日進月歩の医学の進歩を逃さず,かつ日常臨床に役立つ洗練した情報を提供する内科医必読の座右の書
内科臨床誌 medicina

43巻10号(2006年10月号)
今月の主題  皮膚から見つける内科疾患
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宮地良樹(京都大学医学部皮膚科)

 最近の高度先進医療病院における内科診療は機器診療とチーム医療が必須となり,特にインターベンションを伴う内科領域では極端に言えば一人では何もできない状況になりつつある。しかし,いつまでも最先端の急性期病院で診療を続けるのはごく一握りの内科医で,多くは開業医あるいは一人医長として実地診療や地域医療に対峙することになる。
 私事で恐縮だが,先日軽い胸痛を覚えたので,循環器専門医を受診し,かなりの検査をして事なきを得たが,診察時に主治医は画面上の検査所見や画像をくいいるように見ていたが,結局,私に指一本触れなかったのでいささか驚いた。そのあと,別の生活習慣病で昔のレジデント仲間の内科専門医に診てもらう機会があった。彼は現在,市井の開業医であるが,私を目の前に座らせて,型どおり指先から顔面頸部まで触診して,頸部で指が止まった。「甲状腺腫がある」というので早速エコーで確かめると,直径2cmほどの甲状腺腫が見つかった。自分で嚥下を繰り返してもうまく触れることができないほどだった。「レジデントにもこのくらいの腺腫は見つけてほしいんですよ」と彼はこともなげに言った。これも良性と判明したので休心したが,受診の愁訴とは無関係な,しかし内科学の理学的診断を的確にしかも忠実に行う彼をみてチーフレジデント時代の彼を彷彿させた。ここに内科医のロールモデルがあると思った。

内科認定医・専門医試験対策に!!
今月の主題
「理解のための30題」
(力だめしにいかがでしょう。解答は本誌掲載)
連載
病理との付き合い方 明日から使える病理の基本【実践編】
病理診断が病名の決定,治療方針の決定,治療効果および予後判定に重要な役割を果たす,ということはすでに総論を読んだ読者には十分理解していただいたと思う。本号からの実践編(各論)では,臓器別に具体的な病理との付き合い方を学ぼう。

第9回  神経・筋

鈴木博義
東大病院内科研修医セミナー
本連載では,東大病院で内科研修医を対象に月2~3回,昼の1時間を使って行われている内科グランドカンファレンスを紹介します。各診療科での実際の症例を通して,疾患の診断・治療に関する生きた知識を吸収していただければ幸いです。

第15回  関節リウマチ治療中に発症したニューモシスチス肺炎の一例

北川 洋(東京大学医学部附属病院呼吸器内科)
佐野 仁美・河原崎秀一(同内科研修医)
研修おたく海を渡る
アメリカでの研修も3年が過ぎ,今回,光栄にも散文を連載させてだくことになりました。内科研修3年間の振り返りと,はじまったばかりの腫瘍内科研修での日常を織り交ぜながら,小話に使ってもらえるような話題を提供できればと考えています。毎回おちがつくといいのですが。どうかよろしくお願いします。

第10回  チーフレジデントとソーシャルチーフ-昼のチーフと夜のチーフ

白井敬祐
できる医師のプレゼンテーション-臨床能力を倍増するために
プレゼンテーションは診療現場において,きわめて重要な臨床能力の1つである。「質の高い研修」,「質の高い患者ケア」,プレゼンテーションの良し悪しは実はこれらを大きく左右する。本連載では,臨床医にとって必要な「プレゼン技術」の基本をわかりやすく示す。

第7回 「伝える」ことのコツ――声・姿勢・目線・時間

川島篤志(市立堺病院・総合内科)
医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために
忙しい日常臨床の現場では,医療事故対策を立てても,しばしば「絵に描いた餅」となってしまい,実際に防止効果をあげていない場合が少なくない。対策は現場での「実践」の観点から講じる必要がある。本連載では,沖縄県立中部病院の臨床研修・医療事故に関する取り組みを交えながら,主に研修医がかかわる医療事故対策について考える。

最終回  医療事故と医学教育について

本村和久(王子生協病院・内科)
目でみるトレーニング
1994年から続いている雑誌「medicina」の名物連載。写真・画像を中心とした「症例提示」と症例に関する「問題」,「解答と解説」からなり,クイズを通して症例疾患への理解を深める。