できるようになる。臨床心臓病学のエキスパート、ドクター高階とともに30事例の12誘導心電図のリーティングに挑もう。
高階 經和
発行 2005年07月判型:AB頁:248
ISBN 978-4-260-00108-3
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

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はじめに
イラストでチェックしよう!
心電図って何だっけ?

門前:心電図を読むための13チェック項目
 1. 較正曲線/2. 心拍数/3リズム/4. PR感覚/5. P波/6. QRS群/
 7. QT感覚/8. 平均電気軸/9. 胸部誘導におけるR波の増高/10.
 異常Q波/11. ST部分/12. T波/13. U波

入門:心電図道場30番
 1の門~30の門

門の後
 心電図クイズ答え
 索引
 参考図書案内

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大盛況の講座を紙上に再現
書評者: 木野 昌也 (大阪医科大学内科臨床教育教授/臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)会長/北摂総合病院院長)
 心電図道場? この本のタイトルとなっているこの言葉を前に多くの人が「何?」と疑問に思われるに違いありません。「心電図道場」は,著者が理事長を務める(社)臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)で大好評を博している講習会の名称です。ジェックスは1985年に大阪で誕生。2004年には「アジア・ハート・ハウス」を設立し,国際的な視野で臨床心臓病学の教育研修を行っている団体です。入門者として登場する6人の生徒は,ジェックスの「循環器専門ナース研修コース」の卒業生たちです。心電図道場にて修練を積んだ後,今や各地の循環器専門病院で指導者として活躍中です。ジェックスの講座は,毎回,募集とともにあっという間に定員に達しています。土曜,日曜毎に開催される研修会に出席するために,北海道から沖縄まで全国各地から飛行機や新幹線で駆けつける人気の講座です。この本はジェックスの心電図道場をそのまま再現しているのです。

 心電図の習得には近道はありません。毎日,毎日,コツコツと心電図を読む鍛錬を続ける必要があります。正に道場そのものです。心電図道場では,30の門(症例検討の道場)に分けて指導が行われます。生徒たちは,あなたに代わって心電図を1枚ずつ,著者と共に読み込んでいきます。その課程は,心電図というたった1つの手懸りをもとに病態を推理していく楽しさ,まるでシャーロック・ホームズになった気分で,事件を解決していくスリルがあります。これがジェックス「心電図道場」が大好評を博している秘密です。

 (1)較正曲線,(2)心拍数,(3)リズム,(4)PR間隔,(5)P波,(6)QRS群,(7)QT間隔,(8)平均電気軸,(9)胸部誘導におけるR波の増高,(10)異常Q波,(11)ST部分,(12)T波,(13)U波,の13のチェック項目を確認しながら,1つひとつ読み進んでいきます。この手順が心電図を習得する最も大切な基本なのです。質問と解答のページでは,カラーシートを使用して正解を隠しながら,質問に答えていきます。読者が1日1門ずつ,先輩ナースと共に読み進めば,心電図の基本が自然と身に付き,30門を終了する頃には免許皆伝の実力がつくでしょう。たくさんの図や漫画が使用され,解説は実に明快。掲載された心電図は,大きく鮮明です。これから,循環器を勉強しようとするすべての方に一読をお勧めしたい書です。

心電図に対する苦手意識を克服したいあなたへ(雑誌『看護学雑誌』より)
書評者: 山内 豊明 (名古屋大学医学部教授・基礎看護学講座)
 このたび,『心電図道場』という画期的な書籍が上梓された.本書は,高階先生が臨床実践家としての50年以上の経験を,私たち後輩にいかに伝えていくかについて,紙面にライブ展開したものである.

◆「日常語」「身体語」「臓器語」を聴き取るワザの伝授

 患者さんからは,患者さん個人の生活体験を通して伝えられる「日常語」,患者さん自らの身体を通して医療者の五感に訴えることができる形で表現する「身体語」,そして検査などで読み取れる「臓器語」の3つの言語が発せられている.これらすべてを総合的に把握することで,患者さんを多面的・立体的に捉えることは,医療者として不可欠な能力であり,そのためにも医療者たるものは職種にかかわらず,それぞれに精通していなければならない.

 心電図は,このうちで「臓器語」として最も身近にあるものであり,生体内の現象を私たちが把握できる形にしたものである.その把握については,ミネソタコードのような方式を適用すればパターン認識できないわけではない.しかし,私たち医療者のゴールは認識装置になることではないはずである.

 本書は,単に心電図を収録し,その波形パターンを解説したものに留まらない.心電図をパターンとして認識すること自体も不可欠な切り口であるが,まず“どのような「日常語」や「身体語」を語っている患者さんの心電図であるか”から各章が始まっている.それに引き続き,パターン自体を間違いなく認識できているかについて確認し,次いでそのパターンの意味するところを理解していくように,根拠や理論背景と結びつけながら進む.

 さらに本書の最大の価値は,その次の「ナースが行うケア」であろう.ここには豊富な臨床経験をお持ちの階先生ならではの珠玉の言葉が散りばめられている.ここだけを集めても十分にあまりある内容であり,その一言ひとことから,患者さんの視点に立った臨床家の温かく深い思いを授かることができる.ここにあることは「ナースが……」ではなく,「医療者が……」と,あらゆる医療者が心すべきものであると確信する次第である.

◆達人に学ぶ幸せを味わいたい

 本書がその名を「道場」というとおり,先生は私たちに単なる技法を教授するのではなく,「道」と呼ぶに相応しい本質的な捉え方を伝授してくださろうとしている.

 本書を読み進めていると,新人であった頃,経験の未熟な私に,指導者であった先輩が納得のいくまでとことん夜を徹してつきあってくださった日々を思い出さずにはいられない.マンツーマンで教わることが時間的にも難しくなっている今日,心電図のみならず臨床家としての達人である高階先生が,本書を開くたびに私たちのためにいくらでもつきあってくれるのは,他には代え難い幸せであると思う.

(『看護学雑誌』2005年11月号より)

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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