日進月歩の医学の進歩を逃さず,かつ日常臨床に役立つ洗練した情報を提供する内科医必読の座右の書
内科臨床誌 medicina

43巻6号(2006年6月号)
今月の主題  ベッドサイドの免疫学-免疫疾患に強くなるために
(目次詳細・ご注文はこちら!)

三森経世(京都大学大学院医学研究科臨床免疫学)

 近年の免疫学の発展は見覚ましく,免疫系を構成する基本的なしくみに関与する細胞や分子およびそれらのネットワークが次々と明らかにされている。医学のあらゆる領域において免疫がかかわる疾患や病態は非常に多く,自己免疫疾患,アレルギー,免疫不全など免疫の異常が発症に直接関与する疾患のみならず,感染症,癌,移植などにも免疫は重要な役割を果たしている。近年はトランスレーショナル・リサーチが盛んで,特に免疫学の分野におけるBench(研究室)の基礎的研究成果がBedside(臨床現場)に直結する研究が脚光を浴びている。しかし,このような知識と情報の流れは決して基礎から臨床への一方通行ではなく,逆にBedsideからBenchへ,すなわち患者や病気を通して発見される臨床の知見が,免疫学や細胞分子生物学における基礎的知識の発展に貢献することが決して少なくない。

座談会
「基礎免疫学と臨床免疫学のクロストーク」
 本日は,『medicina』2006年6月号特集の座談会「基礎免疫学と臨床免疫学のクロストーク」にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 近年は,translational researchがさかんで,特に,translational researchにおける免疫学の役割は非常に大きいのですが,このことは決して,基礎医学から臨床医学への一方通行ではなく,from bedside to bench,つまり患者さんを通して発見される臨床現場の知見が,免疫学や細胞生物学の基礎的知識の発展に貢献していることが少なくないと思います。
 そういう観点から,本日は,免疫学の基礎と臨床の双方向のクロストークによって,免疫学がどのように展開されてきたか,また,これからどのような発展をしていくかについてお伺いしたいと思います。
小安重夫氏 西本憲弘氏 渡辺守氏 三森経世氏(司会)
慶應義塾大学
医学部
微生物学・免疫学
大阪大学大学院
生命機能研究科
免疫制御学
東京医科歯科大学
大学院消化器病態学
京都大学大学院
医学研究科
臨床免疫学
内科認定医・専門医試験対策に!!
今月の主題
「理解のための31題」
(力だめしにいかがでしょう。解答は本誌掲載)
連載
しりあす・とーく
新医師臨床研修制度が実施されて2年が経過し,必修化後初となる研修修了者が誕生した。新制度の目玉とも言える「スーパーローテーション研修」は研修医,指導医にどのようなインパクトを与えたのだろうか? 「しりあす・とーく」では,今回から3回にわたり一巡した新医師臨床研修制度を検証する企画を組んでみた。第一回は「スーパーローテーション」そのものについて,研修医,指導医両方の立場からご議論いただいた。

第15回  スーパーローテーションの功罪 検証!新医師臨床研修制度(前編)


前野哲博氏〈司会〉 石丸裕康氏 鳥居秀成氏 下山祐人氏
筑波大学附属病院・総合臨床教育センター 天理よろづ相談所病院 総合診療教育部 慶應大学病院・眼科,横浜市立市民病院研修修了 東京女子医科大学・循環器内科,湘南鎌倉総合病院研修修了
病理との付き合い方 明日から使える病理の基本【実践編】
病理診断が病名の決定,治療方針の決定,治療効果および予後判定に重要な役割を果たす,ということはすでに総論を読んだ読者には十分理解していただいたと思う。本号からの実践編(各論)では,臓器別に具体的な病理との付き合い方を学ぼう。

第5回  リンパ節

加留部謙之輔(久留米大学医学部医学科病理学)
医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために
忙しい日常臨床の現場では,医療事故対策を立てても,しばしば「絵に描いた餅」となってしまい,実際に防止効果をあげていない場合が少なくない。対策は現場での「実践」の観点から講じる必要がある。本連載では,沖縄県立中部病院の臨床研修・医療事故に関する取り組みを交えながら,主に研修医がかかわる医療事故対策について考える。

第6回  倫理について考える-問題共有の方法論

本村和久(王子生協病院・内科)
できる医師のプレゼンテーション-臨床能力を倍増するために
プレゼンテーションは診療現場において,きわめて重要な臨床能力の1つである。「質の高い研修」,「質の高い患者ケア」,プレゼンテーションの良し悪しは実はこれらを大きく左右する。本連載では,臨床医にとって必要な「プレゼン技術」の基本をわかりやすく示す。

第3回 プレゼンテーションの準備-フォーマット 総論

川島篤志(市立堺病院・総合内科)
研修おたく海を渡る
アメリカでの研修も3年が過ぎ,今回,光栄にも散文を連載させてだくことになりました。内科研修3年間の振り返りと,はじまったばかりの腫瘍内科研修での日常を織り交ぜながら,小話に使ってもらえるような話題を提供できればと考えています。毎回おちがつくといいのですが。どうかよろしくお願いします。

第6回  学生は味方?

白井敬祐
目でみるトレーニング
1994年から続いている雑誌「medicina」の名物連載。写真・画像を中心とした「症例提示」と症例に関する「問題」,「解答と解説」からなり,クイズを通して症例疾患への理解を深める。