整形外科学 第2版

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本書は整形外科学を系統的に理解することを目的としており,国家試験の参考書的な内容に止まらず,またリハビリテーションに限定した事項のみを取り扱っているわけでもない。運動器障害の基礎的知識を十分に習得し,それを理解し応用できるように記述している。改版にあたり,読者の方々から寄せられた貴重なご意見をもとに,さらにわかりやすく,丁寧な解説を心掛けた。
シリーズ 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野
シリーズ監修 奈良 勲 / 鎌倉 矩子
執筆 立野 勝彦
発行 2005年03月判型:B5頁:196
ISBN 978-4-260-26631-4
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 目次
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序説 PT・OTと整形外科のかかわり
第1章 整形外科基礎知識
第2章 運動器の評価および検査法
第3章 整形外科的治療法

○整形外科疾病論
第4章 炎症性疾患
第5章 代謝・内分泌性疾患,退行性疾患
第6章 先天性骨・関節疾患
第7章 循環障害と壊死性疾患
第8章 骨・軟部腫瘍
第9章 神経・筋疾患
第10章 脊椎の疾患

○外傷性疾患
第11章 骨折
第12章 脊髄損傷
第13章 関節における外傷性疾患
第14章 末梢神経における外傷性疾患
第15章 腱・靱帯における外傷性疾患
第16章 スポーツ障害
第17章 熱傷
第18章 切断および離断

セルフアセスメント
索引

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理学療法士・作業療法士に必須の内容をすべて網羅
書評者: 古川 宏 (神戸大教授・保健学科)
 このたび,立野勝彦先生著『標準理学療法学・作業療法学専門基礎分野整形外科学 第2版』が医学書院から刊行された。著者の立野勝彦先生はわが国で最初に理学療法・作業療法の大学教育制度を金沢大学で立ち上げ,その後30年の長きにわたり整形外科・リハビリテーションの専門医として理学療法・作業療法の教育に携わっている第一人者である。豊富な臨床経験に基づいて運動器疾患とリハビリテーション医学との関連性を考慮しながら教授した集大成が,2000年の初版として結集されたものと推測される。今般,著者は第2版の「序」で「(初版から5年間の間の)読者や教科書として使用している先生方の意見を参考にして紛らわしい表現や図をていねいに,わかりやすく改変し,図を新たに追加した」としている。第2版を拝見すると「序」で記述の通り,図,イラスト,写真,表現も一層精選されて本来広範で難解な疾病構造の変遷,細分化された整形外科の診断法や治療法もわかりやすく,スムースに頭に入っていく。これは,著者が初版から「広く整形外科学を系統的に理解することを目的とし,(中略) 運動器障害の基礎的知識を十分に習得し,それを理解応用できるように記述したつもりである。基礎的知識を十分に理解してくれるように特別な解説を加え,国家試験にも対応できるように工夫した」と一貫して述べているように,読者である学生や若い理学療法士,作業療法士への温かい配慮がみられる。

 序説でPT・OTと整形外科のかかわりを概説して重要性を簡単に述べた後,第1章の整形外科基礎知識では,骨,関節,骨格筋,神経系の基本構造と病態生理,第2章で運動器の評価および検査法,第3章で整形外科的治療法の総論を簡潔に体系づけてまとめて述べている。第1章から第3章では臨床現場で見られる基本的症状とその原因を解説し疾病論に必要な基本的知識の整理を行っている。重要な用語については,「NOTE」で定義および解説を簡潔に表記している。また,一歩進んで学習しておくべき事柄は「Advanced Studies」で解説している。各章の最初の「学習目標」,各章の最後の項目「理学・作業療法との関連事項」,各章のまとめ「復習のポイント」は,箇条書きで重要事項の総復習,自己学習に大変役立つ。第4章から第7章の整形外科疾病論では,第4章 炎症性疾患,第5章 代謝・内分泌性疾患,退行性疾患,第6章 先天性骨・関節疾患,第7章 循環障害と壊死性疾患,第8章 骨・軟部腫瘍,第9章 神経・筋疾患,第10章 脊椎の疾患と疾患別にわかりやすく分類されているので,とかくそれぞれの病名をバラバラに記憶して頭が混乱する愚を防ぎ類似疾患との対比がしやすくなっている。写真やイラストがわかりやすいのは理解の助けになっている。第11章から第18章の外傷性疾患では,第11章 骨折,第12章 脊髄損傷,第13章 関節における外傷性疾患(捻挫,脱臼),第14章 末梢神経における外傷性疾患,第15章 腱・靭帯における外傷性疾患,第16章 スポーツ傷害,第17章 熱傷,第18章 切断および離断,という整形外科の理学療法で最も多い対象となる分野の原因,症状,治療法が簡潔に記述されている。

 最後に,セルフアセスメントとして各章から2―3題合計41題の代表的な問題を国家試験形式で出題し,解答と解説で復習と知識の整理をしている。

 ベテランの整形外科医,リハビリテーション専門医として理学療法・作業療法の学生に整形外科学を教授してきた立野勝彦先生が理学療法士・作業療法士にとって必須な内容をすべて網羅した本書は学生や経験年数の少ないコメディカルスタッフにお勧めしたい教科書である。

医療従事者を志す学生の模範的な教材
書評者: 上好 昭孝 (河崎学園・河崎医療技術専門学校校長)
 障害をもったヒトの治療に直接携わるリハビリテーション医療従事者の一員である理学療法士,作業療法士をめざす学生にとって,運動器疾患・障害を取り扱う整形外科学は重要な必修教科である。

 本書は整形外科学の解剖学,生理学をはじめ,運動器疾患の機能評価などについての基礎知識の要点が簡潔かつ明確に記されており,また随所に理解を助けるための図説が取り入れられた教科書となっている。さらに臨床の場に出てから知っておくべき運動器障害をきたす基本的な疾患が緻密に選択されている。著者は大学医学部の保健学科という現場で学生教育に携わり,活躍している教育者としての鋭い視点で,基本的な整形外科学の必修の内容をもれなく概説し,学生に興味を持たせ理解しやすくする工夫をいたる所でされている。

 ユニークな点は,各章のはじめに何を学べばよいのか学習目標が記されていることである。また章の終わりには各自が知識の整理・まとめを行うための復習のポイントが書かれている。さらに,基礎的な重要事項はNOTEとして,より幅広い知識を獲得できるように,一歩進んで学習しておくべき点はAdvanced Studiesとして記されている。本文の最後には自己の知識と理解度を確認するための工夫としてセルフアセスメントがあり,著者の面目躍如たるものを感じる。

 本書では,多くのことを学ばなければならない学生が,将来現場で医療に従事する時に必要となる基本的な整形外科学の知識を獲得することが可能になっている。PT,OTをめざす諸君らの教育に携わるわれわれも教材として利用でき,教授しやすくなり多いに参考となる。当然学生にとっては講義はもちろんのこと,自己実習においても座右に置くことで参考となり,有用なものになると思われる。

 このように現在出版されている教科書の中で,医療従事者の道を目標として勉学する学生にとって,必要な整形外科的知識と学習のポイントが示されていて使いやすい数少ない教科書となっている。構成も細かい点に眼が行き届いており,教える側,教えられる側の両面からみても有意義な教科書と言え,大いに推薦に値するものである。

 本書は医療従事者を志す学生のための専門基礎分野の整形外科学の模範的な教材である。

簡潔・平易で漏れがない,理想的な教科書
書評者: 齋藤 宏 (東京医療学院学院長)
 臨床医学を医療技術の専門職に講義する時,どれほどの範囲を解説したらよいのか,誰しも頭を悩ませるところである。詳細に過ぎては時間数が不足となり,かといって漏れがあっては国家試験に合格しない。執筆者の立野勝彦先生は整形外科学を修められた後,金沢大学医学部保健学科教授に就任され,理学療法士や作業療法士の教育にも長く携わっておられる。このような立場で著された本書は,運動器障害を扱う両療法士にとって知っていなければならない項目について,膨大な量の整形外科学の中からminimal essentialのみをバランスよく抽出して記載されている。

 2000年に初版を刊行されてから5年目に第2版の上梓となった。章立ての構成や豊富な図表が組み込まれているのはほぼ初版と同様である。大腿骨頭すべり症が壊死性疾患から代謝・内分泌性疾患の項目に置き換えられている。成書によっては外傷性疾患に分類されているものもあり,病態・原因・症状のいずれの立場によるかに依存する事柄である。知識の整理に有用な〈Advanced Studies〉や〈NOTE〉は,骨の発生と成長のホルモンとビタミン,神経学的評価の感覚検査と反射,関節リウマチの関節拘縮と変形,骨粗鬆症などについて新たに加えられたものや内容を充実したものもある。図表については,皮膚髄節支配の図がわかりやすく書き換えられ,大腿骨頭すべり症,側彎症のCobb法による計測法の図が新たに加えられている。表では脊髄損傷のASIA機能障害分類が新たに記載されている。巻末の〈セルフアセスメント〉は問題数が増加され,より充実したものとなっている。

 スポーツ傷害と切断および離断の2つの章は独立し,それらの占める比率が全編のうちでも相対的に大きいものとなっている。最近,スポーツの世界でトレーナーやセラピストとして活躍することを希望する理学療法士が増加している。スポーツ傷害の予防法,応急処置法や能力向上などが簡潔に記されており,さらにスポーツの種類と疾患の種類と部位,慢性的な負荷で引き起こされる障害についての記載は,この方向を志すものにとって大いに役に立つ。

 四肢の切断と義肢についての知識は理学療法士,作業療法士にとって必修の領域である。最新の知見を含めて主要な項目が記載されている。

 ちなみに平成17年度の理学療法士・作業療法士国家試験の共通問題のうち,整形外科学に関する問題を本書のみによって解答を導き出したところ,全問を正解することができた。簡潔,平易でしかも漏れがない内容の本書は教科書として,また自己学習の参考書として最適のものと考え広く推薦したい。

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